渡辺京二のレビュー一覧

  • 逝きし世の面影
    20年以上に渡り、知る人ぞ知る、というのには異様な存在感を放ち続ける大著。これを完成させた作業量には感嘆するし、著者の考察も鋭くかつ温かみがあり、これを世に出してくれたことには感謝の念があるのは確かだが、江戸期を喪われた文明としてセンチメンタルに解釈するのは、結論に至れなかった人の、放棄とまではいか...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    2005年、平凡社ライブラリー。
    元は1995年から週刊エコノミストに連載されたもので著者は熊本在住、市井の研究者だという。

    幕末明治の外国人による日本見聞記を邦訳、原著も含めて広く渉猟し、当時の日本人、とくに庶民の人と暮らしそして社会を描きだたもの。
    良いことばかりではないことを意識しつつ、いか...続きを読む
  • 逝きし世の面影
          -2008.06.03記

    著者渡辺京二は、幕末から明治にかけ来日した多くの外国人たちが書き残した記録や文書、邦訳されているものだけでも130にも及ぶ夥しい資料を踏査、彼ら異邦人たちなればこそ語り得た、この国の姿、庶民たちの生活実相を、12の章立てで本書を構成、近代日本の夜明け前の風景が...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    幕末から明治末年までの間に日本を訪れた外国人による日本人への眼差し。ディスカバージャパンならぬディスカバージャパニーズ。彼らの見た「幸福な日本人」は我々と同じ民族なのか?違う民族なのか?著者は言います。「文化は滅びないし、ある民族の特性も滅びはしない。それはただ変容するだけだ。滅びるのは文明である。...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    薄々感じではいたが、明治維新を経て日本は別物になった。日本近代は江戸という文明の滅亡の上に打ち立てられたのである。渡辺はその文明の諸相を追体験するために当時日本を訪れた異邦人の記録に頼った。それを読むと我々現代人も当時の異邦人と同じ視線で当時の日本を見ていることに気づく。
     江戸後期の日本は私にとっ...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    明治維新はクーデターだったのか!
    江戸時代の牧歌的風景、人情が著者ではなく第三者によって描かれている処に客観性を感じさせられる、名著だと思った。
  • 逝きし世の面影
    幕末や明治の日本の民衆の快活で自由な、そして精神的に豊かな暮らしぶりを、その当時の来日欧米人の瑞々しい記録から明らかにする

    この文化が自分たちのたった150年前のものであるということも、そしてそれが失われていることも、読んでいる私たち日本人の胸に迫ってくる。

    明治以降西洋近代化を追求して今にいた...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    江戸末期・明治初期の日本を訪れた西洋人が感じた「驚き」が、これでもかと紹介されている。日本人であるはずの自分だが、これを読むと、彼らと同じ目線で一緒に驚くことになってしまった。

    「昔の日本ってこんな感じだよね」と漠然と考えているイメージ(たぶん、時代劇とかで作られたやつ)が吹き飛ぶ。当時の日本はこ...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    著書は慎重に、しかし「独自の視点を持つ観察者がいて必ず観察され、その視点から言及することを逃れる術はない」というその言及に当たる事実を忘れることはない。
    その目線がいかに親日的、優しいと言われようと、そう言われる土壌が、反応する培地があるはずとしてすくい上げた中に、日本人の持っていた心性と、結びつい...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    まず、大著であり読破するのは相当困難であると覚悟してください。あとがき、解説までで594ページ、活字のポイントも小さめで、相当に時間を要します。私はちょうど1週間かかりました。ですが、それだけの時間をかけて読む価値のある書籍であることは間違いないです。特に第一章がやや難解なので、なかなか読み進めない...続きを読む
  • バテレンの世紀
    読みたかった本ナンバーワンをようやく読むことができた。
    10年もの連載なので長いといえば長いけど、
    エピローグを読んで得心した。
    とりわけ、
    「アジア宣教は単に、北方プロテスタンティズムによるカトリック世界の縮小を補償するものではなかった。それは著しく後年の共産主義者の世界革命理念に似ている」
    とい...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    冒頭の章で、本書の資料として外交人の手記を用いることを通して、いわゆる左翼的知識人を批判しつつ、文化人類学の神髄とポストオリエンタリズムを説くあたり冴えている。

    いわゆる「厚い」記述が続く。

    第7章 自由と身分が面白い。抑圧されていた庶民のイメージが変わる。
    第9章 女性の位相も考察が良い。この...続きを読む
  • 無名の人生
    菊ちゃんが最近興味あるってことで渡辺京二さんの本をひっぱり出して読んでみた。こういう本をちゃんと押さえて収拾しているから、なかなか蔵書を捨てられない。言い訳はそのくらいにして…

    なんだろ、戦前、戦中、戦後を生き抜いてこられたの言葉にはぐうの音も出ない。しかも、歴史に詳しい。時代を超える人間の本質を...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    かなり分厚いので果たして無事に読み終えるのかと不安だったけど
    なんだかんだで最後まできっちり読めた。
    古き良き日本と言ってもいいのか悪いのか
    今の生活とは考えられない幕末~明治初期あたりまでの
    外国人が実際に日本に来て、その目で見た日本の姿が鮮明に描かれている。
    これをまとめるのはさぞかし大変だった...続きを読む
  • 原発とジャングル
    著者の最後の著作になるのか? 国家とは別の小さな社会を、という主張と受け止める。これは学生時代に何人かの碩学がおっしゃっていたことと通じるかな。
  • 文藝春秋 2015年 6月号

    イイネ

    10年前から毎月購読していますが、本の整理が大変ですので3年前から電子ブックに変更。もう少し、普通の書籍に比べて安くなるとありがたいですが...
  • 無名の人生
    「来山は生まれた咎で死ぬる也 それでうらみも何もかもなし」小西来山の辞世の句が紹介されている。

    けれど、そう簡単に達観は出来ないだろう。



    自己愛がどんどん強まる現代のみなさん。極まった自己愛の裏側には、本当はもうそういうのはやめにしたい、ひっそりしていたい、という気持ちもあるのではないか。と...続きを読む
  • 無名の人生
    国家と個人との関係についてはいささか意見を異にしますが、あとはまったくその通りだと思いました。「無名の人生」、理想です。
  • 民衆という幻像 ──渡辺京二コレクション2 民衆論
    『小さきものの死』の編における「願わくは、われわれがいかなる理不尽な抹殺の運命に襲われても、それの徹底的な否認、それとの休みのない戦いによってその理不尽さを超えたいものだ。」という決意や『現実と幻のはざまで』『石牟礼道子の世界』『石牟礼道子の時空』『石牟礼道子の自己形成』の編で示された氏の女史への想...続きを読む
  • 文藝春秋2月号

    文芸春秋3月号

    年間購読にしているのですがどうしたら読めますか