感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
前巻もだったけれど、笑顔の描写にやはり凄みを感じる。
戦う女性の姿を描いているのはもちろんそうなのだけれど、それが侵略主義のモンゴル帝国の中で描かれることで、手放しでファーティマを応援できないもどかしさもまた面白い。
Posted by ブクログ
怒りをおさめるのも、怒りを絶やさないのも、乱世を生き抜く術。そこに知識があれば牙をむける。
ドレゲネとシタラの出会いが嵐を起こすのか、目が離せない。
Posted by ブクログ
後に魔女と呼ばれる被征服民の女性が賢さを武器に立ち回るモンゴル拡大期の中央アジアを舞台にした歴史漫画の第2巻。
今巻ではチンギス・カンの崩御後、新しい皇帝が決まり、モンゴルの怨敵である金国への出征が決まるところまでが描かれる。その過程で、ファーティマが後に側近として仕える皇后ドレゲネとの邂逅を果たす。
今巻は今後の話の仕込みにあたる巻になり、1巻ほど話の展開はダイナミックではない。ただ、皇子の兄弟間の軍事的バランスの偏りによる政治的混乱が示唆されていたり、異民族出身でモンゴルの侵略により嫁いできた皇后ドレゲネの怒りの深さが開陳されたりと、今後に燃え上がるであろう不穏な火種が開陳されて読んでいて緊張感を覚えた。
モンゴルでの生活が長くなるにつれて故郷を滅ぼされた怒りがだんだん薄らいでいくファーティマが、自身よりもずっと長い間モンゴルに対して恨みを抱き続けて、しかし恨みを晴らすにはどうしたらいいかわからないでいるドレゲネとよしみを通じるようになったシーンはなかなか魅せてくれるなあと感じた。
傍からみれば有力者に奸臣が取り入る構図そのものだと思うのだが、「故国を奪われた」という共通点を下敷きにして両者の距離が近づくのがわかる演出が個人的に勉強になり、これが歴史モノの醍醐味なのかと知見を新たにした。
なお今巻は13世紀前半の遊牧民の地名が多数登場するので世界史資料集か地図帳が手元にあるとより深い理解が得られるだろう(作中で地図は示してくれるのでなくても問題はない)。
自分はアルタイ山脈の正確な位置をようやく覚えることができた。バイカル湖の南西あたりだったのね。