岩井圭也のレビュー一覧

  • 付き添うひと
    自分や自分の息子も、何かがちょっと違えば登場人物と同じだったかもしれない。と思って、自分に重ねてしまい泣けた泣けた。
    とても面白かった。

    岩井さんの作品を読むのは初めて。
    京王線とコラボしている無料配布の小説で知った作家さん。男性作家さんの小説は、セリフがちょっとカッコつけすぎというか「こんな言い...続きを読む
  • われは熊楠
    常人ならざる「脳力」と、
    嵐のように己の内に荒れ狂う情熱、感性。
    生きていく道筋も見えないまま、
    それでも知りたいことに没頭せずにはいられなかった南方熊楠の評伝小説。

    この御しがたい知への渇望、
    そして知ることの喜び。
    読書が好きな人なら、きっと刺さるはず!

    ラストに熊楠がたどりついた世界が美し...続きを読む
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
    面白かった。
    読んでいてタイトルの意味に納得。
    そして歩容鑑定、炭化深度、燃焼残渣。。科学鑑定方法も興味深かった。
    冷静に真実を求める「最後の鑑定人」と呼ばれた元科捜研エースの土門誠。
    助手の高倉柊子とは最高のコンビ。是非続編期待。
  • 最後の鑑定人【電子版特典付き】
     土門誠。事件に関わる物証を科学的に解析する鑑定のプロだ。かつて科捜研のエースだった土門だが、ある事件がきっかけで退職し、民間鑑定所を立ち上げ独立した。

     「彼に鑑定できない証拠物なら、他の誰にも鑑定できない」と言われた土門のもとには、現在でも鑑定困難な証拠物件が数多く持ち込まれる。

     これは「...続きを読む
  • 文身
    初めての作家さん。
    一気に引き込まれた。

    分かっていたはずの虚構と現実が、最終章でぐちゃぐちゃになる。何度も読み直して、時々思い返して悩む。何日も掛けてようやく答えが出た。

    娘明日美を描いてこなかった理由。しばらく放心した。
  • 暗い引力
    6編が収められたダークな短編集

    *海の子
    *僕はエスパーじゃない
    *捏造カンパニー
    *極楽
    *蟻の牙
    *堕ちる



    短編なのをすっかり忘れて読み始めた

    第一話「海の子」
    告別式を終えた日の夕方、
    妻を病で亡くした佐々木は、二十歳の息子・海太と仏壇の前にいる場面から始まる。
    私は一瞬で物語に引き...続きを読む
  • われは熊楠
    読む前は南方熊楠ある程度は知っているつもりでしたが、この評伝を読んで奇想天外な生涯に驚愕しました。博物学、民族学、生物学特に菌類学の執念には驚かせるものがありました。こんなにも壮大な評伝はいまだかつて読んだことのない作品でした。ぜひともNHKの朝ドラになってほしいと思ってしまいました。南方熊楠を知る...続きを読む
  • 永遠についての証明
    書籍に関して「誰が書くか」にはあまり頓着がなく、『楽園の犬』のついでとして買った本作だった。しかし読み終わって後書きを読んで初めて「これが岩井圭也という作家のデビュー作なのか」と驚嘆した。自分と同じ年代の人間が、デビュー作でこれを書けるのか。あまりに驚いて、中身についての感想を書く余裕がなくなってし...続きを読む
  • 完全なる白銀
    終盤の登攀の描写には息苦しさを感じた。とんでもなく面白いとかストーリーが最高とかではないが、個人的にすごくお気に入り。自分が今登山にとても興味があるというのも影響していると思う。登山を感じてみたい人にはぜひ読んでほしい。岩井圭也さんに興味を持ついいきっかけになった。
  • 暗い引力
    暗い引力。実に的確なタイトルだった。
    岩井圭也氏は心癒される作品が多いと思っていたが、この小説は心の暗部をじわじわ見せつけてくる。
    各短編は勧善懲悪ではない結末がまた唸らせる。2話目の夫婦の話は実に身につまされる話で、このような夫婦関係に自らの生活を顧みて疑心を浮かばせてしまった程である。
    人が暗い...続きを読む
  • 夏の陰
    こちらのアプリが履歴を見ておすすめしてくれたので読みました。岩井先生は初読です。

    結論からいうと、面白くて一気読みでした。被害者の息子と加害者の息子の両面から描くことで、どちらの苦悩にも思いを馳せることができました。
    事件の真相が段々と明らかになりますが、最後まで読むと様々なことが腑に落ちます。
  • 永遠についての証明
    今年に入って岩井さんの本をはじめて読み、4冊目の本作。期待を裏切らない…。
    後半の切なさや孤独感に胸が苦しくなった。
  • 楽園の犬
    ──「死は、死でしかない。」
    許容される死も、許容されない死もない。
    どんな言葉で飾り立てようと同じことだ。──


    時は1940年、太平洋戦争勃発直前。
    主人公の麻田は日本海軍のスパイとして、サイパンへ渡る。
    横浜には、妻と幼い息子を残してきた。
    麻田は、海軍士官の堂本少佐の元で“犬”となるのだが...続きを読む
  • 楽園の犬
     馴染みのある苗字の作家というだけで応援している岩井圭也氏。前回の「完全なる白銀」は自分の好きなジャンルである山岳小説ということで読んだが、今回はどんな小説なのか。題は「楽園の犬」。ハチ公か、などと想像を膨らましてみたが、いい意味で裏切られた。楽園とはサイパンのこと。昭和15年からの話なので、どんな...続きを読む
  • 永遠についての証明
    私は全くの文系人間なので、数学の世界は全くわからないけど、数学の天才、数覚のある人の見ている世界を想像させてもらえた。
    ある種の天才がたどる、天才が故の孤独と狂気。
    そういう人に畏怖の念を抱いてしまう。
    天才は幸せなのか、とかそういう次元の問題じゃなくて、それはもう宿命なんだろう。
  • 楽園の犬
    太平洋戦争が勃発する直前、南洋サイパン島を舞台にスパイ活動という密命を帯びた主人公の活躍や生き方に焦点を当てながら、軍人や島民の姿、南洋社会の様子などを描いたスケール感あふれる長編小説。
    主人公・麻田健吾は東京帝国大学を卒業して英語教師になったが、持病の喘息が悪化し、休職中に旧友から別の就職先を提案...続きを読む
  • 付き添うひと
    大人(小説の中では親)の都合や無理解に振り回されたり搾取されたりして、傷ついて心閉ざした非行少年や不良行為少年、助けを求めてきた少年たち。ホームレスへの暴行疑惑、虐待からの避難、家出、SNSでの誹謗中傷など。そんな少年たちに寄り添い真摯に向き合う付添人のお話し。少年の利益が最大になるよう動くことが信...続きを読む
  • 永遠についての証明
    稀有な数学センスを持つがゆえの孤独。
    ようやく得た理解者と、その繋がりへの執着。
    それらを抱えながら、転がるように落ちていく過程が痛ましい。
    選ばれし者のみが見ることができる美しい世界、素晴らしかった。
  • 夏の陰
    加害者の子と被害者の子。
    二人に降りかかる出来事がどうしようもなく理不尽で辛い。
    孤独と虚しさと憎しみに蝕まれながらも、剣の道に生きる二人の邂逅に引き込まれた。
    最後は思わず涙した。
  • 楽園の犬
    第二次大戦前,サイパンを舞台に海軍のスパイとして生きることになった喘息の持病のある麻田,防諜の中で自殺や殺人事件の謎を解く.戦争へと突入する中で家族を思い生きることを諦めないその姿勢に心打たれる.