「明治おいしい牛乳」や「ロッテクールミント」などのパッケージデザインを手がけた、グラフィックデザイナー佐藤卓さん。
「デザインを通して人の営みを考える」ことの面白さ。「日常生活、無意識に触れている事物の中に潜む数多くのデザイン」を紐解いた一冊。
何だか難しそうなタイトルたけど、内容はとても分かりやす
...続きを読むく読みやすい。
数々のプロダクトの写真も白黒だけどしっかり掲載されているところもポイント。
・卓さんは、藝大デザイン科に一浪して入学。その後、電通に入社する。面接のときは、幾何学模様のプレゼンをしたという。
(どんなポートフォリオだったんだろう。見てみたいな)
・電通入社後、自身の転機となったのは、ニッカウィスキーの商品開発の自主プレ案件。
依頼ではなく、自主プレのため、商品の容量や値段、パッケージ、ネーミングも全て卓さんが検討したという。
空き瓶を二次利用してもらうことも考え、シールを剥がしやすくした、というアイデアも良いなと思った。(意図的にぼかされているけど、表紙で使われている商品です)
無事展開され、ウイスキーの瓶が青山のブティックのウインドーでディスプレイとして二次利用されているところを見たときはとても嬉しかったという。
・デザインの起源を遡る記述も興味深かった。
印象派の時代に印刷物としてのポスター制作を行なっていたロートレックの存在がデザインの歴史を辿る上では大きいという。
そして、ロートレックと同じ時代に活躍した印象派画家達に影響を与えたのは江戸時代の浮世絵だという。
・「クールミントガム」
これは卓さんを語る上で外せない。卓さんのデザインした商品の中で、個人的には一番好きだ。(2枚目)
電通を通じてガム全体のリデザインの依頼があり、7社ほどの競合コンペで勝ち取った案件とのこと。
店頭でガムがどのように見えるかを考えたとき、正面だけでなく、天面も重要だと気づき、そこに、既存で入れていたペンギンくんを配置した。
そのペンギンくんの人間のような感じが良いんだよな−。
「デザインがあまり変わり過ぎて欲しい商品を見つけられなくなったら本末転倒。」という考えに納得。
リニューアルという考え方は、さじ加減が難しい。既存のペンギンくん(3枚目)を残してリニューアル感を出したところはさすがだと感じた。
(ただ、2014年再リニューアルで卓さんデザインのパッケージは姿を消したようです。残念。。)
・「明治おいしい牛乳」
明治から出てきた、絞られた3案のネーミング案は卓さんは最初、どれも気乗りしなかったという。
ただ、実際に手を動かしてデザインに当てはめたとき、その中の一案の、「明治おいしい牛乳」というネーミングをしていないような、演出を感じさせないネーミングが力を持ち始めたという。
必要以上に施していないデザイン。演出をできるだけ抑えること。
・「デザインの解剖」
この企画も、卓さんの代名詞の1つですね!
身近な物事をデザインの視点で解剖しようとした試み。
「多くの人が何気なく使っている大量生産品を介して、いわばデザインとは何であるかを考えるきっかけが作れないか。」
と考えたことから始まった。
自身がパッケージデザインを担当した「キシリトールガム」や「おいしい牛乳」(4枚目)。
「写ルンです」では、カメラの断面などを見せて構造を紐解き、
「リカちゃん人形」では、「眼」の変遷などを通して、時代の化粧を反映していることがわかることを解説。
・「21_21 DESIGN SIGHT」
東京ミッドタウンの一角にある展示場。
三宅一生氏が発起人で、卓さんと深澤直人氏が組んでそこで行う展示を計画。建物は安藤忠雄氏が設計。
久々に行ってみたくなった。
・「デザインあ」
デザイン教育に力を入れ始めた卓さんは、「にほんごであそぼ」のアートディレクションを経て、「デザインあ」の制作を進める。
身の回りに潜むデザインをどうすれば面白いと感じてもらえるか、その考えを膨らませて番組が出来上がったという。
デザインあ。
毎回録画するほど好きな番組だったので、今休止となってしまったのがとても残念です・・・。
早く再開してくれますように。