江川卓のレビュー一覧

  • 地下室の手記
    ネガティブな人はきっと好きだと思う
    でも、社会不適合者じゃない大多数の人にこそ読んで欲しい

    安っぽい幸福と高められた苦悩と、どっちがいいか?
    ぼくらは死産児だ
    のところ、僕もずっとそんなことを考えていたんだ!って泣きそうになった。
    ずっと考えてた人に言えないモヤモヤを言い当ててくれたみたいな清々し...続きを読む
  • 罪と罰 上
    初罪と罰は亀山訳だったが、こっちの江川訳の方がなんかしっくりくる感じがある。
    マルメラードフのどうしようもなさ、でも憎めなさ。
    ラズミーヒンいいやつすぎ。
  • 罪と罰 下
    最後の方は一気に読んでしまった。外国文学の、あるいは古い作品のあの独特の劇のような語り口は正直得意では無いのだが、主人公の行く末を早く見届けたくて手が止まらなかった。
    罪への意識、というものはかくなるものなのか。
  • 地下室の手記
    <ぼくは病んだ人間だ。…僕は意地の悪い人間だ。およそ人好きのしない男だ。ぼくの考えではこれが肝臓が悪いのだと思う。もっとも、病気のことなどぼくにはこれっぱかりもわかっちゃいないし、どこが悪いかも正確には知らない。(P6)>
    元官史の語り手は、おそろしく自尊心が強く、極端な迷信家で、あまりにも自意識過...続きを読む
  • 罪と罰 下
    就活をしながらダラダラと読み終わった。
    あまり、タイミングが良くなかったかもしれない。


    罪を犯したが未だ罰せられずにいる主人公は、罪が露見する恐怖や、後ろめたさから生じる孤独感に苛まれる。

    彼が許されざる犯罪を行った理由は、自分や家族が置かれた環境を変えること、そして彼の理論を実証することにあ...続きを読む
  • 地下室の手記
    書いてる言葉や言い回しは分かりやすいんだけど、話が重く、感情が生々しいせいで読むのにかなりの体力を消費した。しかしその分主人公の気持ちに感情移入出来て、読み終わったあと大きな満足感を得ることが出来た。

    呼ばれてもないパーティーに無理やり主人公が参加するシーンは読んでて凄くムズムズした。共感性羞恥と...続きを読む
  • 罪と罰 上
    オーディオブックで聴きました。以前、罪と罰を読んだ時は、登場人物の呼び方が複数あり分かりにくかった。そのため、登場人物やあらすじを見ながら聞きました。

    1章1 老婆からお金を借りる。
     ラスコーニコフは、ある計画実行のために老婆からお金を借りる。その後、近くの汚い居酒屋に初めて行き、ビールを飲ん...続きを読む
  • 地下室の手記
    何とも心にずっしりと重い。その重さの原因は、まるで自分自身の事を誇張して語られているような主人公の語り。自分が何故苦しみながら生きないといけないのか?知能が低い故にその苦しさに気付かない人たちは羨ましい。自分は優れているが故にその苦しみに気が付いてしまう、というのが主旨かと思うが何か共感できる。

    ...続きを読む
  • 罪と罰 下
    ものすごい量だったけど、読み終わったぜー。今年の冬から読み始めて、ゴールデンウイークでなんとかケリつけた。苦行だったけど、読み終わった後にはものすごい爽快感が。是非とも読むべき。色んな日本の小説やアニメを思い出しながら読んだ。宮崎駿は特にヤバい。魔女の宅急便も猫の恩返しも、もう純粋な目では見られない...続きを読む
  • 罪と罰 下
    貧困と混沌とした社会で苦悩し、葛藤する人々の物語。人の心を守り正しい方向(平和、自由、人権尊重といった現代の我々が持つ普遍的な価値観)に導いてくれるのが愛情であり、信仰なのだと思った。
    ラスコーリニコフは、大きな罪を犯しながらそれを悔悟したが、周りの人たちの愛情によって救いを得ることができた。
    彼ほ...続きを読む
  • 地下室の手記
    「 たまたま何かのきっかけで勇気をふるうことがあったとしても、そんなことでいい気になったり、感激したりしないがいい。どうせほかのことで弱気を出すにきまっているのだから。」

    「 だれかに権力をふるい、暴君然と振る舞うことなしには、ぼくが生きていけない人間だということもある……」

    「 安っぽい幸福と...続きを読む
  • 罪と罰 下
    主人公がもし、満たされていて幸せなら金貸しを殺したりしなかっただろうし、どんな人でも環境が悪化して強いストレスに晒され続けたら凶行に及ぶ危険性があるんじゃないかと思った。
    ドストエフスキーは読む時に多大な集中力を必要とするから結構疲れる。貧しき人びとが一番好きー。
  • 罪と罰 上
    上中下を読み終わったのでこちらに感想など。

    大学生ぐらいの時も「罪と罰」を読んだのだけど、その時はさっぱりと面白さが分からなかった。ドストエフスキーの饒舌な文体の癖もあるんだと思うのだが、文章が冗漫すぎて意味が理解できなかった。

    この岩波の新しい版は、翻訳が易しくて読みやすいと思う。結構、現代的...続きを読む
  • 地下室の手記
    ■憎悪、偏愛、嫌悪、復讐、執念、侮蔑、屈辱、恥辱、虚栄、悔恨、演技、腐敗、自虐、臆病、傲慢、苦悩、エゴイズム…病的なおもしろさ■


    「僕にとって愛するとは、暴君のように振る舞い、精神的に優位を確保することの同義語だからだ」

    手記の著者である主人公は、自身で認めるとおり、虚栄心の塊みたいな男である...続きを読む
  • 地下室の手記
    大学時代、とある論文を評価してくださった教授から本書をいただいた。
    全編を通して重くて暗いが、
    1人の男の独白の中に実存の重みを確かに感じた。
  • 罪と罰 上
    『あれはどこで?』ラスコーリニコフは先へ歩きながら考えた。『どこで読んだんだっけ?なんでも死刑を宣告された男が、死の一時間前に言ったとか、考えたとかいうんだった。もしどこか高い岩壁の上で、それも、やっと二本の足で立てるくらいの狭い場所で、絶望と、大洋と、永遠の闇と、永遠の孤独と、永遠の嵐に囲まれて生...続きを読む
  • 地下室の手記
    親しくもない友達の送別会に無理矢理参加して逆ギレし、酔って風俗嬢に説教するという、この主人公のやってることは最悪なんだけど、こいつのことが可愛そうで可愛くて、抱きしめてやりたくなる。
    あーでもないこーでもないと考えを巡らせ、リーザの考えを勝手に想像していきなり怒り出したり泣き出したりする。これは鬱状...続きを読む
  • 悪霊(下)
    下巻では、シュピグーリン工場の連中が起こした火事を契機に、物語が一気に加速する。
    ピョートルを中心とする《五人組》と呼ばれる組織がロシアの転覆を企てている。
    それを背後で動かしているのはスタヴローギンなのか?
    その人間像は僕には最後までわからなかったが、彼が自殺したときの衝撃は忘れないだろうと...続きを読む
  • 悪霊(上)
    これまでに何冊か読んだドストエフスキーの小説の中で、最も難解な作品。
    主人公はステパン・トロフィーモヴィチではなく、ニコライ・スタブローギンだとわかるまでに時間がかかった。
    上巻のクライマックスは、ニコライとガガーノフの決闘であろうか。
  • 罪と罰 下
    19世紀ロシアの小説家ドストエフスキー(1821-1881)後期の長編小説、1866年。

    一般的には、実存思想の先駆とも云われ、思想小説と見做される。しかし、主人公ラスコーリニコフが殺人に到るまでの心理描写や、予審判事ポルフィーリイとの論争場面、さらに終盤のスヴィドリガイロフとドゥーニャとの緊迫し...続きを読む