2009年から2015年までに連載されたコラム。
このくらいの古さだと、大きな出来事は忘れていないし、実はそういうことだったのかという新たな発見もあって、面白かった。
3.11の時、私も小沢一郎は何をしているんだろうと確かに思ったんだよね。
今こそ政治家として地元のために汗を流すときじゃないの?
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そうか。
人より早く情報を手に入れられるからこそ、身を隠していたというわけか。
それに引き換え、小沢一郎の(当時の)奥さんの男気のあること。
こういう時に人間性が出るのだねえ。
昨年突然ノーベル文学賞などを受賞して時の人になったボブ・ディラン。
結構頻繁に日本でもライブをやっていたこともこの本で知りました。
町の本屋さんやCDショップがどんどんなくなっているのは知っていましたが、映画館もどんどんなくなっているのですね。
名画座や二番館など。
ネットで買えるから町の本屋さんやCDショップがなくなったように、いつでもDVDでみられるから映画館もなくなっていく。
便利になっていくことが、選択肢を減らしているというのが何とも皮肉。
少々不便でも豊かだったころが懐かしいと思うのは、私も年を取ったということなのでしょう。
最初からこういう生活をしている現代の若者は、別段不自由も感じていないのでしょうし。
100年前、内田魯庵が嘆いたこと。
明治維新のころ「一国の文明を根本より改造しようとする意気が全国に溢れてゐた」のに、明治の終わりには〈閥族や成金や政党屋どもが相集まって議するものは藩閥維持、政権の争奪、保護金の割取、妥協、情意投合、皆国家の下に行はるゝ勢利の問題である〉
そして青年たちに教えるものは
〈勤倹、貯蓄、規律、服従等の虚勢的道徳であつて早学問の講義録や世渡り中心の教育談や腹式呼吸法や浪花節のみがしきりに攻究せられる〉
虚勢的道徳。なるほど。