渡辺京二のレビュー一覧

  • 増補 近代の呪い
    著者の失敗は「逝きし世の面影」などというロマンチックな題名をつけたことなのだろう。第一話の「自立的民衆世界」などというのも、美的イメージを喚起させてしまう。
    大筋では、著者の考え方、近代社会というものの見方にはうなづけるので、読むに値する本ではある。
  • 逝きし世の面影
    膨大な外国人から見た幕末から明治の変革期の日本人のありようの資料から、現代の日本人が失った子供のような無邪気な好奇心、他者との垣根の低さ、情熱、身体の逞しさなどが伝わり、文明とは時代と共に移り変わる部分もあることが生き生きと伝わってきた。個を大事にする文化が明治以降に入ってきて、良い面もたくさんある...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    江戸時代の日本の文明について書かれた本。前近代が近代に移行する直前の爛熟した文明について、当時の外国人の記述など資料を紐解きつつ解説している。現代の我々とは地続きでありつつも異質であり、当時の異邦人のように江戸文化を楽しめる本である。現代人の忘れてしまった人間らしい生き方を教えてくれるところもあり、...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    日本の原風景が日本に滞在していた外国人の記録を通して明らかにしている貴重な本。
    現代日本の姿と対比すると有意義。特に仕事に誇りを持って個別に役割分担が細分化されていた個人事業の集積のような経済社会であった事が推測できるのが興味深い。
  • 逝きし世の面影
    読みごたえあり。
    全部で600ページ近くあるし、理解するため砕きながら読むには少し難しい。
    ただそういう吟味とは別に、江戸時代中後期から明治始めにかけて、日本人の生活や風俗,習俗はどうだったのか、またそれを当時日本に来ていた外国人にはどのように映っていたのかを知るところに焦点を当てれば、理解しやすい...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    江戸時代後期に日本を訪れた外国人による、日本の庶民生活の見聞録。
    長くて読みにくいけれど、拾い読みだけでも十分に楽しめた。 

    決して豊かとは言えないけど、最低限の衣食住に満ち足りた表情をしていた庶民。勤勉さ礼節は浸透しているが、仕事はほどほどに子どもから老人まで楽しんで生活をしている。またよく手入...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    文庫本なのに600ページぐらいあります。買うとき背表紙の説明文とかもはや見てません。表紙に風情があったのと、この分厚くてごつい本を読んだという事実が欲しいがために手に取りました。


    内容はふつうに良かったです。現代において「幸せとは何か?」を考えるときの参考になる気がします。
  • 逝きし世の面影
    あるレビューが頭から離れずにいた。
    「長い上に読みにくい。訪日外国人の手記を集めて粉々に砕いて部分部分に埋め込んでしまっている」
    それでも何とか読み切れたのは他でもない、外国人によるきめ細やかな記録のおかげだ。

    彼らの観察眼はとにかく鋭い。着物の色から庶民が発した言葉まで、日本各地を旅した彼らの成...続きを読む
  • バテレンの世紀
    大航海時代と日本

    この本の目線は当時の日本人ではなくあくまでも来日した西欧人で、まさに渡辺史学!
    その意味では名著「逝きし世の面影」と同じだ

    幕末日本に文化的優越性を持って現れた欧米とは異なり、対等性を示した日本

    この当時もまた、逝きし世である
  • バテレンの世紀
    グローバル・ヒストリーが密やかなブームらしいですが、これはその観点から書かれたもの(NHK スペシャル「戦国」でまさにこの時代が放映されました)。

    1494年にスペインとポルトガルで結ばれた「トルデシリャス条約」はあまり知られていないのではないでしょうか。大航海時代、勢力を競い合っていた両国が、世...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    既に失われた明治以前の日本人の暮らし向きや価値観を、当時の日本を訪れた外国人の手記・著書から紐解く。
    今となってはいかに西洋由来の価値観が日本の日常に浸透しているかを自覚できる。ナショナリストが唱える「日本人らしさ」が空虚に響くほど、本書が紹介する失われた時代の営みは日本人の自分にも驚きを与えてくれ...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    半七捕物帳の時代の副読本として読む。
    本書は江戸後期から明治初期に日本を訪れた外国人による日本訪問の記録を集めて、近代化以前の日本の面影を描写してみようという試みである。
    この手の「日本」をテーマにし、良き点を書いた本は、どうしても左翼知識人からはオリエンタリズムに過ぎないと批判され、自国の文化を誇...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    幕末から明治期に訪日した外国人たちの日本に関する記述から当時の日本・日本人を考察する一冊。

    私自身は留学経験があり、個人旅行や出張で海外に滞在することも多く、意外とどこでも楽しく過ごせるんだけれど、それって個人の素質・向き不向きがあるんだと思う。どちらが良いとか悪いとかではなくて。慣れている場所以...続きを読む
  • 無名の人生
    「人間死ぬから、面白い」とは、言わなかったけど、
    そういう本になってしまったという京二さん。

    そう簡単に人生が進むわけもなく、
    そう安楽に人生が終わるわけでもないことを、
    渡辺さんはよくご存じだ。

    自分の人生に主人公でいたい、というのは、
    とても共感する。
    たいした人生でも、たいした人間でもない...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    今の常識が過去の常識ではない。ここ数十年の話に過ぎないことも昔からのことに思っていることが多い。
    そういうことを痛感させられる。
  • 逝きし世の面影
    江戸時代の日本を訪日した外国人の視点で文化、文明を紐解いていく。
    失われたものは何であったのか?そして残されたものは何であるのか?
    あらためて考えさせる一冊。
  • 逝きし世の面影
    文化は滅びないが、文明は滅びる。失われた徳川時代の社会の姿を外国人たちの手記から探る作品。今では完全に失われてしまった過去の日本の姿に惹きつけられました。
  • 幻影の明治
    詩の定義とは何だろう。
    手元の辞書には、「自然や人事について起こる感動などを圧縮した形で表現した文学。……」新選国語辞典、とある。
    そして、よく悩んだのが長恨歌だ。
    これは、お話ではないの? と、はじめは悩んだ。詩って、何だろう。まあ、定義にこだわる必要はないんだと思い直しもしたけれど。
    それでも「...続きを読む
  • 逝きし世の面影
    秀作。
    150年前に日本の一つの文明が存在し、消滅しようとしていた。
    まだ自分が子供だった、50年ほど前にも僅かに残っていたと思う。
    お金にとらわれない、時間にとらわれない、笑って生きる。
    礼節はわきまえ、助け合う。
    自然が豊か。
  • バテレンの世紀
    冒頭、日本の視点ではなくポルトガルの視点から展開されていくのがとてもよかった。どのようにして日本にたどり着くのか、自分が苦難のなか、冒険していく気分になった。

    親から勧められて手にしたが、キリスト教は嫌いなのでしぶしぶ読み始めた。しかし、日本での話になると「この人キリスト教が嫌いなんだろうなあ」と...続きを読む