高橋豊のレビュー一覧

  • 死との約束
    外しの美学。
    ほんとうに、クリスティーは人の思い込みを見越して、物語を構成する才に秀でていたのだと思う。
    被害者の人物像を明確にするための装飾かと思いきや、犯人の動機と直結するという、、お見事。完全に見逃していました。

    こんなに凄みのある物語が有名にならない、そのことこそ、クリスティー作品の裾野の...続きを読む
  • 動く指
    ミス・マープルものとして読むとちょっと物足りないかもしれない。ミス・マープルの出番は後半のごくわずか。
    それでもやはりクリスティらしい誰もが怪しく見える作品で、主人公の兄妹が微笑ましい。
    じっと編み物をしながら、頭をフル回転させるミス・マープルのように世の中を見てみたいと思ってしまう。彼女の頭の中で...続きを読む
  • チムニーズ館の秘密
    個人的にとても思い入れのある作品でもあり、初めて読んだクリスティ作品でもあるチムニーズ館。ある国の王政復古を巡る国際問題が発端で、呼び寄せられるように社交界で名高いチムニーズ館に集まった人々。そこで巻き起こる殺人、スパイ、宝探し。そしてロマンスも…?ページをめくる毎にワクワクする。バトル警部と競うよ...続きを読む
  • 動く指
    マープル談「頭のいい子は、低脳と紙一重ですからね」の一言が印象的。
    みにくいアヒルの子ストーリーが前面にでた作品なので、優秀かつ多感で悩みが多い思春期の方にオススメします。
    解説によれば「クリスティー自身、一九七二年に日本のファンの質問に答えた自薦十作品の中に、最後にこれをあげている」とのこと。
  • 死との約束
    『ナイルに死す』に続く、エルキュール・ポアロの中東シリーズ。とある家族の不穏な人間関係が事件につながる……。

    事件が起こるまで、の第一部が面白い。前作同様、中東の旅情を背景に、独特な個性を持つキャラクターたちの人間関係的な攻防が興味を引く。第二部からはポアロの独壇場。最後の最後まで誰が犯人かわから...続きを読む
  • ヒッコリー・ロードの殺人
    人といい、事件に関連する(?)物といい、とにかくゴチャゴチャいっぱい出てきて。
    そこがすごく面白かった(^^ゞ
    クリスティーの晩年の小説らしいけど、その頃になると、いかに目先の変わった話を書くか?みたいに書いたのかもなぁーなんて考えるのも楽しい。


    いわゆる本格ファンからはしたらトリック的にも、事...続きを読む
  • 死との約束
    負けが続いているのでこのあたりでギャフンと言わせたい。ボイントン一家は少しオカシイ。理由は夫人を中心とした家族で、長男、その嫁、次男、長女、次女が疲弊している。理由はボイントン夫人がサディスティックのため、家族一家をマインドコントロールし、夫人が楽しんでいる。しかし、夫人が殺される。夫人を殺したのは...続きを読む
  • 死との約束
    久しぶりにクリスティーが読みたくなって購入しました。今の時代のエログロやバイオレンスの無い、上品な、しかし人の思惑や怨念のドロドロと渦巻くクリスティーワールドで大満足です。
    犯人はそうくるか!でしたし、最後はみんなが上手くいく大団円で読んでいてスッキリしました。
  • 死との約束
    "いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけないんだよ"
    出だしからかなり不穏な雰囲気で始まったこの作品は、母が常に睨みをきかせて抑圧されたボイントン家の兄弟達の物語でした。
    一人一人の悩みや戸惑い、心は揺れているのだけれども逃げ出せない、閉鎖的な描写にとても不安になりながら、体力を持っていかれながら、...続きを読む
  • 死との約束
    クリスティー文庫17巻!
    誰もが真実を語らない。なのにその中から真実を探り出すポアロの思考に舌を巻きました
    紙に書いて色々検証するも、訳わからなくなり断念。
    クリスティの緻密な描写に毎回脱帽と尊敬の念が絶えません!
    次回のポアロのクリスマスは、打って変わって凄惨なものだそう。今から楽しみで仕方ない
  • 死との約束
    久々のクリスティ。支配的な老女が殺され、殺人が疑われる。殺人が起こるまでは丹念な老女の家族の描写が続く。
    事件が起こってからはポアロの尋問タイムの始まり。関係者の証言を組み合わせてから事件の真相を暴く。クリスティらしいミスリードで犯人らしき人が次々と変わるとても読み応えのある一冊だった。
  • 死との約束
    もし、隣の人の話がうっかり聞こえてしまったら、どうしましょう。
    まして、殺人計画の話を聞いてしまったら。


    名作が多いアガサ・クリスティーの中で、自分は知らなかった『死との約束』。
    他の本を置いてけぼりにして、買って一気に読みました。


    冒頭に、いきなり『いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけな...続きを読む
  • 死との約束
    原作と三谷さんのドラマで、どんな変更点があるのかが知りたくて読みました。
    (黒門ホテルとか…)

    伏線が美しい。
    文学に「美しい」って変かもしれないけど、そう感じました。
  • 死との約束
    天才的。
    ポアロの遠回しな推理披露会も悲しい結末も不自然な謎の合理的真相も全てが天才的。
    クリスティーのいる地球でクリスティーのあとに生まれた自分に感謝する。
  • 死との約束
    心理的な分析が多く残されていて、好奇心をそそられる展開だった。登場人物が美男美女という設定もなんか嬉しい。

    ボイントン夫人からサラに向かって言われたセリフの真意が暴かれた時はドキッとした!
    伏線がかなり念密に描かれていて楽しかった。
  • 暗闇へのワルツ
    まさかアイリッシュがこんな悲恋の物語を書こうとは思わなかった。
    冒頭、別人になりすました若き淑女の登場から、度重なる齟齬から発覚する、花嫁入替りの事実。その事実が発覚すると同時に主人公の巨万の富を持ち出して逃亡する花嫁。復讐の鬼と化した主人公は1年と1ヶ月と1日を費やし、とうとう彼女を捕まえる。しか...続きを読む
  • 動く指
    主人公と数多くの町人達との会話で物語が進んでいくのが楽しい。

    2/3 程読んだところでマープルシリーズを買ったはずなのに...と思ってしまう。
  • 動く指
    一体いつになったらマープルが出てくるのやら。と思っていたら終盤も終盤でようやく現れた。
    正直、マープル物にしなくても良いと思う。マープルを連れてきた夫人とマープルの関係性も曖昧だし、
    例えば、『事件の村に友達の別荘があって泊まっていた』とか何か理由があり事件に絡んでくれば良いがいきなり出てこられても...続きを読む
  • 殺人は容易だ
    すばらしい! 映像などで筋を予め知らない久々のクリスティだったこともあるかもしれないが、次はどうなるどうなると一気に読み進めた。女史特有のミスディレクションの妙。材料はきちんと提示してある。

    素人探偵の薄弱な推理のまま終わるはずはないと思いながらも残りのページ数はわずか。どう解決するんだろうと思っ...続きを読む
  • チムニーズ館の秘密
    これぞミステリとエンターテイメントの融合、といった作品。
    さる国の重鎮の回顧録に、王子に、政治家に敏腕刑事、魅力的な女性に加えて、主人公は絵に描いたような勇敢な好青年。トリックとかアリバイとかに頭を悩ませる類の読み方はせず、奇想天外な展開を純粋に楽しむべきである。

    ポアロとマープルに少し飽きてきて...続きを読む