【感想・ネタバレ】私の男のレビュー

2007年に直木賞を受賞し、2014年6月に待望の映画化となった本作。

大地震で家族を失くした10歳の花を、25歳の淳悟が引き取り、やがて二人は二人だけの幾つもの「秘密」を重ねていく。
この物語は、主人公の花の結婚から、徐々に過去へと遡っていきます。
パズルのピースをはめるように、お互いを求め続け、「父と娘」を超えた感情が渦巻いていく。

親子・恋人・究極の愛・殺人・渇き・匂い・グロテスク…

私は読みながらそんな言葉を思い浮かべました。
決して明るい作品ではありませんが、冒頭の数ページで、作品の世界観にすっと引き込まれます。
人によって、違った感想を持つ作品だと思います。気になった方は是非。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年04月17日

ひたすら暗い世界でうごめく義父と悲しい少女の話。

肉欲的なもの、精神的つながり…2人のまぐわいはどこか悲しくもあった。

淳悟と花は、男女関係であり義理の親子関係でもあり…一言ではいい表せない。ただ、会う前から不思議な縁はあったのだと思う。

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Posted by ブクログ 2024年03月23日

すごかった。何かが違う何かが漂ってるような雰囲気が終始あった気がする。こんな愛の形が存在するのか、そう思わせてくれた小説だった。ずっと暗い雰囲気で私の好きなタイプの本だった。

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Posted by ブクログ 2024年02月05日

「砂糖菓子の弾丸は撃ち抜けない」に魅了されて、読みました。
時間を遡りながら、過去が赤裸々に明かされる展開が面白く、花の狂気とも云える愛とその理由に目が逸らせなくなってしまいました。
また淳吾の魅力と愛情表現は、同性の私にとって標になりそうです。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月10日

桜庭一樹さんの作品を熱心に読むきっかけになった本。もう幾度となく読んでいるが、毎回新鮮な気持ち悪さがある。
歪に重なった二人が不気味で、それでいて美しさがある感じ。「チェインギャング」は言い得て妙だと思う。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月07日

ドロドロでぐちゃぐちゃな、2人の感情。
読み進めていくと、状況や、何故そうなったのかの理解は出来るけど、この2人の心は理解出来ない。
でもそこが面白い。
生臭くて水の臭いを感じる、気持ち悪さは、血が関連することだったのかな。

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Posted by ブクログ 2023年07月17日

ねっとりして、ドロドロして、ずっと底に沈んでいる。血。

ふたりで固まってしまえたら もう冬も寒くないね。

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Posted by ブクログ 2023年07月04日

BOOK・OFFの平積みで直木賞受賞!待望の映画化と映画宣伝用の表紙の二階堂ふみが気になり手に取ってみた。近年、本屋大賞の作品は読みたいと感じるが芥川賞、直木賞はは食わず嫌いというか読書離れをなんとかしようと特に芥川賞を芸能人がとる図式に納得がいかず避けていた。禁断の愛?いや秘密の交わいというほうが...続きを読む正しいのか?書き手次第では官能小説に傾いてもおかしくない題材であるが描写と越えてはいけない一線に読み手を引き込む力は秀逸。解説で選考委員の浅田次郎氏が「文句なしに推挽させていただいた」と絶賛したことがうなづける。赤朽葉家の伝説を読んでみたくなりました。

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Posted by ブクログ 2023年05月11日

寂しく、むせかえるような甘い匂いがする。わたし達が気づかないようにしていることはあまりに本能を刺激してしまうから、絶対に秘密だよといいながら真っ赤に染まっていく。血はこの世でなによりも濃い、と気付かされてしまう。

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Posted by ブクログ 2022年12月08日

父性愛を受ける事ができずに育ってきた立場の人間ならわかるはず、自分が求めてるのは淳悟そのものだと
淳悟、寂しい、強がりな、誰よりも愛おしい男
行かないでと言えない男
私なら抱きしめてあげれるのに、一人にしないのに、一緒に地獄に落ちるのにと胸を裂くような思いが溢れて止まない
それは私が10代の女だから...続きを読む?もっとも彼らが深く愛し合っていた時の花の年齢と似ているから?
だとしても、一時の、過ぎ去れば笑ってしまうようなものだとしても、今この瞬間の淳悟への恋心は紛れもない本物だ
私が出会ったフィクションの男たちの中で最も心を奪い離さない男 淳悟 私の男

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購入済み

2020年09月26日

過去に遡る技法で読者に明かされていく。二人とも重い罪を背負っており、いつしか濃密な情愛関係を築くことになるが、それは、決して、いやらしさもなく自然な形で描写されているのは、作者の筆力所以だろう。

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Posted by ブクログ 2023年01月09日

第138回直木賞受賞作

冒頭の一文で魂を持っていかれました。この一文が、この一文で「(私の)男」がどんな男なのかが分かる。

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購入済み

本当に後味サイアクな作品です。

2018年02月26日

ここ最近で読んだ中で一番強烈な本です。舞台となっている千住や紋別の暗い町のイメージと相まって、とにかくいやな気持ちになります。救いがありません。でもそれがすごい好き!

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ネタバレ購入済み

もう一度読み返したくなる

2014年06月24日

なんか愛情っていろんな形があるなーと思った。でもやっぱり複雑。

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Posted by ブクログ 2024年03月15日

直木賞受賞作なので読んでみました。とても面白く桜庭さんの実力の確かさを感じますが、内容的には結構すごい事だと思います。そう、嫌悪感を感じてもおかしくない内容なのに文章の美しさに捕らわれてしまう。いっきに読んでしまいます。

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Posted by ブクログ 2023年11月26日

養父と娘の禁断の愛を、現在から過去に遡る形で紐解いていく。その構造がまずおもしろい。2人の生活の変化のきっかけとなった出来事について、現代で小出しにして、過去で詳細に説明がされる。あのとき言っていたのはこのことだったのなと、合点がいく形式になっている。

もつひとつおもしろいのは、読み進めているうち...続きを読むに、花や淳吾に対する自分のイメージが変わっていくこと。はじめは花が何もかもクソみたいな淳吾に奪われた可哀想な女の子なのかと思ったけど、一概にそうとは言えないことがわかってくる。

ある意味グロテスクな性描写は賛否両論ありそうだけども、「家族とは何か」「絆とは何か」というテーマに一石を投じている。人物描写はもちろん、心情や景色の描写も巧みで、読んでいて想像が膨らむ。

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Posted by ブクログ 2023年11月06日

愛し合う父娘が養父養子でよかった、でなければこの物語がとたんに読めなくなってしまう。と思いながら読んでいたら…えっ…
禁断の愛を貫くためには邪魔者を殺さなければならなかったんだろうと思ったものの、やはり普通の感覚の人間ではないと思った
人を殺してすぐに押し入れに隠す...そこまでは百歩譲って理解して...続きを読むもそのままセックスできるか?絶対できない
現在から過去へ遡っていく展開が過去になにが起こったのか気になり読む手が止まらなくなった
愛とは..考えさせられる物語だった

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Posted by ブクログ 2023年10月11日

どの小説でも読み進めるごとに登場人物の解像度が上がってくけど、この小説では特にそう感じた。淳悟と花のことが気になって気になって気づいたら読み終わってた。悪魔みたいな2人。

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Posted by ブクログ 2023年10月08日

冒頭から惹きつけられる作品。
町田そのこさんは、私の男を最初から最後まで一言一句すべてタイプしたらしい。
その気持ちも分かるぐらい一言一句無駄な表現がない作品。読み終わったあと呆気にとられる。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年09月14日

みなしご同士だからこうなったんだろう
欠損家族同士だからこうなったんだろう
つまり2人ともすごく寂しかったんだろう
みたいな単純な方程式じゃ説明できない、ぐちゃぐちゃしててどろどろしてていろんなものが混ざり合ったような関係
離れなきゃいけないけど、体はずっとこのままがいいって言ってる
薄く自分と重ね...続きを読むてみたらなんか勇気が湧いてきた

短文で途切れる文体が切なさを増して
花の気持ちによって周りの環境の描写も変わってその表現がまた素敵で
心に残る作品でした

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Posted by ブクログ 2023年06月06日

すんごいお話だった。北海道南西沖地震で9歳にして家族を失った花。そこに伯父にあたる腐野淳吾が花を引き取る。ほのぼのした生やさしい話ではない。すでに花と淳吾には絆があったのだから。。。

正直に言っていいかい?

ありていの常識に苛まれることなくどっぷりと愛にはまれる花がうらやましい。

最終的に(と...続きを読むいうか物語の序盤で)花と淳吾は離れることになる。それまで淳吾ひとすじだった花なのに。花が大人になったからだろうか。大塩さんの言葉はずっと分かってたことなんだろうと思う。だから反発したし、あんなことをした。もしかして、花は生きるために必死だったのではないか。淳吾がいないと生きていけなかった子供時代。

ああもう歪だなぁ。

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Posted by ブクログ 2023年02月09日

ただただ衝撃的なテーマです。
こどもとかおとなとかそんな枠を突き破って「愛されたい」が滲み出るような内容でした。
ひとりの人間として認めてもらえず誰からも必要とされない事がどんなに残酷な事か…考えただけで恐ろしくなります。
他人から否定されたってどんなに歪んでたって、愛に変わりはない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年01月03日

終始不穏でいい感じ。
淳吾と花の母親の関係についてもっと詳しく成り行きとか知りたかった
あと花と一番最初にヤッた時の事も。舐めた日じゃなくて

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Posted by ブクログ 2023年01月01日

 父と娘であり、男と女でもあり……。



 何となく、恋愛小説か何かかと思って読み始めた。ひょんな縁から手に取った本だったので、予備知識は一切無かった。

 読み終えた感想としては、一概に恋愛小説などと一括りにしてしまったのでは余りにも偏狭だと言わざるを得ない。この物語はそんなに簡単じゃない。一筋...続きを読む縄ではいかないものがある。
 著者が本来得意とするのであろうミステリの匂いを醸し出しつつ、文学的にも質の高い逸品。直木賞受賞作の名に恥じぬだけの威力はある。


 この本に記されていることが罪か禁忌か、誰にも確からしい判断は出来ないだろう。そうとも言えるし、そうで無いとも言えると思う。
 でも、どうしようもなく愛だけは在る。それが真実紛れもない愛であるという事だけは断言出来るし、何人も否定し得ないだろう。



 これから読む人へ。注意して下さい。軽い気持ちで手に取ると大火傷します。焼け爛れて全身ケロイドに冒されるでしょう。しかも、それは、極寒の流氷の上でかも知れません。

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Posted by 読むコレ 2014年08月29日

結末の曖昧な物語は葉巻に似ていると感じました。
肺に入れずに味と香りだけを愉しむんだと言われても、煙草との根本的な愉しみ方の違いに戸惑うばかり。
それ自体は嫌なものでもないのだけれど、煙草吸いには芯の所で相容れない、満足できない、そんな感覚。
グロテスクだけど純粋な性愛、現在から過去へと遡って...続きを読むいく形式、秘められた謎。
綺麗な文体とも相まって先へ先へと読ませてくれたのですが、やはり人が一般的な概念から道を外すにはそれなりの理由、つまり結論が欲しくなってしまう。
嫌いではないが吸った気もしない。
そんな感じの物語でした。

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私は大好きです

2014年05月31日

なんとも言えない寂しさが物語全体を通して伝わってきて、むしろ心地よいです。タブーと知りつつも、流されてしまう人間の哀しさですかね?因みに私は3回読み返しました。

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Posted by ブクログ 2024年02月25日

なかなか普段読まないタイプの小説。あんまり主人公に共感できなくて、深くこの世界に没入することはできなかった。
でも静かに謎が解けていく感覚、気持ちがキュッとなるところがあって、次の展開が気になった。なかなか読む手を止められず読み続けたら、1日で読み終わった。没入はできなかったけど、それくらい夢中にさ...続きを読むせられた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2024年01月21日

映画を見た後、結末をどう解釈したらいいのかわからなかったので小説を読んでみたけど、さらによくわからなくなった。

単行本を読んで思ったのは、過去から現在に進む映画より、現在から過去に遡る小説を何も知らない状態で読んだ方が、物語の衝撃を味わえてよかったんだろうなぁということ。

読後感がスッキリじゃな...続きを読むいので、疑問が色々湧いてかなり引きずっている。自分の解釈だけではどうにもできず、色々書評を読み漁ったら、”近親相姦は連鎖する””花の母親=淳悟の母親”というのを見つけて、あぁ確かにその方が、淳悟の花に向ける血、家族、母親への執着に納得がいくなぁと思ったり?でも時系列的にどうなんだ?となったりでやっぱりわからなくて迷宮入り。解決しないので、諦めて次の本を読み始めようと思います。

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Posted by ブクログ 2024年01月21日

先月、同じ作者による「砂糖菓子の弾丸〜」を読んだばかりだからか、桜庭さんは歪んだ親子関係(しかも父親と娘という異性の組み合わせ)に心惹かれるものがあるのかと思った。「砂糖菓子〜」で登場する海野藻屑×海野雅愛の親子と、今回の「私の男」で登場する、腐野花×腐野淳悟の親子。どちらも美形の親子で、人を引き寄...続きを読むせる不思議な魅力がある。一見、思春期の娘を男一人手で頑張って育てている甲斐甲斐しい関係性のように見えるが、実際は目を背けたくなるような日常が広がっている。ふたりの娘はどちらも父親にひどく従順で、「おとうさんが大好き」だから、彼によって齎されるものは全て受容する。そして前者は物理的な暴力で、後者は性暴力でもって娘を支配した。

海野雅愛という「父親」の背景は知る術がないが、後者の腐野淳悟については本作である程度の情報が明かされている。幼い頃に海難事故で父親を亡くし、その精神的な負担で母親の気が狂ってしまったこと。おそらく、淳悟の母親も、思春期の淳悟に対して何らかの虐待行為を働いていたと思われる。
まだ何も知らない九歳の花に、初めて近親相姦行為を強いた日の夜。事後、体液に塗れた花の小さな身体に縋りつき、「おかあさん」と迷子になった幼い子供のように泣きじゃくる淳悟のシーンは不気味ながらも、どこか切なさを覚えた。海野親子も腐野親子も、親が子を、そして子が親を愛するということの何たるかを知らないし、分からない。だからやり場のない感情と共に、親は子供に対してその質は違えど暴力を振るってしまうし、子供側は親から齎されるそれらを許容することが愛情であると思い込んでいる。二十歳になった花の台詞に「血が繋がっている親子なら何をしてもいいのよ」と言うものがあるが、本来は真逆だ。血が繋がっているからこそ、許されないことの方がこの世には多いと思う。

当初、震災孤児となった花を引き取ろうとしていたお爺さんの「欠損家庭で育った人間はまともな家族を知らないだろう。それなのに子育てが出来るのか?」という言葉はとても鋭利な響きを持っていたし、その意図がまだ幼い花には伝わらずとも、淳悟には良く刺さったはずだ。しかし結末まで読むと、やはり悲しいがこれが真実なのだとも思う。花と淳悟が築いた関係は、親子と言い表すにはかなり醜悪な共依存だ。古傷を抱えたふたりが寄り添って生きているように見えて、実はお互いの心に新たな傷を刻みつけている。

成長し、善悪の判断が付くようになった花は結婚を機に淳悟の元を離れるという理性的な選択をした。しかし小町から淳悟の失踪を知らされた際の狼狽ぶりを見ると、この婚姻生活も残念ながら長くは持たない予感がする。そのうち花は淳悟を追って夫の元を去るだろう。そもそも、結婚式になかなか姿を現さない淳悟に対して「このまま淳悟が来ないなら結婚はしない!」と夫や夫の親族に向かって感情的に叫ぶシーンからも分かるが、この二人の呪縛はきっと死ぬまで永遠に解けない。「骨になっても一緒にいる」という言葉通り、花は淳悟と同じ墓に入るのだろう。

直木賞を受賞しているが、父親と幼い娘による生々しい性描写が何度か挟まれたり、また花の過去編では震災や津波が離島を襲う描写等もあり、人によっては読み進めるのが辛い話だと思う。(実際に読むのを諦めたという感想もいくつも見受けられた。)わたしはどうにか読み切ったが、話の内容に救いはないし、若干の胸糞悪さもあるので、万人におすすめできる作品ではない。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2023年12月30日

上野千鶴子さんの「女ぎらい」を読んで、そこに引用されているジェンダーに関する本をたくさんチェックした中の一つ。もちろん本書は良くない意味で引用されていた。「桜庭一樹」というペンネームでさえも、「女が男装したような名前」と書かれていた(←うろ覚えなのでちがっていたらごめんなさい)。私は桜庭一樹さんはあ...続きを読むまり読んだことなくて、本屋さんにはたくさん並んでいるからもちろん名前は知っているけど男性だと思っていた。

ここからネタバレ注意です。

この小説は、父と娘の近親相姦のハナシです。セックスシーン(いわゆる挿入)は描かれていないけど、養父の淳悟と娘の花は、性的な関係にある。第1章では花がやっと、養父の呪縛から逃れ、結婚しようとするところ。その先どうなる?と思いきや、続く章は過去にさかのぼっていく。
2章は花と結婚しようとしている男が、二人をどう見ているか。そして彼の生い立ち。彼は裕福で厳格な家庭に育ったが、父親との関係は良くない。厳格で、「男とはこうあるべき」という考えが強く、息子が自分のようではないことに不満を抱いている。ここにも「父と子」の関係が描かれる。
3章は養父の淳悟が主体。娘と二人で、「キタ」から逃げたきた理由が分かる過去の回想や、再び罪を犯してしまう経緯が描かれる。
4章は再び花が主体で、花の、北海道での高校時代。養父の淳悟と二人、寄り添って(性的な関係で結ばれ)て生き、それを人に知られてしまう。
5章は淳悟の恋人の一人だった女性の話で、花がどんな女の子だったのか客観的に描く感じになっている。
6章は花が主体で、さらに過去にさかのぼって、津波で家族を失くし、淳悟の養女になる経緯が描かれる。淳悟が、孤児になった花を体育館で見つけた時点で、二人は強く、運命的に結びつけられているように読み取れる。実は花は、淳悟の「親戚」ということになっているが、淳悟が親戚に預けられていたときにそこの奥さんを孕ませた(?)子どもで、実の父娘であり、淳悟はそれが分かっているようなのだ。淳悟は震災で孤児になった花を見つける前から、彼女を想っていた。避難所の体育館で出会った瞬間から、二人はお互いを選び取る。
しかしそのことと、孤児の花を引き取った淳悟が、彼女を性的欲望の対象とすることをどう解釈すればよいのだろうか?
淳悟は花を「血の人形」と呼び、花は淳悟を「私の男」と呼ぶ。
淳悟は父を海で失くし、残された母に異常に厳しく育てられた。それまでは優しい母だったのに、父親の代わりになろうとする母が、豹変したのだ。(母も精神を病んでいたのだろう)。母の愛に飢え、その母も失くし、預けられた親戚の家で母親代わりの女性を犯した…?そしてその女性が産んだ娘を、更に自分の愛の対象とする…血の人形として…?
出生に秘密をもち、家族のなかで浮いていた花は、淳悟に「見つけてもらっ」て、救われた、と感じる。淳悟は自分のために何でもしてくれる。救い出してくれる、「私の男」。
予備知識なしでこの小説を読んだとして、自分がどう感じたかわからないけど、先に上野千鶴子さんの批評を読んでいたので、最初からずっと、気持ち悪くてグロテスクな小説だと感じてしまった。
花が結婚してどうなるのか、過去の罪とどう対峙するのかわからないまま、小説は過去にさかのぼって終わる。あぁ、未来を描いてほしかった。花はどうなるの?・・・と、気になりすぎるのだから、やはり素晴らしい小説なのだろう。

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Posted by ブクログ 2023年11月17日

序盤から生々しい雰囲気で嫌悪感でいっぱいに、、、
過去に遡っていくにつれて徐々にタブーや謎が明らかになっていき、2人の関係性に納得できました。

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Posted by ブクログ 2023年11月04日

理解し難さや嫌悪感とともに時が遡る。私は最終章でくらってしまった。
理由なく奪われた愛の回復を求めた先に、全てが詰め込まれた血の人形がある。残されたものはそれしかない。だから愛する。
「家族がいないのに生きていたって仕方ない」世界で、血のために、自分だけを好きでいてくれる人が見つかる。その人しかいな...続きを読むい。だから愛する。
灰白色の空の下の青黒い海で、しがみつく人が互いしかいなければ溺れるように求めるだろう。最後まで読んでそう思った。歪で、間違っていて、不道徳であることを筆致が凌駕する瞬間がある。良い読書だった。

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Posted by ブクログ 2023年08月06日

物語の始まりから、漂う、不安定さ、不穏さ、嫌悪感。
血縁の繋がりで、家族の欠損を補おうとし、何よりも信じすぎる不可思議。

海で家族を失った少女と彼女を引き取り育てる男性。彼女の結婚から時間を遡ってふたりの関係性を濃密に厭世的に語られる。ふたりに関わった人達の視点も織り交ぜながら。




小説の雰...続きを読む囲気は、すごく好きなのです。

なのですが、BLが受け入れられないおじさま達がいる様に、近親系は苦手です

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Posted by ブクログ 2023年06月23日

不気味で歪んだ愛の話
愛情って、家族ってどんな形なのか
分からなくなる
海の表現がいっぱいあって想像力が働いた

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Posted by ブクログ 2022年12月21日

以前読んだ「砂糖菓子…」の海野親子をまだ良い方に転がした様な親子の話。それでも酷いが。
中盤花の精神の未成熟感が気味悪くて読むの止めようかと思ったけど、その後あの子も読んでるし(誰だ)と自らを奮い立たせどうにか乗り切ったら最終章は結構読み応えがあり、明るそうな未来を感じさせて終わるけど、でも結局この...続きを読む二人気味の悪い関係を清算せずずるずる続くんだなと思うと上記の様な評価に。
作中様々な湿度の高い描写があるのも不穏な気持ちにさせる要因かと。
振り返ると色んな伏線が張ってある気もするので、余裕のある時に再読したい。

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Posted by ブクログ 2023年08月06日

長く咲いていた桜の花も終わりになったのに、異例の寒さはまだまだ続く。
そぼ降る冷たい雨の景色が、この本の冒頭の銀座の雨と重なり寒々しい。

24才のOL・腐野花(それにしても凄い名前)が婚約者の美郎と待合わせをするレストラン。
しかし彼女が「私の男」と呼ぶのは40才の養父・淳悟のほう。最初から只なら...続きを読むぬこの親子。
花の結婚式前後の日々と、そこから遡って語られる二人のこれまでと秘められた出来事…。
細かい設定には結構破綻があって、淳悟や花の心情にもン?みたいなところがあるのだけれど、ぬらりとした黒い冬の海を背景にしたぞわぞわ〜とした粘着質な描写に飲み込まれて読まされてしまった。

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購入済み

好きではありません

2014年08月10日

何とか読み終わりましたが、どうしても好きになれませんでした。吐きそうになる気持ち悪さとの戦いでした。作者は何を伝えたかったのか分からないままです。

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Posted by 読むコレ 2013年04月08日

なかなか‥。ねっとりとした後読感。

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