【感想・ネタバレ】毒入りチョコレート事件のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

111108さんの「偶然の審判」への言及に触発されて。
『第二の銃声』は読んだことある気がするけど、こちらは初読。

小説家、兼素人探偵ロジャー・シェリンガムが立ち上げた犯罪研究会の面々が迷宮入り寸前の事件を題材に探偵演習。
ロンドンの”レインボークラブ”の会員であるベンディックス氏の妻が、元々は別のクラブ会員ペンファーザー卿へ送られてきた毒入りチョコレートを食べ死亡した事件の真相を推理する。

一週間の間、銘々が調査し推理した結果を一夜一人ずつ全員の前で披露していくという極めて限定的空間で繰り広げられる思考実験の応酬。
ああ、これが多重解決の”型”なんだなぁと。

ところどころにまどろっこしい理屈のこね合いはあるにはあるが、各人の見せる解決のパターンの多様さや最後に用意されたオチなんかは、最初に聞かされた比較的シンプルな事件のあらましから良くここまで万華鏡的展開を作り出したなぁと感心。
「偶然の審判」でさらに別解があることにも興味深し。

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2022年10月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気読みは出来たし楽しめた。
と同時に、読みにくくもあった。

40年代頃の小説を70年代頃に翻訳したものだが、既に日本語が古臭いうえに、婉曲的な表現がウンザリするほど多い。わずか一行で終わることが3行も4行も書かれている。
これが黄金期のミステリの魅力、と言われればそうなのかもしれないが、現在の小説になれていると辛い。

しかし、内容は一級の出来。パターンとしては「黒後家蜘蛛の会」などと似ており、迷宮入りしかけている一件の殺人事件を探偵クラブの面々が推理し、交互に発表して真相に迫る、というパターンだが、発表するごとに真相がクルクルと変わって行くさまが見事で、ラストの集計表なんて最高の出来。
各人の捜査内容は出てこないので読者が推理することは出来ないのだが、この推理合戦の変遷は読んでいて全く飽きないし、ラストの鮮やかな幕切れも見事。

なるほど、ミステリーの傑作、と言われるだけはあった。

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2017年01月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連夜、各々の推理を順番に披露していくという設定が面白い。
ただ、そこで提示される推理に個性がなく、読み応えがない(ただし途中の「いくつかの条件を満たすのは自分しかいない!犯人は私だ!」は傑作だった。こういった‪”‬個性‪”‬が全員にあると良かったのだが)。精鋭の集団らしいのだが、各々の推理はあまりに杜撰でみな蓋然性しか示さない。「探偵が収集した以外にも手がかりがある場合、推理の正当性は揺らぐ」という問題を作中でも指摘しているが、そもそもの推理が杜撰すぎて、本作を通してその問題について提起できているとは思えない。
また隠し球的存在であるトリのチタウィック氏の推理までも他の人達と似たり寄ったりなので煙に撒かれたような印象を受ける。それだったらいっそのこと「私は偶然良心の呵責に耐え兼ねた犯人から告白を受けたんです」みたいなユーモアのオチの方が良かっただろう。

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2023年10月31日

Posted by ブクログ

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クラブの顔見知り、ユーステス・ペンファーザー卿に届いた箱入りチョコを偶然譲り受けたベンディックス氏。 ところが、大量に食べた彼の妻は死亡し、数粒食べたベンディックス氏はなんとか一命をとりとめる重体に。
チョコレートにはニトロベンゼンが混入されていた。
ベストセラー作家のロジャーは名探偵的人物だけで組織された「犯罪研究会」の六人を集め、迷宮入りしそうなこの事件の謎を解くことを提案。
六人それぞれが推理を披露するが。

かなり昔、児童向けの本(何かの付録?)で読んだことがあったはずなんだけど、かなりはしょられてたなー。
1929年作なので、言い回しや当てこすり表現が難解で、ここのところライトな本ばかり読んでいたので読むのに時間がかかり、何度も睡魔に襲われる。。。
事件はとてもシンプルなのに、推理が始まるとどんどん人間関係が複雑になっていく。推理する側の6人の人間性も見えてきてニヤニヤ。
最後はあっさりばっさりと終わるのも、不思議な余韻を残す。楽しいー!

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2021年05月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バレンタイン前に読めた!
ブラッドレー笑
前の人の推理がどんどん覆されるから、最後に示された推理も真実なのか疑ってしまうよう。なんとも不気味な終わり方。

「なるほど、これが『毒入りチョコレート事件』なのか」

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2021年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

英国古典ミステリの名作とも言われる作品。
毒入りチョコレートを食べた夫婦のうち、夫は一命を取り留め、妻は死亡するという事件が起きた。“犯罪研究会”のメンバー6人が、自らの推理を順に披露する。
それぞれ完璧と思う自説を披露し、それが次のメンバーによって覆されていく。後になればなるほど推理の完成度が上がる。単純な毒殺事件に、6人6様の解釈があり、犯人像があるのが面白い。
久しぶりに翻訳もののミステリを読んだので、文体に馴染めなくて、ちょっと手こずったかな。ラストはちょっとすっきりしない感はあるけど、純粋に推理の過程を楽しめた。

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2016年08月31日

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ネタバレ

未解決事件の概要を刑事から聞き出して、それを参加メンバーが調査・考察した上で、その推理結果を披露するという、この多重推理、多重解決のスタイルは、あからさまに言えば、犯人を一人に絞るだけの十分な手掛かりが示されていない段階で、ああだ、こうだと言い合っているだけにすぎない。
刑事の事前説明を読んだ時点で、後で6人の回答者が示した7人の犯人(うち1人はダミーの犯人)の内の3人までは犯人としての想定範囲内だったし、残りの4人についても、各人の調査内容が小出しに示されると早い段階で該当者に気づく程度のものであり、特に切れのある推理が示されるわけでもない。
各人の調査で徐々に明らかになるある人物の女性関係だが、当然警察でも把握してあるはずのことであり、事前の警察からの説明内容が簡略すぎて、これらの説明が省略されており、各人の思い込み、調査内容で推理に差が生じたのだと感じる。また、前の人が調べた証言が実は間違いでしたと次々と覆されるのでは、何でもありの状態で、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。
最後の人物の回答も抜き差しならない証拠を示してはいないので仮説に過ぎず、さらにその証言も覆るかもしれないので、真相とは言い切れない。

(ネタバレ)
ユーステス卿が小包を受け取った時の目撃者として、ベンディックスがレインボー・クラブに呼び出されたとチタウイックは語っているが、ベンディックスがレインボー・クラブに居たとしてもユーステス卿が小包を受け取ったことを目撃するとは限らないと思うのだが。

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2016年07月10日

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