【感想・ネタバレ】毒入りチョコレート事件のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

古典の名作。
紳士淑女のための限定された推理倶楽部の会員たちが、日替わりで自分の推理を述べてくので、探偵小説の醍醐味であるクライマックスが6度も楽しめる。
これはなかなか探偵小説を読む人への挑戦とも言える試みではないかな。ただ探偵役の推理を鵜呑みにするのではなく、その実証性や証拠の有用性を検証することが、冤罪や間違った推理を見破ることになる。

各探偵たちの得意げに述べる推理が楽しくて、状況証拠でしかないような根拠で推理を進めていても、そうなのかー!じゃあそいつが犯人なんだな!って毎回思ってしまうからおもしろい。
誰かに話したくなるような推理小説であると思う。

0
2022年04月02日

Posted by ブクログ

さすが古典ミステリー!!圧巻。
まごうことなき推理小説ですね。探偵小説ではなく。

事件が起こって材料が出揃っている状態から始まるからすぐに入り込めるしすいすいと読み進められる。
様々な可能性が次々に講じられて休む暇なく話が進んでいく。

愚者のエンドロールから派生して読んだけどこの時代の英国ミステリーをもっと読みたいと思った。
とりあえずレディに捧げる殺人物語が読みたいなぁと。

0
2013年12月10日

Posted by ブクログ

 多重解決ものの先駆けである海外の本格ミステリー。6つの推理が展開される場面は勿論、真相を読者に委ねる構成も面白かった。ただ、古典だからなのか、やや読みにくさはあった。

0
2024年02月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

111108さんの「偶然の審判」への言及に触発されて。
『第二の銃声』は読んだことある気がするけど、こちらは初読。

小説家、兼素人探偵ロジャー・シェリンガムが立ち上げた犯罪研究会の面々が迷宮入り寸前の事件を題材に探偵演習。
ロンドンの”レインボークラブ”の会員であるベンディックス氏の妻が、元々は別のクラブ会員ペンファーザー卿へ送られてきた毒入りチョコレートを食べ死亡した事件の真相を推理する。

一週間の間、銘々が調査し推理した結果を一夜一人ずつ全員の前で披露していくという極めて限定的空間で繰り広げられる思考実験の応酬。
ああ、これが多重解決の”型”なんだなぁと。

ところどころにまどろっこしい理屈のこね合いはあるにはあるが、各人の見せる解決のパターンの多様さや最後に用意されたオチなんかは、最初に聞かされた比較的シンプルな事件のあらましから良くここまで万華鏡的展開を作り出したなぁと感心。
「偶然の審判」でさらに別解があることにも興味深し。

0
2022年10月02日

Posted by ブクログ

殺人事件の研究サークルで、それぞれのメンバーが自分の推理を発表していくのですけれども、最後まで気が抜けないストーリーでした!

殺人に詳しい人々が集まるサークルって、ちょっと興味があります。設定が面白いですよね!

人気が高いのに納得★

0
2021年09月18日

Posted by ブクログ

オールタイムベストの常連のような古典的名作で読もう読もうと思いながら、なかなか巡り会えなかった本作。

やっとめぐりあって読みましたが非常に面白い。提示される犯人に目新しさが有るわけではないですが、探偵6人による謎解き合戦、有る人の推理を次の人が崩して行く様は見ていてワクワクしましたし、自分も推理しつつ「あーでもないこーでもない、なるほどその手があったか」などと考えていたら気づいたら読み終わっておりました。

結末も秀逸ですし、古典好き推理好きには是非是非と言える一作

これも4年以上前だけれども文句なしに面白かった、好き嫌いはあっても古典すきははまりそう

0
2019年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

一気読みは出来たし楽しめた。
と同時に、読みにくくもあった。

40年代頃の小説を70年代頃に翻訳したものだが、既に日本語が古臭いうえに、婉曲的な表現がウンザリするほど多い。わずか一行で終わることが3行も4行も書かれている。
これが黄金期のミステリの魅力、と言われればそうなのかもしれないが、現在の小説になれていると辛い。

しかし、内容は一級の出来。パターンとしては「黒後家蜘蛛の会」などと似ており、迷宮入りしかけている一件の殺人事件を探偵クラブの面々が推理し、交互に発表して真相に迫る、というパターンだが、発表するごとに真相がクルクルと変わって行くさまが見事で、ラストの集計表なんて最高の出来。
各人の捜査内容は出てこないので読者が推理することは出来ないのだが、この推理合戦の変遷は読んでいて全く飽きないし、ラストの鮮やかな幕切れも見事。

なるほど、ミステリーの傑作、と言われるだけはあった。

0
2017年01月14日

Posted by ブクログ

多重解決の先駆けということで、発表当時はすごく衝撃的だったろうな…
今やなんでもミステリと言えるくらい多様化した今からは、その衝撃度合いが羨ましい。
とてもシンプルな事件から、6通りの推理が展開されるんですが、今もってなお、7つ目8つ目の解決アプローチが考え出されているとは。
作者の恣意によって、解決なんて如何様にも、というのは今更ながら目からウロコ。

0
2017年01月11日

Posted by ブクログ

みんなの推理を聞いて、こうだ、いや違う、本当はこうだ、こうなんじゃないか…と、推理が展開して行くのが面白かった。

0
2013年12月02日

Posted by ブクログ

1929年に発売された作品です。
あまりにも有名で、現代の推理小説にもその名が度々登場するので読んでみました。
なるほど、すごい内容です。
犯罪研究会のメンバーの推理合戦がメインストーリーですが、次々に発覚する事実と容疑者。
もはや、犯人が誰がということより、誰の推理が一番納得できるかということに焦点が当てられます。
名探偵が沢山いるため、混乱しました(笑)

0
2024年04月23日

Posted by ブクログ

とにかく名前が覚えにくくて、誰が誰だったかを確認するのにすごい時間を使ってしまった
ユーステス卿とワイルドマン卿を同じ人物だと思いながら途中まで読み進めて、訳が分からなくなった

多重解決物の第一人者で、数々の偉人からオススメされている1冊
面白そうだしせっかくなら古典作品も読んでみようかと手を伸ばしたら、現代ミステリーとの文章の会話の流れの差にびっくりしてしまった
とにかく登場人物の話がくどくて、読んでいてじれったい
自分の頭のせいでもあるけど、老人向けのお話かなあ

ブラッドレーが、色々考え結果犯人は自分ですって展開はちょっと笑ってしまった

0
2024年03月21日

Posted by ブクログ

想像よりも各人の推理は杜撰だったが、一定の筋が通っていて納得してしまった。
チタウィック氏と同感。
構成は面白くて好きだから、もう少し各人の推理パートをすっきりまとめてほしいと思ってしまった。
最後あんなに突然終わるとは驚き。

0
2024年03月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

連夜、各々の推理を順番に披露していくという設定が面白い。
ただ、そこで提示される推理に個性がなく、読み応えがない(ただし途中の「いくつかの条件を満たすのは自分しかいない!犯人は私だ!」は傑作だった。こういった‪”‬個性‪”‬が全員にあると良かったのだが)。精鋭の集団らしいのだが、各々の推理はあまりに杜撰でみな蓋然性しか示さない。「探偵が収集した以外にも手がかりがある場合、推理の正当性は揺らぐ」という問題を作中でも指摘しているが、そもそもの推理が杜撰すぎて、本作を通してその問題について提起できているとは思えない。
また隠し球的存在であるトリのチタウィック氏の推理までも他の人達と似たり寄ったりなので煙に撒かれたような印象を受ける。それだったらいっそのこと「私は偶然良心の呵責に耐え兼ねた犯人から告白を受けたんです」みたいなユーモアのオチの方が良かっただろう。

0
2023年10月31日

Posted by ブクログ

クリスティのミス・マープル・シリーズを読み返している関係で、同時代のクラシックをもう一冊と思って読み返す。1964年「カリブ海の殺人」がキャラクター造詣も鮮やかで一編の小説としても十分に読めるのに対し、1930年「牧師館の殺人」はそれほどでもなかった。ほぼ同時代に発表された1929年「毒入りチョコレート事件」も同様で、キャラクター造詣よりも推理の構成に重きを置いた実験小説といった趣きが強い。しかし、この「探偵推理カタログ」とでも言うべき「毒入りチョコレート事件」が純粋な犯罪パズル時代の頂点(というか限界)を示したお陰で、ミステリー小説と言えども徐々に人間描写に重きを置く時代へと移っていくのであろう。

0
2023年10月22日

Posted by ブクログ

内容は面白いしキャラクターもはっきりしていて完成度が高く、名作と言われるだけあると思う。多重推理という構成も好み。
ただし昔のイギリスミステリー翻訳によくある、言い回しの冗長さだけはどうしても読みにくく、好きになれない。

0
2023年08月19日

Posted by ブクログ

一つの事件の謎に複数の探偵が推理を披露する「多重解決」型のミステリー。なかなか興味深いつくりだったが、作中の探偵たちの「男/女はAだからBである/ではない」といった発想には辟易した。

0
2023年04月22日

Posted by ブクログ

 毒の仕込まれたチョコレート製品を食べてしまった夫妻。夫は一命を取り止めるも夫人は死亡、しかもそのチョコレートは夫妻とは違う人物に贈られた代物だった。迷宮入り寸前警察が助けを求めたのは「犯罪研究会」の面々、斯くして風変わりな面々の推理合戦が始まった。


 推理合戦ものの祖という古典中の古典。推理合戦といえば「ミステリーアリーナ」や「聯愁殺」など素人探偵たちが独自勝手に推理を披露しながら真相に進んでいく形式。本作は素人探偵ながら警察以上の捜査能力や人脈を見せつけ、迷宮入り寸前の事件のはずなのに新事実が出てくる出てくる。登場人物は被害者も含め貴人が多く、端々にお硬い感じが見られる。

0
2023年03月01日

Posted by ブクログ

1つの事件を複数の登場人物が推理するっていう、古典部シリーズや漫画のQEDでも似たような話があったけどその辺の元ネタ。

翻訳がイマイチで読みにくいしトリックが凄い作品でもないけれど、オチが上手い。面白かった。

0
2022年12月28日

Posted by ブクログ

毒入りのチョコレートを食べて死亡するという一見シンプルな事件について、「犯罪研究会」の6人が調査、推理をして順番に発表していく。発表されるたびに新たな事実が発覚し、事件の様相が変わっていく。

最後には犯人(と思しく人物)は判明するが、明記はされていないので、まだ他の解釈をする余地も残されている。実際、『ジェゼベルの死』の著者、クリスチアナ・ブランドは「『毒入りチョコレート事件』第七の解答」を書いている。

イギリスの作家らしく、皮肉っぽい文章が随所にみられる。(作者は女性蔑視の傾向があったらしい)

「こうして誰を憚ることもなく正々堂々と愛し合って、ベンディックス夫妻は現代の第八の奇跡、幸福な結婚を成就したかに見えた。」(p.26)

「もし彼女が五十年前に生れていたら、どんな生活をしていたか、ちょっと見当がつかない。彼女がその時代でも女流作家になったとはとても考えられない。そのころの女流作家といえば(通俗な想像をするならば)白い木綿の手袋をはめ、挙動は激越で、そして、不幸にして容姿からはどう見ても縁遠いロマンスに対して、ヒステリックとはいわないまでも熱烈な憧れを持っている不思議な生物だった。」(p.259-260)

0
2022年09月03日

Posted by ブクログ

6人の人物が各々の推理を発表していく。そしてその推理は各々の特徴を持ち、犯人も違っている。この手法を発明したのはミステリ界においても衝撃だったのではないか。

0
2022年04月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

クラブの顔見知り、ユーステス・ペンファーザー卿に届いた箱入りチョコを偶然譲り受けたベンディックス氏。 ところが、大量に食べた彼の妻は死亡し、数粒食べたベンディックス氏はなんとか一命をとりとめる重体に。
チョコレートにはニトロベンゼンが混入されていた。
ベストセラー作家のロジャーは名探偵的人物だけで組織された「犯罪研究会」の六人を集め、迷宮入りしそうなこの事件の謎を解くことを提案。
六人それぞれが推理を披露するが。

かなり昔、児童向けの本(何かの付録?)で読んだことがあったはずなんだけど、かなりはしょられてたなー。
1929年作なので、言い回しや当てこすり表現が難解で、ここのところライトな本ばかり読んでいたので読むのに時間がかかり、何度も睡魔に襲われる。。。
事件はとてもシンプルなのに、推理が始まるとどんどん人間関係が複雑になっていく。推理する側の6人の人間性も見えてきてニヤニヤ。
最後はあっさりばっさりと終わるのも、不思議な余韻を残す。楽しいー!

0
2021年05月11日

Posted by ブクログ

犯罪研究会の6人が順番に毒入チョコレート殺人事件の犯人を推理していく。訳が私にはまわりくどく感じて、なかなか話に入り込めず、読み終えるのに1週間くらいかかってしまった。一晩に1人ずつ推理を披露していくうちに、だんだんと真相に近づいていき、ドキドキ感はあったものの、面白かった!まではいかず。もし今後別の翻訳が出たらもう一度読んでみたい本ではあるかな。

0
2021年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

バレンタイン前に読めた!
ブラッドレー笑
前の人の推理がどんどん覆されるから、最後に示された推理も真実なのか疑ってしまうよう。なんとも不気味な終わり方。

「なるほど、これが『毒入りチョコレート事件』なのか」

0
2021年02月11日

Posted by ブクログ

『真実はいつも一つ』と言う探偵がいる一方で、自分の高校時代の恩師は『事実は一つでも、真実は人の数だけある』と話していました。現実世界の真実と、ミステリという虚構の中の真実は、言葉は同じでも似て非なるものなのだなあ、と思った記憶があります。

『毒入りチョコレート事件』に登場する「犯罪研究会」の面々が挑むことになったのは、警察もさじを投げたチョコレートによる毒殺事件。会員たちはそれぞれが独自に調査を重ね、一人ずつ推理を発表していきます。

『名探偵コナン』で小五郎が、麻酔銃を撃たれる前に推理を披露して、目暮警部や容疑者たちに散々ツッコミを入れられ、タジタジになったりヤケになったりするのが割と好きです。事件の都合のいい部分だけを推理に組み込んだり、思い込みが激しかったり。
それでもパッと聞く分には辻褄が合っているようにも感じる。そこからコナンが眠らせて、真の推理が始まり「なるほど」となるのがだいたいのパターン。

犯罪研究会の面々の推理も、パッと読む分には筋道が通っているように思えます。でもちょっと考えると「物的証拠なくない?」だとか「容疑者のこと嫌い過ぎてない?」だとか、色々ツッコミどころが出てきます。そして次の会員の推理で「なるほど」と思ったら、それもよくよく考えると、何かが足りなくて……

そしてようやく良い推理が来たと思ったら、証言者が「会員が必死そうだったから」だとか「ここで話を合わせておけば、自分の店の商品を買ってもらえるかも」といった理由で、嘘の証言をしてそれによって推理の根本が崩れ去ったときは、ちょっと笑ってしまいました。

そんなんやられたら、ミステリ成立せんがな……。でも一方で、ミステリのロジックというのは、そんなこと一つで瓦解してしまう、もろいものだということが明らかになるのです。

警察、そして犯罪研究会のメンバーそれぞれの推理は、見事なまでに分かれます。そして最後を飾る推理を披露するチタウィック氏は、各人それぞれの推理や、思考法を表にまとめます。これを見るとまた面白い。

それぞれの探偵の個性や考え方、事件のどこに重点を置くかで、一つの事件がこうも見方が分かれるかと、ある意味感心してしまいました。そしてそれはまさに、高校の恩師が言っていた『真実は人の数だけある』なのです。ミステリの抱えた現実との乖離、そして限界をこのミステリは明らかにするのです。

こうやって考えると、今の本格ミステリはよくやってるなあ、と思います。嵐の孤島もので探偵はまずは絶対に外部犯の可能性を潰します。
ミステリ小説を読んでる人間からしたら、嵐の孤島もので外部犯なんて興ざめなことはないだろう、と毎回思います。それでも、その可能性はきちんと作品内で探偵が否定しておかないと、ミステリはただの屁理屈をこね回し、現実から目をそらした都合の良い小説になってしまうのです。

『人の数だけある真実』ではなく『たった一つの真実』のために。そしてほんの少しの刺激で方向が変わり、崩れてしまう緻密なロジックを組み立てるため、ミステリはどうあるべきなのか。『毒入りチョコレート事件』は、そんなことを後世に考えさせたアンチミステリなのかもしれないです。

0
2020年05月25日

Posted by ブクログ

なるほど、本書をモチーフとしたであろう現代の小説がいくつも頭に浮かぶように、約90年前に書かれたこの作品の”古典”たる所以がよく分かった。
ただ、今でこそクラシックとして語り継がれているが、出版された当時は、それまでの王道たるミステリーたちをある意味で徹底的に皮肉ったとも言える本書は、充分革新的かつ実験的な小説と受け止められたことだろう。
新版とはいえ、翻訳の言い回しなどは古めかしく、若干読み難いのが残念。

0
2019年05月29日

Posted by ブクログ

そのうち読みたいと思ってた作品の一つ。読みにくいですが、短篇のミステリーを何冊も読んだような読後感です。

0
2017年02月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

英国古典ミステリの名作とも言われる作品。
毒入りチョコレートを食べた夫婦のうち、夫は一命を取り留め、妻は死亡するという事件が起きた。“犯罪研究会”のメンバー6人が、自らの推理を順に披露する。
それぞれ完璧と思う自説を披露し、それが次のメンバーによって覆されていく。後になればなるほど推理の完成度が上がる。単純な毒殺事件に、6人6様の解釈があり、犯人像があるのが面白い。
久しぶりに翻訳もののミステリを読んだので、文体に馴染めなくて、ちょっと手こずったかな。ラストはちょっとすっきりしない感はあるけど、純粋に推理の過程を楽しめた。

0
2016年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

未解決事件の概要を刑事から聞き出して、それを参加メンバーが調査・考察した上で、その推理結果を披露するという、この多重推理、多重解決のスタイルは、あからさまに言えば、犯人を一人に絞るだけの十分な手掛かりが示されていない段階で、ああだ、こうだと言い合っているだけにすぎない。
刑事の事前説明を読んだ時点で、後で6人の回答者が示した7人の犯人(うち1人はダミーの犯人)の内の3人までは犯人としての想定範囲内だったし、残りの4人についても、各人の調査内容が小出しに示されると早い段階で該当者に気づく程度のものであり、特に切れのある推理が示されるわけでもない。
各人の調査で徐々に明らかになるある人物の女性関係だが、当然警察でも把握してあるはずのことであり、事前の警察からの説明内容が簡略すぎて、これらの説明が省略されており、各人の思い込み、調査内容で推理に差が生じたのだと感じる。また、前の人が調べた証言が実は間違いでしたと次々と覆されるのでは、何でもありの状態で、馬鹿馬鹿しいとしか言いようがない。
最後の人物の回答も抜き差しならない証拠を示してはいないので仮説に過ぎず、さらにその証言も覆るかもしれないので、真相とは言い切れない。

(ネタバレ)
ユーステス卿が小包を受け取った時の目撃者として、ベンディックスがレインボー・クラブに呼び出されたとチタウイックは語っているが、ベンディックスがレインボー・クラブに居たとしてもユーステス卿が小包を受け取ったことを目撃するとは限らないと思うのだが。

0
2016年07月10日

Posted by 読むコレ

僕も大したミステリ読みではありませんが、確かにこれは斬新。初めて経験する感覚でした。
名探偵全盛時代の作品でありながら、明確な主役が不在のまま進む展開には驚きを禁じ得ませんでしたが、読み終えてみると、仮説と反証の丁寧な繰り返しは謎解きにかかる模範的思考実験の流れのよう。
あたかもこの一冊が名探偵の脳内を覗いたものかと錯覚するような作品でした。
分かり辛い内容で一見さんお断りな雰囲気が難かな。
読解力が足りない僕は「このネタの伏線ってあったっけ?」と逆転ネタが悉く後出しで加えたものに見えてしまって残念。
再読必須か。

0
2014年03月14日

Posted by ブクログ

恐らく色んなパロディされているものの、大本!

チョコレートを食べて亡くなったユーステス卿事件の犯人を7人でめいめいに推理し、1つの推理によって前段の推理が否定されていく形。体裁としては「火曜クラブ」(こちらが先?)結局、何が真相かは明示されません。

それぞれにいかにも正しそうな雰囲気があります。

0
2014年02月02日

Posted by ブクログ

ある事件に対して複数の探偵が順番に自分の推理を披露するミステリ。当然一番最後の探偵が事件を解決する。

正直に言って、最後の探偵の推理が正解だと分かっているわけですから、序盤〜中盤に掛けてはとっても退屈。的外れな推理を延々聞かされるわけですから……。終盤に入ると核心に迫ってきて非常に面白くなりますが、古典的な持って回った言い回しもあり、興味のある人以外は苦痛な読書体験になりそう。

古典的名作なので興味のある方は手に取ってみては。

0
2013年11月06日

「小説」ランキング