和風ファンタジーの題材としてすっかりおなじみの陰陽師。そのブームの火付け役であり、9月に市川染五郎・市川海老蔵らによる歌舞伎座公演も決定したのがこの「陰陽師」シリーズです。
平安時代の天才陰陽師、安倍晴明。その親友で音楽の才能豊かな源博雅。この二人が鬼や生霊など様々なものの怪にまつわる怪異を解き明かしていくこの物語。映画のような派手なアクションはほとんどなく、彼らは問題の怪異の原因となった人の業を探り、ものの怪達を納得させることで怪異を見事に解決していきます。
この物語の大きな魅力は、主人公二人の掛け合いが格別に面白いこと!
厄介事を頼まれ困り果てた博雅が、二人で酒を酌み交わしながら晴明に解決を依頼するのですが、その軽妙なやり取りに、自分も仲のよい友人と庭を眺めながら、美味い肴片手にお酒を舐めたくなる事間違いなし!
美しくも怪しい平安時代の余韻から抜け出せなくなりそうな不思議な物語です。
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読み終わって、オビの裏表紙側のシリーズリストを見て数えたところ、陰陽師の短編集も本作が11作目になるのですね。
別途、長編が2作に絵物語が3作(絵物語は未読ですが)。作者の夢枕獏さんは、よくぞこれだけの物語を生み出し続けておられるものだなと感心します。
晴明と博雅の二人が、晴明の屋敷の縁側の簀子の上に座して酒を酌み交わしている。陰陽師の物語の9割以上は、この場面から始まるのではないでしょうか。さしずめ、晴明の屋敷は平安京のベーカー街221番地Bってとこですかね。
ここでの二人の会話が、また味があります。
庭の草木や空を眺め、あけっぴろげに自然や物の移ろいへの思いを語り、その感性ゆえに思わず知らず物事の本質を見抜いている博雅と、常は冷静で理知的でありながら、博雅の鋭さには素直に驚き、笑みを浮かべる晴明。
ここのたわいもない会話だけで話がおわっても面白そうですが、さすがにそんな話はまだなかったかな。
そこへ誰かが尋ねてきたり、あるいは二人のどちらかが宮中で話題になっている不可思議な出来事を持ち出し、その真相を解き明かすというのが、ほぼ全話に共通のパターンですが、それでも一話一話がちゃんと面白い。
そういえば、本作中の「蛇の道行(くちなわのみちゆき)」は、これまでになかったパターンの話かも知れません。
あの晴明が迷うんです!これを読むだけでも価値はあると思います。
これからも、長く二人の話が続かんことを!
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春夏秋冬、簀子の上でつらつらとお酒を呑む二人。
いつもいつもこの世界に憧れてしまいます。
こんな風に過ごせたらなぁ・・・。
いろんな妖や鬼にもいつも通りの晴明と博雅。
現世は本当にいろいろと辛く、生き難いことも多いけど
この世界に触れると、ああ、この世界がまだ存在しててくれた・・・と少し拠り所になる気がします。
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陰陽師シリーズである。
花びら一枚一枚が仏に見える博雅と、それに関心する清明といつも通りで短編10本。
深く掘りさげてないけど、基本的には古の物語をベースに作っているだろうから、そこも調べると楽しいかも。
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今宵も晴明と博雅のコンビが都の怪異を解決していく短編10編。
久しぶりの「陰陽師」、この巻も晴明と博雅がホームズとワトソンの二人のような関係で読んでいてとても安心できます。
この巻の10編のうち、一番印象に残ったのは、「安達原」のお話です。
昔話にある山姥の怖い話かと思いきや、ラストは鬼でありながら人として思う心を描いた逸品でした。
こういう話に出会う醍醐味が「陰陽師」の魅力なのでしょう。
これからもやめられません。
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あれ、1話1話ってこんなに短かったっけ? と首を傾げてしまうほどさらっと読めてしまった。
気になったのだが、弁才天って女神だよね。で、泣沢女も女神だし。つまり女同士? 逢瀬ってそういう事だよね?
もしかして弁才天は男神説があるのかと調べてみたけどやっぱり女神で……。神様の恋愛事情に性別は関係ないみたい。
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陰陽師の十三巻『蒼猴ノ巻』。
「蝦蟇念仏」が良い。
執念の物語。いつか迎える物語の結末を楽しみにしたいと思います。ぐちゃぐちゃの妄執の果ての結末。
心のうちにあるどうしようもない衝動。そのぐつぐつしたままの熱量に突き動かされる描写が、夢枕獏作品の好きな部分。あの青猿の行動は自分本位なものなのだけど、善悪は抜きにして、突き動かされているのは確かなので。
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陰陽師の晴明が呪術に困っている人を助けるという内容だ。晴明が原因を即座に見つけ、そしてあっているか確かめて、ネタバラシをするという内容がほとんどで、続き続きが気になりやすい話だった。そしてさらに話が10遍に分かれているのですぐに話が終わり非常に読みやすい。本が苦手な人が慣れとして読むのにおすすめだと思う。
Posted by ブクログ
今回も楽しく読みました♪
特に道満メインの話が面白かった!
道満は悪役風で出てくるけど、根はいいヤツということがよく表れている作品だなと。
他には「安達原」も切ない余韻が残る作品で印象に残りました!
Posted by ブクログ
このシリーズを初めて手にしてから10年近く。
晴明と博雅の関係性も、彼らの周辺で起こる怪異の類も、少しずつかたちを変えて穏やかなものになってきた。
自分自身はどうだろう、とつい思う。