「雨そのものというより、雨の日が好きなんだ。」
小学6年生の七海は、お母さんが再婚して、新しいお父さんとお姉ちゃんができた。家族が増えてうれしいはずが、体が弱くて入院中の姉に、お母さんもお父さんも付きっきり。お母さんまでうばわれたような気持ちになる。
それに、自分だけお姉ちゃんに面会させてもらえ
...続きを読むない。なぜだろう。両親がいない日、七海はないしょで姉がいる病室をたずねることにするーー。
きれいで人気者の友だちと自分をくらべて落ちこんだり、病気のお姉ちゃんを「かわいそう」と思ったり、うらやんだり……。そうして悩みながら、七海は、自分や相手と向き合っていく。
七海は、友達、母親、父親、そしてお姉ちゃんに、自分の本音を伝え、ときに後悔したり、ぶつかったりしながら新しい関係を築いていく。不器用だけど、一生懸命に成長していく七海の姿に心が打たれる。
誰かと自分を比べて悩んでいる人、誰かと深く理解し合えるようになりたい人に、ぜひ読んでほしい1冊。
「なんかさびしくて、涙が出そうだった。
悟らないでほしい。あきらめないでほしい。
でも、それは言えなかった。そんなことを言うほうが、残酷かもしれないから。」