もし、隣の人の話がうっかり聞こえてしまったら、どうしましょう。
まして、殺人計画の話を聞いてしまったら。
名作が多いアガサ・クリスティーの中で、自分は知らなかった『死との約束』。
他の本を置いてけぼりにして、買って一気に読みました。
冒頭に、いきなり『いいかい、彼女を殺してしまわなきゃいけな
...続きを読むいんだよ』なんて台詞を聞いて、実際に殺されてしまったら、犯人はきっとこの人なんだろうな、なんて勘ぐってしまいます。
先入観とは怖いもので、この人が犯人だ、なんて思ったら、とにかく追い続けてみたくなるものです。
しかし、意外とすんなりとターゲットは殺されないんですよね。これがまた面白いところで、次へとページを進めさせる仕掛けのように働いている気がします。
この辺、シャーロックホームズは違っていて、大体最初の方で事件が起こるので、ポアロは、なんとなくテンポが崩されてしまいます。
ただ、事件が起こると一気に楽しくなる、これこそがポアロの魅力で、また、ポアロも相変わらず自信たっぷりに推理を披露するわけです。
今の時代、間違ったことを言ってしまうと、ネットで炎上する、なんてことになりかねませんが、こうも自信満々だと、こちらは清々しい気持ちになります。
推理ものは、今では漫画などでも、数多く展開されていて、トリックも研究され尽くしています。
しかし、インターネットもない時代に、この複雑なトリックを考えたのかと思うと、まさしく天才としか、言いようがないですよね。