もう、表紙に書かれています。認知症というテーマが難しいことは。『…認知症に特徴的なのは「生活の障害」が基準になっていることです。…つまり、生活に支障がなければ認知症ではありません。でも、生活に支障があると診断しても。医学には解決できませんよね。認知症は、介護や家族の支えというものを前提とした診断基準
...続きを読むになってるという、珍しい病気です。…』東日本大震災で被災し家を建てるところまで乗り越えた、おばあちゃんが認知症になってしまって、その状態に翻弄される娘と孫娘の大変さ。いや、なってしまったおばあちゃんの大変さ。認知症とはどんな病気かを啓蒙する新書にマンガってどうよ、ぐらいの感じでしたが、マンガでなければ伝えきれないテーマだと思いました。痴呆症という言葉が認知症という言葉に置き換わっただけで病気に対する理解が変わる、ということに見られるようにどんな言葉で病状を捉えるか、ということが大切な要素です。本書でもMCI、夕暮れ症候群、見当識障害、遂行機能障害などなど、認知症のさらに先の理解を進める重要なキーワードがいっぱい出てきます。それを解説するのはこの本のもう一人の著者、佐藤眞一博士。非常に当事者と介護者、双方に寄り添い丁寧に語り掛けてくれますが、孫娘ニコさんのマンガが無ければやはり難しく重苦しく避けたい内容になったかも。親にも起こり、自分にも起こる問題として、このテーマを自分事として引き寄せるためには、本書は「マンガ認知症」ではなければならなかった、と思いました。