仁木悦子のレビュー一覧

  • 猫は知っていた 新装版
    複雑に絡み合った事情と惨劇の真相が、少しずつほどけて行く。ストーリー展開が無理なく、滑らかで心地よいです。幼い頃から大好きな本。10回は読んでいます。それでも楽しめる本。
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選
    仁木悦子さん、やっぱり好きだなぁ。
    事件も陰惨なものでないのも読みやすくていい。
    今回収録の作品のいくつかで探偵役を務める悦子さんが車いすなのは、自身を投影しているのだろうな。
    最後の「最も高級なゲーム」での学生たちの様子も好き。
    また仁木さんの作品を読んでみたい。
  • 猫は知っていた 新装版
    あー、面白かった。
    ものすごく久しぶりの再読。何度読んでも面白い。
    昭和30年代の作品なのに、全然古臭くない。
    猫のチミちゃんがああいう使われ方をしたのは猫好きとしては残念ではあるけど。
    犯人の動機は身勝手すぎるけど、平坂氏の性格もそうとうなものだよね。
    敬二のキャラクターがけっこうお気に入りなので...続きを読む
  • 冷えきった街
    あのですね…これ最高じゃないですか?
    もろに好みすぎる作品なのですが…本当に辛いこの読後感…

    本格ミステリとしてもハードボイルドとしても一流。
    探偵三影のセリフが頭から離れない。切ない…
    捜査の進捗と加速度がほんとに心地いいくらい理想的で、最後に『冷えきった街』というタイトルが胸に刺さるスピードが...続きを読む
  • 冷えきった街
    娘ののぞみを誘拐すると脅迫の手紙を受け取った堅岡清太郎。脅迫の手紙の前から起きる事件。長男・清嗣のガス事故、次男は冬彦の暴行事件。警護を依頼された三影潤。清太郎の誕生パーティで毒殺された清嗣。三影潤の捜査。清太郎の前妻で冬彦の母親・志保子の死の真相。清嗣が殺害したと考えた清太郎の隠蔽工作。殺害された...続きを読む
  • 聖い夜の中で
    仁木悦子最後の短編集です。
    犯罪を扱う小説なので、悲しい結果もあるのですが、
    それでも読後感がよいのは、希望を感じることが出来るからでしょうね。
    主人公たちの暑苦しくない前向きさが、「軽さ」とは違う爽やかさを与えてくれます。
  • 穴

    そこはかとなく漂う昭和の香り…多分昭和30年代くらいのお話。戦争帰りだとか、字が読めないお年寄りとか、旧仮名遣いとかの端々で感じます。そんな短編集です。世にも奇妙な物語でドラマ化したらぴったりな感じかなと個人的には思いました。
    不気味というか…怖いわけではないんだけど、どの話もよく出来ていて、同じ作...続きを読む
  • 死の花の咲く家~昭和ミステリールネサンス~
    良質な短編集。良いミステリは時代を超えるのだとしみじみ思う。
    裏表紙に"爽やかな読後感"とあるのに、冒頭に収録の『金ぴかの鹿』の後味が悪すぎで笑う。
    『ねむい季節』は空飛ぶ車、牛乳でてくる蛇口、高性能ヒューマノイド等々未来感満載なのに、文書はワープロで作ってたり、監視カメラの録画映像はマイクロフィル...続きを読む
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選
    無駄がない良質な短編集。発行から随分時間が経っているのに、古くささではなく懐かしさを感じる。良い本です。
  • 赤い猫 ──ミステリ短篇傑作選
    短編集。
    殺人やら誘拐やらが起きるのに、なぜか読んでいて不快な気持ちになる描写に出会わない。登場するこどもたちへの視線が温かい。おなじみの兄妹、鷹揚な雄太郎とママになった元気な悦子にも会える。大満足の一冊。
  • 陽の翳る街
    久しぶりに読んだら、ぐいぐいと引き込まれて
    いく展開でした。凝ったトリックも使わないけど、
    読みやすいです。
  • 赤い猫
    ミステリー短編集。奇をてらわず安定した落ち着いた面白さでした。仁木兄妹もちらりと登場してて、思わずにやり。表題作「赤い猫」の二人の関係がとてもよかったです。
  • 陽の翳る街
    古い作品は読みにくく思われがちですが、仁木作品は読みやすいですね。それは平易な文章で書かれているというのも大きな要因ですし、明るく爽やかな作風というのも大きいですね。しかしだからといって、軽い訳ではないんです。それがまた今読んでも面白い魅力なんでしょうね。
    ある小さな商店街を有する街で起こった殺人事...続きを読む
  • 赤と白の賭け
    「赤と白の賭け」「石段の家」「幼い実」「ひなの首」「悪漢追跡せよ」「黄色の疑惑」「霧のむこうに」

    大人の愛憎が詰まった表題作から、こどもが主役の作品まで、バラエティに富んだ短編集です。
  • 赤い猫
    この作家の描く推理小説は、登場人物に愛着が持てる気がします。だから読みやすくも感じる。本書の内容は、老婆とメイドが遭遇する泥棒探しと、過去にメイドの母親が殺された事件の犯人探しの推理小説仕立てになっています。

    仁木悦子氏の作品を読んだことの無い人は、この本から入ってみてはどうでしょうか??
  • 青い風景画
    2008/7/23
    仁木さんは本当にまっとうな人だ。
    そうあるべき所に全部おさめる。
    下手したら何の意外性もない単調な結末。
    でもそう感じない。
    あーよかった。って本を置けるの。
  • 黒いリボン
    田園調布の社長邸で坊やが誘拐された。ブラック・リボンと名乗る犯人の要求は三百万円。偶然、邸を訪れていた仁木悦子は一族の不仲ばかりを目にする。仁木兄妹探偵シリーズの掉尾を飾る本格推理佳品。
  • 死の花の咲く家~昭和ミステリールネサンス~
    昭和の匂いが色濃い、一人称の上手い小説。
    ミステリーと思って読むとSF、昭和の時代の未来感なので古い新しさという不思議な印象を受ける。
    好きなのはねむい季節、それと穴。
    この作者は観察が細かいようで読むのが嫌にならない。穴が特に言えるけれどある部分は細かく、ある部分はほとんど見えていない。子供らしく...続きを読む
  • 猫は知っていた 新装版
    昭和32年に刊行された作品、ということを知った上で読まないと、なかなかに疑問の沸く部分はあるけれど、探偵役の兄妹の活躍が心地よくて、シリーズで読みたいなぁと思わせる作品でした。
    新装版はとても可愛らしい装丁で、女流作家なのもあって文体も柔らかく、それでも江戸川乱歩賞だしなぁという心持ちで読めば、やは...続きを読む
  • 猫は知っていた 新装版
     仁木悦子と仁木雄太郎の兄弟が下宿をする箱崎医院で殺人事件が起こる。
     メインとなる殺人は、平坂殺し。箱崎医院の箱崎兼彦という医師が、平坂の癌を盲腸と誤診。結果として、平坂の癌は発見が遅れてしまう。箱崎は、平坂の性格から、自身がこの誤診により破滅すると考え、看護婦の家永と協力して、平坂の身元が分から...続きを読む