渡辺京二のレビュー一覧

  • 無名の人生
    80歳を超えて、なお文筆活動をこなす著者が目の前に控える死を意識いながら、語る人生訓。戦後すぐの混乱期をを生きてきた人間の芯の強さが詰まっている。平和な時代だけを過ごした人たちにはなかなか達観できない境地だ。

    著者のスタンスは、昔は皆が思うほど悪くないということ。といって、「最近の若いものは…」と...続きを読む
  • 無名の人生
    隠者の風のある評論家がその生き様を語ったもの。著者は幼少期から京都、大連、熊本などを点々とし、老いて後、娘夫妻の家に身を寄せるまで借家ぐらしの流転の人生を歩みます。

    心情的にどこにも属さない、あるいは故郷なるものを持たないそのマージナルな生きざまは、まさしく知識人の原点に沿ったものといえるでしょう...続きを読む
  • 無名の人生
    そのままでいいのです
    渡辺京二さんの著作にふれるたびに
    なんども うんうん
    これでいいのだ
    と うなづいている自分に気付く

    ことさら
    難しい理屈が言われているわけではない
    でも
    ついつい人が陥りがちなちょっとした奢りを
    鋭く指摘される

    私たちのDNAにもきっと
    潜んでいるであろう
    きちんと まっ...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    ヤマザキマリの望遠ニッポン見聞録の参考文献だったのんで読む。◆MMの登録ユーザー数が200越で吃驚。
  • 逝きし世の面影
    開国後に訪日した外国人の書き記した文献や絵画から当時の日本を眺めることができます。

    現代の日本人はストレス過多で、人の目を気にして自分の気持ちを押し殺しながら日々の糧のために生きていると感じているのですが、
    この本に書かれた日本人は愛嬌があり寛容で働きながらも祭りや季節の行事を楽しんでいて、何やら...続きを読む
  • 幻影の明治
    逝きし世の面影、江戸という幻景と同じ流れかと思ったがやや違った。

    批判的な司馬遼太郎論、反乱を起こした士族の本音など、正史とされる近代史に埋もれてしまった"もう一方の歴史"を紡ぎ出していくのは流石だ。
  • 逝きし世の面影
    江戸から明治期に日本を訪れた外国人が日本に関して著した書物を、テーマごとに紹介する。
    もっとも、単に外国人の日本評を紹介するだけではなく、日本の知識人にありがちな文明開化以前の日本に関する否定的な評価に対する批判や、オリエンタリズム批判に対する批判を目的としている。

    知識人の文章にありがちな、冗長...続きを読む
  • 無名の人生
    本書はエッセイ集であるが、不思議な感覚を持った本だった。
    「あとがき」に、この本の成り立ちが書かれているが、筆者がインタビューを受けたものを文章に起こして新書化したもののようである。インタビューがベースになっているので、書いてあることが「軽い」感じがする。また、筆者が「自分の話したいことを話す」とい...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    古き良き日本と言ったりする。江戸時代の庶民の暮らしや「三丁目の夕日」。みんなが夢を持っていた的な。でも本当にそうだろうかと思い購読。江戸末期から戦後までの日本を訪れた外国人の記録を中心に、その頃の日本と日本人がどう見られていたかを膨大な文献から分析・まとめたもの。この時期に日本を訪れる外国人は観光客...続きを読む
  • 無名の人生
    期待していたのと何だか違う本だった。たぶん読む前は、人生の先達たる著者からささやかでも達観して生きる方法や考え方を学べると思っていたんだと思う。(努力もせず)名なり功なり上げたいと思っている自分のモヤモヤを晴らしてくれることを期待していた。
    ところが、旧弊なじーさんがよく言っていることをこの著者も言...続きを読む
  • 無名の人生
    軽い語り口と思えば、インタビューを書き起こしたものらしい。もうお年だから、そういう本があって自分の来歴を語ってもらえるのも良い。

    既に渡辺京二は無名の人とは言えまい。ただ、かなりの年になるまでは、そういう気概でやってこられたのだろう。ただ、有名無名が気になる時点で、普通の市井の人間とは違う物書きな...続きを読む
  • 無名の人生
    20141123 生きるということの究極は足るを知るという事なのだと思う。江戸時代との比較でも結局は何を持って幸せを判断するかに落ち着く。歳を重ねるうちに実感できれば良いが。
  • 無名の人生
    今の世の中では氏の「無名に生きろ」はなかなか受け入れてもらえないだろう。特に若い世代の人々には。んっ、いやほとんどの人にとってもかな。私の偏見でしょうが、最近の作家に対しては、とにかく大袈裟で劇的なプロットで売っていくような印象しか持てない。素晴らしい作品を産み出すよりも、売文に走っているように思え...続きを読む
  • 無名の人生
    渡辺京二氏が、来し方を振り返り、人生について語った一冊。氏の立ち位置は、従来の「右か左か」という見方では、まことにとらえにくいものだ。それが一番よく表れているのが、5「国家への義理」の章だろう。

    著者は、「ナショナリズムからの卒業こそ戦後最大の成果」とし、「この一点はしっかりと保持していかなくては...続きを読む