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その年の夏は暑かった。大学を除籍になり、ぎりぎりの貧乏暮らしの青年に、郷里の母と妹の期待と犠牲が重くのしかかる。この悲惨な境遇から脱出しようと、彼はある「計画」を決行するが…閉塞した社会状況のなかでくすぶる人間性回復への強烈な願望を描いて世界文学史にドストエフスキーの名を刻みつけた不朽の作品。(全3冊)
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Posted by ブクログ
上中下を読み終わったのでこちらに感想など。 大学生ぐらいの時も「罪と罰」を読んだのだけど、その時はさっぱりと面白さが分からなかった。ドストエフスキーの饒舌な文体の癖もあるんだと思うのだが、文章が冗漫すぎて意味が理解できなかった。 この岩波の新しい版は、翻訳が易しくて読みやすいと思う。結構、現代的...続きを読むな語り口に直されていて、物語それ自体の面白さが伝わりやすくなってると思う。 「罪と罰」それ自体が物語としてスリリングで面白い作品なのだとこの本を読んで思った。
初罪と罰は亀山訳だったが、こっちの江川訳の方がなんかしっくりくる感じがある。 マルメラードフのどうしようもなさ、でも憎めなさ。 ラズミーヒンいいやつすぎ。
『あれはどこで?』ラスコーリニコフは先へ歩きながら考えた。『どこで読んだんだっけ?なんでも死刑を宣告された男が、死の一時間前に言ったとか、考えたとかいうんだった。もしどこか高い岩壁の上で、それも、やっと二本の足で立てるくらいの狭い場所で、絶望と、大洋と、永遠の闇と、永遠の孤独と、永遠の嵐に囲まれて生...続きを読むきなければならないとしても、そして、その一アルシン四方の場所に一生涯、千年も万年も、永久に立ち続けなければならないとしても、それでも、いま死んでしまうよりは、そうやって生きた方がいい、というんだった。なんとか生きていたい、生きて、生きていたい!どんな生き方でもいいから、生きていたい!……なんという真実だろう!ああ、なんという真実の声だろう!人間は卑劣な存在だ!だが、だからといって、人間を卑劣と呼ぶやつも、やはり卑劣なんだ』一分ほどしてから、彼はこうつけ加えた。 何度読んでも震える、何度でも読む
人の精神状態はあらゆる行動の基盤だ。アリストテレスは情念によってではなく理性によって行動しようと欲する者のみが善を行うことができると言うが、理性が感情をコントロールするのは並大抵のことではない。輪郭をもった感情が理性によって変化していくことはどの程度可能なのだろうか。
某犯罪学の教授曰く、法学部生が読むべき本。有名文学作品というと暗くて重いというイメージだったが、先が気になる展開のおかげもあってサクサク読めた。タイトルからして深いテーマを扱っているがあまり身構えずに読み始めても楽しめると思う。大学生くらいなら主人公の考え方に共感できてしまう人も少なくない…ような気...続きを読むがする
罪と罰をモチーフにした漫画を読んでいたせいか、変な先入観がある。 ラスコーリニコフは、独善的で妄想狂の異常者にしか見えない。好感どころか嫌悪感しか抱かない。 このあと、徹底的に打ちのめされてもらいたい。 ラスコーリニコフの自爆ではなく、理詰めで暴かれて追い込まれてほしい。 そんなサディスティックな気...続きを読む持ちにさせられる男だ。
朗読CDで大体の内容を掴んでから、この本に移りました。再読してみて思ったことなのですが、この作品ではラズミーヒンやナスターシャなどの「良い人」にかなり惹かれるんですよね。
まだ上巻しか読んでいませんが…。 登場人物の台詞が、ひたすら長い。 苦学生の苦悶は、彼をどこに導くのだろう?
とにかく主人公には共感できないが、若い時に読んだら感想は相当違いそうでもある。やはりドストエフスキーは若い時に読んでおくべきだと実感。 バフチンの「ポリフォニー」という表現の仕方がこの『罪と罰』を読むまで全然腑に落ちなかったのだが、確かにこの本では登場人物それぞれが強烈な主張をしつつも、それが何か作...続きを読む者の意見を目指すための主従関係には置かれておらず、そのまま対置されたままになっている感が強い。バフチンが『罪と罰』だけをことさらに重視していたという記憶はないが、とてもドストエフスキーらしさにあふれた作品なのだということなんだろうな。
まだ上巻なので仮で★4つ。 貧乏青年が金目当てで質屋の老婆を斧で殺害し、その後自責の念からか、精神的に追い詰められ、幻覚、幻聴が現れる。 終始暗い背景のもと物語が進む。中巻につづく。
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罪と罰
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ドストエフスキー
江川卓
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