作品一覧 2016/12/30更新 悪霊 試し読み フォロー 地下室の手記 試し読み フォロー 罪と罰 試し読み フォロー 1~3件目 / 3件<<<1・・・・・・・・・>>> 江川卓の作品をすべて見る
ユーザーレビュー 地下室の手記 ドストエフスキー / 江川卓 ネガティブな人はきっと好きだと思う でも、社会不適合者じゃない大多数の人にこそ読んで欲しい 安っぽい幸福と高められた苦悩と、どっちがいいか? ぼくらは死産児だ のところ、僕もずっとそんなことを考えていたんだ!って泣きそうになった。 ずっと考えてた人に言えないモヤモヤを言い当ててくれたみたいな清々し...続きを読むい気持ち ありがとう Posted by ブクログ 罪と罰 上 ドストエフスキー / 江川卓 初罪と罰は亀山訳だったが、こっちの江川訳の方がなんかしっくりくる感じがある。 マルメラードフのどうしようもなさ、でも憎めなさ。 ラズミーヒンいいやつすぎ。 Posted by ブクログ 罪と罰 下 ドストエフスキー / 江川卓 最後の方は一気に読んでしまった。外国文学の、あるいは古い作品のあの独特の劇のような語り口は正直得意では無いのだが、主人公の行く末を早く見届けたくて手が止まらなかった。 罪への意識、というものはかくなるものなのか。 Posted by ブクログ 地下室の手記 ドストエフスキー / 江川卓 <ぼくは病んだ人間だ。…僕は意地の悪い人間だ。およそ人好きのしない男だ。ぼくの考えではこれが肝臓が悪いのだと思う。もっとも、病気のことなどぼくにはこれっぱかりもわかっちゃいないし、どこが悪いかも正確には知らない。(P6)> 元官史の語り手は、おそろしく自尊心が強く、極端な迷信家で、あまりにも自意識過...続きを読む剰で、とても臆病で、際限なく虚栄心が強く、他人との交流もできず、心のなかで鬱屈を抱えている。 遺産によりまとまった資産を手に入れた語り手はペテルブルクの片隅のボロ家に引き込んだ。そんな生活をしてもうすぐ20年にもなる!やることといえば心の鬱屈を手記にぶちまけるだけ。 あれも気に食わない、これも嫌い、人から嫌われることばかりするのに人に尊敬されるだろうと思っている、昔のことばかりグジグジ繰り返している、この手記だって自分のために書いているけれど、世間の諸君が読むかもしれないではないか! …という感じのグジグジぐだぐだウジウジした語りが続き、「この話全部この調子なの…(´Д`) 」とえっらく読むのに時間がかかった。 しかしその語りは最初の60ページまでだった。その次の章からは、自分の鬱屈した正確を示すものとして、まだ引きこもる前の若い頃の出来事が語られる。これが「なにやってんのーー」と、けっこう笑えてきた。 ●語り手は、ある将校に無視されたことから数年に渡り一方的に恨みを持つ。いつかあの将校に自分がどんなに重要な人物かを認めさせ、詫びさせてやる!語り手は将校の後をつけて彼のことを調べる。通りでは何度もすれ違った。だが将校は自分を認識すらしない、こんな屈辱があろうか!こうなったらあいつをネタにして誹謗中傷小説を書いてやる!出版社に送ったのに無視された!悔しい!!こうなったら決闘だ!語り手は決闘申し込みの手紙を書く。我ながらなんたる美文!将校がわずかでも<美にして崇高なもの>を解する男だったら、ぼくの素晴らしさがわかるだろう!この手紙はかろうじて投函されなかった。だって何年も経ってるんだもん、さすがにわからないかもしれないよね。 それでは通りであの将校に道を譲らせてやる!それにはまずぼくのことを認識させないといけない、では身なりを整えないとな。上司に給料の前借りをして、あらいぐま…いやビーバーのコートを買って、手袋はレモン色…いや黒のほうがいいだろう。 自分を認識していない相手に何年も執着し、独り相撲して、勝手に苦しみ、誹謗中傷小説まで書き(無視されたが)、やったことは「通りですれ違う時に、ぼくの方から避けずに肩がぶつかったぞ!ぼくの勝ちだ!!」 ⇒そ、そういうことにしておこうか… 現代で言えばネットに誹謗中傷書きなぐるタイプだな、妄想の中で満足してまだ良かった。 ●ぼくはあらゆる空想をする。自分自身が空想の中ではあまりにも素晴らしく幸福の絶頂を味わい、全人類と抱きあいたいたい気分になる!!そこで学生時代の友人を訪ねた。 そこではかつての学友たちが集まっていたんだが、語り手の姿を見ると明らかに嫌そうな雰囲気になる(語り手の一人称だが、それがわかる)。学友たちは、遠方に将校として赴任するもう一人の友達ズヴェルコフの送別会を計画していた。このズヴェルコフは語り手は全くタイプが違い、出世街道に乗り、女を口説き、仲間と酒を飲み明かす生活を楽しんでいる。 そんなズヴェルコフの送別会なので当然語り手は招かれない。そこで語り手は「ぼくを忘れちゃ困る!!ぼくも彼の送別会に行く!!」と突然のアピール。あっからさまに嫌がる学友たち。うん、気持ちはわかるぞ!! ⇒現代で言えば「自分だけ同窓会に呼ばれない」エピソードですね(;^ω^) ●送別会では自分の偉大さを認識させてやる!…と、乗り込んだが誰もいない。そう、時間変更していたのに知らされなかったのだ。 ●それでもみんなもやってきてズヴェルコフの送別会が始まる。あっからさまに無視される語り手!それでも現代の待遇を馬鹿にされたり、嫌味丸出しのスピーチをして場を険悪にする。元学友たちに完全に無視された語り手は、送別会の三時間の間部屋を有るき回る語り手!ずっと無視される!だが語り手は「自分の存在はみんなに刻み込まれたはずだ」とうそぶく。 ●送別会の二次会で娼館にしけこもうという元学友たち。語り手は「ぼくも行くぞ!金を貸してくれ!!」あまりのみっともなさに、学友の一人が「恥知らず!」と投げてよこした金を手に取り娼館へ向かう。道中でも頭の中では「あいつらに思い知らせてやる!」などと考えているが、この勇ましい言葉も有名ロシア文学からの受け売りでしかないんだ。 ●娼館でも取り残された語り手は、残り物の娼婦のリーザと部屋へ。事後のベッドで語り手はリーザ相手に御高説をぶちまける。 娼婦の君の人生とはなんだ!?きみはこの仕事と魂を引き換えにしたのさ! リーザは答える。「あなたの話って、本を読んでいるみたい」そう、語り手がどんな演説しようとも、受け売りが見透かされてしまうのだ。それでもリーザは我が身を振り返り号泣する。 ●娼婦リーザは、自分が娼婦と知らない男からもらった手紙を語り手に見せる。自分をちゃんと扱ってくれる男だっているのよ、という拠り所だった。 ⇒リーザは見かけとしては可愛げない様子だが、この大事な手紙を語り手に見せる場面はとてもいじらしい。 ●語り手はリーザに自分の住所を教えて「訪ねてこいよ」なんて言う。しかし帰ってから後悔する語り手。本当に来たらどうしよう、リーザは自分が語った言葉を聞いて、自分が崇高な人間だったと思ったに違いない、だがこんなボロ屋見せられないし、事後でもないのに格好いいことなんて言えない。リーザのところに行って「やっぱり来るな」っていおうか、いやそうもいかない、うぎゃーーーーー、と葛藤しまくる語り手。 ●語り手にはアポロンという中年召使いがいる。非常に態度がデカいらしいが、読者としてはそりゃーこんな雇い主だったらばかにするよねとは思う。このアポロンに月給を渡さなければいけないんだが、「アポロンが自分に『給料をください』と平身低頭しないのがムカつく!!!」と、金は用意するが渡さない。しかしアポロンに舌打ちされたり睨まれたりすると「待て!!金はあるんだ!支払ってくださいと頼め!!」とか言ってますますバカにされる。 ●三日後にリーザが来るが、語り手は非常に悪い態度を取り、ひどい言葉を浴びせる。リーザは、語り手に握らされた金を拒絶して去っていくのだった。 …ということで、「現在でもいるよね」とか、「ここまで極端でなくても気持ちはわかる部分もある」とか、「こんな奴に関わった周りの人のうんざりさがわかる」などと言う気持ちになってなかなか楽しめた。 語り口は、引きこもり男が勝手にグダり続けだけなんだが、これが小説として読めるものになっているのがさすがの大文豪だよなー。今でもこんな事を考えている人はたくさんいて、たまたま誰かがそんなことを言っているのを聞いてしまったり、ネットでうっかりそんな人の文章を読んでしまうこともある。そんなときはかなり嫌な気持ちになる。 しかしこの小説ではそのような嫌な気持ちにはならず「あるわー」「なにやってんだーーー」と、語り手と、語り手の周りの人双方の気持ちがわかりながら読んでいけるんだ。その意味では実に面白い小説だった。(最初の60ページ以降は) 語り手は自分のような人間は自分ひとりだと思っている。<だれひとりぼくに似ているものがなく、一方、ぼく地震も誰にも似ていない(…略…)ぼくは一人きりだが、やつらは束になってきやがる。P70>というわけだ。 だが語り手のような考えを持つ人間は当時も、今も、世界中にたくさんいる、ある意味人間の心の普遍的なものでもあるだろう。この「自分は孤独だ!」と思っていても、周りから見たら「たくさんいるよ」という感覚もいつでもあるものだ。 なお、語り手は読書について<ぼくの内部に煮えくり返っているものを外部からの感覚で紛らわしたかったのである。(P75)>と言っているのだが、ドストエフスキーの考えでもあるのかな。この読書への取り組みは何となく分かるんですけど。頭が混乱している時にも読書ってしますよね。するととっちらかった脳を一つに収集するのがなんだか分かったりして。 Posted by ブクログ 罪と罰 下 ドストエフスキー / 江川卓 就活をしながらダラダラと読み終わった。 あまり、タイミングが良くなかったかもしれない。 罪を犯したが未だ罰せられずにいる主人公は、罪が露見する恐怖や、後ろめたさから生じる孤独感に苛まれる。 彼が許されざる犯罪を行った理由は、自分や家族が置かれた環境を変えること、そして彼の理論を実証することにあ...続きを読むった。 極貧の中で精神を病み、流行思想にかぶれた彼はついに強盗殺人を実行し、偶然にも成功させてしまう。 彼は罪を贖うことで恐怖や孤独から解放されたいと感じ、自分が犯人であることを仄めかすような行動を取り始める。 しかし、彼は自分の理論の正しさを示すため、そして「人間」であろうとするために何度もその欲求に抗う。 かつて優秀な学生だった彼は、ナポレオンのように非凡な「人間」は、全人類の利益のために「しらみ」たちを殺しても、良心の呵責を感じない権利を持つと考えていたのだった。 だが、彼の目論見は外れた。 罪を犯してから少し経った頃、彼は自首をする。 牢獄の中で彼は、良心の壁を踏み越えることができなかったことや、自殺よりも自首を選んだことに苦しめられる。 生きながらえたところで、未だ理論を諦め切れない彼にとって、殺人は罪ではなく一種の試みであり、優秀で傲慢な彼は今後の「しらみ」の人生に意味を見出すことはまだできなかった。 しかし、、、 ロシア文学は長くて退屈なイメージがあったが、なかなか面白かった。 今後もドストエフスキーは読み進めていきたいと思う。 贖罪は思考の産物ではなく愛から生まれてくる。 人生に意味をもたらすものは無上の愛である。 人生に意味を見出すことで人は罪を悔いることができるのだ。 Posted by ブクログ 江川卓のレビューをもっと見る