感情タグBEST3
Posted by ブクログ
香君下巻。
オアレ稲の正体や香君の成り立ちなどが判明。
必要最低限の肥料の謎なども分かります。
私たちは、食物連鎖の上に成り立っている訳で。
虫がたかって植物が駄目になっていくのも理由があり。(その虫を食べる生き物もいるわけで)駄目になっていくのは悔しいけれど、虫にたかられても大丈夫な植物がむしろ異常なわけで。
そういう連鎖をいじってはいけないと言っているのではないかなぁと思いました。
Posted by ブクログ
とても面白かった…!
植物とともに強く生きる雰囲気がケルトの音楽と一緒に全体を流れているように感じる。
水戸黄門的スッキリ感。ああ。
大地とと共に生きる人々の暮らしの美しさを感じた。
「風に知る万象」。今私たちが生きているこの世界とこの物語の同じ部分を思って心が震えた。
Posted by ブクログ
オリエが皇帝、藩王、貴族たちに話し合いの場を作り、アイシャがバトンを受け取った場面で感極まりました。
人間は、大抵のことを自分の身に起こってから深刻に捉える生き物で、他国や他人が苦しんでいるといくら聞かされても、自分の利益を優先してしまうものだと改めて認識させられました。
最後は皇帝がしっかりと決断できたのが良かったです。あくまでも、神のお告げではなく、人々が自分たちで未来を切り拓いたところに感動しました。
アイシャが、自分は孤独な存在であることをポジティブに受け止めて、人々と支え合って生きていこうと決意するところにも、ハッとしました。
私たち人間は皆、孤独に生きているけれど、お互いが声を掛け合い、聴き合えば幸せを感じることができると思いました。オリエにマシュウが上着を羽織らせる場面が素敵でした。
Posted by ブクログ
読み始めたら止まりませんでした。
この後アイシャは結婚もせず子供も産まず他者に理解できない孤独の世界で生きていくのかと思うとなんとも言えない気持ちになります。一方でその道にも希望を見いだしているアイシャは強いなと思いました。
本の終わりに参考文献も記載されています。
こちらも是非読んでみたいと思います。
上巻を読み終わった段階ではオオヨマをイモムシから蛾に成長するような虫と認識してましたが、下巻では印象が違って、ゴミムシのような甲虫をイメージしました。上巻をもう一度確認しようと思います。
Posted by ブクログ
読み応え十分!
読むだけで異世界に行ける感覚がすごい。
ふわふわ感というより、緻密な設定、政治が絡んでくる現実感。でもファンタジー。
本の装丁がとてもかわいくて好み。
Posted by ブクログ
どうなることかと思ったけど、希望に満ちた終わり方で良かった。(上橋先生なら、そうなるだろうと思っていたけど)
異郷がどんなところなのか、アイシャの今後など続編が出るといいなぁ。
Posted by ブクログ
上橋さんは素晴らしい!
自分で考えること、
誰かに決めてもらって盲目的についていくのではなくて、
自分で考えて決めることが大事。
循環、何かが何かに作用する、一つ狂うとすべての歯車が狂う。生態系って大事だよね。
何度も繰り返されている上橋さんのテーマ、いいなあ。
Posted by ブクログ
植物がコミュニケーションの手段として用いる【香り】を嗅ぐことができる主人公。
多くの人ができないことを、できてしまうゆえの孤独。孤高。
面白かったです。でも、著者の他の作品とは何か違うな、と思いました。なんだろう。具体的にどうというよりも、作品に漂う空気が違うような。違いの正体が分からずにもやもやとしておりましたが、あとがきを読んではっとしました。
「植物は静かすぎる」
これだ! と思いました。胸が躍り、励まされる感覚がありつつも中心部分はひっそりとしているような。このひっそりとした部分が他の作品とは違う。
静かで強い、植物のような作品でした。
Posted by ブクログ
とても面白かった!
オアレ稲の謎とバッタの生態を解明していく過程がすごく面白かった。
第六章「香君」を読んでいるときは、ハラハラした。
ラストと第六章 十三、アイシャとユーマの会話で、神郷オアレマヅラと香君の力について謎だったところも完璧に回収されていて、最後の最後まで本当に面白かった!!
Posted by ブクログ
オゴダ国の秘密は、海風の当たる場所では栽培できないはずのオアレ稲を島嶼部で栽培していたこと。肥料には塩分が含まれているためオアレ稲は弱らされていること、肥料から塩分量を調整したら海の近くでも栽培できること、また肥料を限界とされた量より少なくしたら、オオヨマに食われても枯れないオアレ稲ができたことだった。
これは「救いの稲」として帝国各地で植えられることになった。
「救いの稲」が引き起こした悲劇、オオヨマを食べる新たな虫の発生。
その虫はオオヨマを食べるだけでなく、小さなうちはオアレ稲を食べ、十分に成長してから次の稲作地に向かって飛んでいく。
山林も、牧草も、壊滅的な被害を受け、新たな虫はすごいスピードで広まる。
アイシャはその場にいて、虫の生態を調べることはできても、稲を燃やして駆除させることはできず、無力感をもつ。
しかし、アリキの虫に関する知識、マシュウの政治的采配、アイシャ自身の才覚により、事態を打開する。
まず、植物や虫に対する知識と説得力がすごいと思ったら、参考文献の量に驚かされた。
それと、異界に行くのかな、と思っていたら結局行かなかった。
どちらも、都合の良い設定で解決するのではなく、アイシャたちが自分の現実の世界で解決したということだと思う。
上巻から指摘されてきた、オアレ稲ひとつに依存することの怖さが現れた巻だった。
自然界は何も、人間に都合よくできているわけではなく、もし全てを都合よく変えるなら、どこかに歪みが生まれる。それは結局人間にもはね返ってくる。
Posted by ブクログ
上橋菜穂子の、よく言えば集大成、普通に言えば今までの作品のいいとこ取りをした作品。
内容は大人向けだけど、児童文学の流れを汲んで、子供に伝えたいこと(言い換えれば多くの人がそれらを持たずに大人になってしまったこと)が散りばめられている本だった。
Posted by ブクログ
人の上に立つ、とは「孤独」に他ならないと思う。人は小賢しく、上に立つものに権力を与える代わりに決断という責任から上手く逃れている。指導者側が圧倒的な力を持つほどその傾向は顕著だ。ナチスドイツの政権下、自分の罪を自覚すらせず人々を裁いたアイヒマンになぞらえて、権利という庇護の下で主体性を捨てる人の姿をアーレントは「人格なき専門家」と評した。権力に従う人間は、不合理や理不尽を権力者に押し付ける権利を持っている。逆に権力を持つ者は不満も理不尽も全てを容認する覚悟を持たねばならない。そういうところが孤独なのだ。
それでもアイシャは、人が自ら考え、自分が神ではないということを人に伝えようとした。その上で、民を守ろうとした。一生を飾り物の神として過ごそうと腹に据えていたオリエも、民と関わりながら香りから知り得ることを人に伝えようとしたアイシャも、力を持つ者の孤独と戦った強い人だと思った。
Posted by ブクログ
私はジブリ作品ならもののけ姫が好きです。
上橋作品とは共通する部分があるように感じるのですよね。。
さて下巻です。
本作下巻も単純に悪役を倒して終わり、という展開ではなく、皆、信念と道理があり、それぞれの立場なりの決断をしながら新しいものを作り上げようとする姿に私自身も共感したり苦悩したりしました。
また、ひとつのものに頼る危うさと、自然界の多様性の意味と重要性についても改めて考えさせられました。
色々問題を起こすのも人間だけど、それでも経験を引き継ぎ、知恵を出し合うことで人間の強みが生きてくる。人間だけでなく、生きるものすべての幸せのために我々は考え続けていかなければいけません。
Posted by ブクログ
久々の上橋菜穂子、今回は動物ではなく植物、穀物との共存をテーマにしたファンタジー。と言っても特殊な嗅覚以外は魔法や能力的な話はない、かなりリアル。
上巻を読んでいて、既知感があったがやはり「世界からバナナがなくなる前に」にインスパイアされてたんや。そこから色んな知識を吸収し積み上げて、こんな話を作りあげるってのは、やっぱ上出来の小説家ってのはただものじゃない。
単一の穀物に頼ることの危険性から派生して、多様性を否定することによる硬直化の怖さ、何かを盲信することは逃げであり弱さであること、ライフラインを人質に取って支配することの卑劣さなど、考えさせられることが多かった。
尊敬したり推したりする気持ちの裏側に、責任や自分で判断すべきことを押し付けて責任転嫁しようとしていないか。気持ちを裏切られた時に、失望から這い上がる手だてを模索できるか?気力を奮い立たせられるか?
答えが一つであることは意外と少なく、これしかないというのが思い込みかも知れない、というダンパーを心に持っておくことは重要なことなのだと思う。
Posted by ブクログ
心が浄化される本当に壮大で優しい物語。
主人公がひたむきに駆け回る姿が眩しくて某少年ジャ○プみたいだった。(サ○デーかな?)
初めてのファンタジーがこの作品で良かった。この作者さんの作品をもっと読みたくなった。
Posted by ブクログ
良かった…。長い映画を観終わったような心地よい疲労感に包まれています。
上橋菜穂子さんの描く世界観は「獣の奏者」にしても「鹿の王」にしても緻密で壮大で圧倒的!
人の世や自然や動物との共存、共生などについても考えさせられる。
本作は生き物が発する香りがやり取りをする“香りの声”を感じるという特殊な能力を持つ少女・アイシャの歩む人生が描かれています。
そして、帝国の象徴的存在である「香君」オリエの人生。
数奇な運命をたどるアイシャの未来と、奇跡の稲“オアレ稲”という特別な稲に依存して繁栄した大国のたどる未来。
人と国の未来を一蓮托生のように感じながら、ドキドキとその行く末を追いかけました。
登場人物それぞれの人生にも思いを馳せながらの読書。
教訓めいたセリフがあちこちにあり、上橋さんの作品はストーリー展開だけじゃない深い味わいがある。
久しぶりにどっぷり上橋ワールドに浸れて大満足!
深い
壮大な香りと植物の物語。
神でなく人でいたいというアイシャの思いや対話の道を通ろうとしたオリエの思いに胸が熱くなった。いい話だった。
読めてよかった
現代社会の在り方を問う。
いつかどこかで上橋菜穂子さんがファンタジーの世界観について、世界は目に見える我々の世界と目に見えない世界がある、とおっしゃっていたと思いますが、いつもは具体的に語られるそのナユグの世界が、本作ではおとぎ話のようにその存在を遠くに潜めていて、代わりに社会と政治が大きくものを言う世界観だったことには軽い衝撃を覚えました。食糧の問題は今世界でも経済を揺るがし、人の生死に関わる重大なことながら、多くのその他の要因に紛れて問題の追求をおざなりにされている、本作を読むとそのことが強く頭をよぎりました。
またアイシャとユーノの最後の場面の対話は現代の社会構造についての大きな問いかけだと感じます。日本は同調圧力で比較的一方向へと物事が進みがちで、安全ながらも多くの人々が不自由さを感じる国。では例えばアメリカはといえば一人一人の声が大きく、自由はあるけれども、例えば中絶問題や銃規制についても間違った方向へ物事が進んでいるはずなのにコントロールが効かない、まさに自由の代償を体現しているような国。
食糧を含めた理由からも経済格差が広まり、富裕層がより大きな力を持つ今、私たちが実際に本書で描かれた選択を迫られる日はそう遠くないのかもしれない、と感じます。
本作は子供向けファンタジーとしては少し難しいようにも感じますが、これからの社会を作る若い世代に、手に取ってもらい、多くのことを感じ、疑問に思ってもらいたい、素晴らしい作品だと思いました。
またこれは本当に個人の感想ですが、主人公のアイシャは上橋さんご本人のようですね。目に見えない力を感じながらそれを一人の人間として感じ、他の人へと残す作業は、文化人類学者として、作家としての姿をどこかに感じさせました。
遥かな道
植物や昆虫、人間などすべてが共存して生きていることを改めて実感する物語でした。
孤独を感じながらも強く前向きに生きるアイシャに希望を感じます。
オアレ稲に依存して発展してきた帝国が蝗害の被害に遭う描写はとても苦しいものでした。
Posted by ブクログ
ストーリー自体は文句なしに面白い!
世界観がしっかりしてて、どっぷりのめり込めた。
ただひとつ。
弟とじいやの出番は序盤で終わり??
もっと絡んでくるかと思ったら、時々近況だけサラッと出てくる程度で。
なんだかもったいないなぁと。
特にマシューにとっては弟くんもアイシャと同じいとこでしょ?
アイシャにはあんなに至れり尽くせりなのに弟に対してはあっさり。
能力がなければ用がない?
それも描かれていたマシューの人物像と一致しなくて。
そこだけなんだかモヤモヤ。
Posted by ブクログ
上巻を読み終え、一気に読んでしまった下巻。上巻が自然の偉大さや美しさを感じるのに対し、下巻はまさしく恐怖だった。自然が一度動き始めると、私たちは本当にどうすることもできないのだなと感じた。一貫して素晴らしく読み応えがあったが、アイシャが香君にならなければならなかったラスト、オアレヅマとはいったい何なのか?疑問が残ってモヤっとし、少しの物悲しさを感じた。ただ、あえて書かなかったのは読者が考えるところなのかとも思った。もう一度読み返して、また考えてみたい。
Posted by ブクログ
海に近いところでオレア稲が育つとは…。その秘密は帝国から下賜される肥料を使っていなかったことだった。肥料を使わないとオレア稲が育つ。下賜される肥料の中に塩分が含まれていると見つけた者がいる。稲を弱らせる塩分が入っているとは…。その塩分を抜いたらどうなるのか。そしてその結果、オレア稲が育ったのだ。これはいったいどういうことなのか…。オレア稲に依存してきた帝国に危機が訪れる緊迫の下巻。
Posted by ブクログ
蝗害の恐ろしさ、それに対抗しようと奔走するアイシャや虫の専門家アリキ氏達のがんばりがひしひし伝わる下巻
毒におかされながらも人々のために立ち続けたオリエ、アイシャのような嗅覚は持たないけれど本物の香君だと思った(マシュウと幸せになれて良かった)
オアレ稲からの脱却ではなく共存を選び、国の上層部だけに任せるのではなく民が皆、自分で考えて動けるように…と忙しく旅しているアイシャは自分なりの幸せを見つけたのだろう
Posted by ブクログ
テーマは違うけれどこの時代に生きていくにあたって大事なことを教えられている気がした
香君というタイトル通り読んでいる間中、気品に満ちた温かい香りが漂っているような作品だった
設定の細かさ、秀逸さに脱帽した
800ページ越えだったがあっという間に読めた
Posted by ブクログ
鹿の王を読んでから上橋先生の作品を好きになって、今回この作品を読んでまた好きになりました。
人間が知らないだけだったり、都合の良い悪いに関わらず、世の中では全ての事が複雑に絡み合っていて、バランスをとっていること。またバランスを保つことが大切だということを、いつも感じさせてくれるように思っています。
Posted by ブクログ
植物の香りで植物が望んでいることを理解できる特殊な能力を持つ香君。
活神として崇められ、オアレ稲という国が依存している穀物の栽培方法などの方針を決める。
その香君が、活躍する話。
政治と宗教の関係のような話も含まれており、読み応えは抜群だった。
ファンタジー感が苦手な自分も楽しく読めました。
Posted by ブクログ
上橋さん2作品目。
香りで万物を知るという設定がおもしろい。
作中にもあるけど、“香り“を
どう言葉にするのか、それが難しい。
それを思わせない、文章力。
きっとこんな香りなんだろうなと
私自身も想像しやすかった。
1つのものに頼る、その恐ろしさ。
悲劇が悲劇が生む様子など、
物語にどんどんのめり込む要素がたくさんある。
人並以上の嗅覚をもつアイシャだからこそ
その感覚を誰とも分かち合えないという孤独。
オリエの飾り物として座らされている香君の座。
どちらにも感情移入ができる。
これも長編だけど
読んでみる価値が十分にある
ファンタジー小説になっています。
Posted by ブクログ
オアレ稲とはどういうものなのか。飢えの雲とは何なのか。
食料だけでなく、ひとつの産業に国力の全てを賭けてしまうことの恐ろしさも垣間見える下巻。
物語としては読みごたえがあってあっという間の読書時間だったが、今作は冒険度が高くないのでドラマティックさはいまひとつ。
今の人たちが全ていなくり、長い時が経て再び言い伝えが埋もれて行けばまた同じようなことが起こるのかもしれないが、それもまた歴史なのだろう。
Posted by ブクログ
虫害はどんどんひどくなり、飢餓を止めるため奔走するアイシャ達。
壮大な世界観ながら現実にも通じるところが多くある。
1つのものに依存すると、それと共倒れになる危険性、犠牲を払えずこれ以上は悪くならないと思いたい人間心理…。
多数の設定をすらすらと読ませる筆力がすごかったです。
余談だけどマシュウさぁ、聡明か知らんけど好きな女のために他の人身代わりにしようとしてた自己中男に感じるんだけど…。