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Posted by ブクログ
『だれをよんだって、助けてなんかくれんかった。「まって!」というても、まってはくれんかった。やさしい子だから、あばれんぼうだからって、にがしてはくれんかった。』
等しく、誰もが、火の中を逃げ惑い、死んでいった。
自分の皮膚が焦げていく。焼かれていく。いくつもの戦争の物語を読んだが、こんなにリアルなものはなかった気がする。
(火のなかの声)
『なにも、おまえたちのせいではないぞえ。日本じゅうの、とうさんやかあさんがよわかったんじゃ。みんなして、むすこをへいたいにはやられん、せんそうはいやだと、いっしょうけんめいいうておったら、こうはならんかったでなあ。』
7人の息子を次々に兵隊に取られ、その代わりに植えたキリの木を見上げながら、母はつぶやく。ひとりでもかえしてください。ひとりだけでも…。でも、それは手遅れで、戦争が終わっても、息子たちは帰ってこない…。
(おかあさんの木)
初めて読んだが、大川悦生氏の書く物語は、戦争に対しての怒りがストレートに出ていると思う。