好き勝手書きます。ネタバレ注意です!
こいつはまたすごい本を見つけてしまった・・・・・・・。
人生観ねじ曲がりますよ、これ・・・・・・・(勿論いい意味で)
初読の感想は、「読む毒」って感じだった。そのくらい、目を背けたくなるような人間の闇がこれでもかと描かれている。
ちなみに、著者
...続きを読むの深木章子さんは元・弁護士で六十歳になってから執筆活動を始めたそうで、弁護士という人生経験がフルに生かされていると思う。(作中によく使われる、法律の穴みたいなのを説明するところとか)
青二才の僕は、読んでいて圧巻としか言いようがなかった。(笑)
文章の構造としては、私立探偵の榊原が登場人物に取材をするパートと、児童公園での依頼主、由紀名とのやはり取材のパートで成り立っており、風景描写とかは少なめ。ほとんどが取材でボリューミー。それでもってこの質である。
余計な描写を省いて、ただただ事件の解決で攻めてくるあたりは素晴らしく、読んでいて決して飽きることがなかった。
内容については、先程も述べたように、複雑な人間関係と歪んだ家族、それらすべてに闇が降りかけられていて、もはや怖気を紙の本から感じ取ってしまうのではないのかと思ってしまうほどだった。胸糞を好む身ではあるのだが、この本は一味違った毒素があった。
特に衝撃を受けたのは、次女由紀名が伯父叔母の家を燃やすところ。最後の章で二度驚くことになるのだが、叔父何やってんだよって思いつつ、そこからの展開(パンツのやつ)に鳥肌が止まらなかった。
亜矢名と哲の純愛的な、でもドロドロしたやつも驚いたけど、個人的にはこっちの衝撃の方が忘れられないかなあ。小さい子に酷いことさせたって意味でね。
このお話を語るうえで鬼畜こと母、郁江の存在は欠かせない。(まあ、結果的には騙される形にはなるものの)よくそんな頭が働くなあって感心しながら読んでたけど、実際にされたらたまったもんじゃないよな、これ。しかもリアリティがあるから怖い。でも、郁江の悪女っぷりに魅了されてしまったのも事実なんだよな。
そして、何と言っても亜矢名であろう! これには騙された! 母親より一枚上手と作中で榊原は言ってるけど、正直上手とかそういう次元の話じゃない(笑)。
依頼しといて平気で嘘ついてるし、自分を死んだことにしてるのには開いた口が塞がらない。犬に家族の肉喰わせるとかやばすぎぃ・・・・・・・。でもやっぱり、そんな一面が現れた瞬間、亜矢名という人物に魅力がわいたのも事実なんだよなあ。
最後もなんだかすっきりしなくて、後味悪いのも亜矢名のせい(おかげ)だな!
総評すると、ここまで悪を詰めた本は久しぶりで、とてもよかった!
自分の感想としては、これで十分。ただ、ここまで悪徳がきれいだと、惚れ惚れしてしまうくらい!
まさに毒とはこのことだと思う。中毒性があるっていうか、この本はやはりすごい本だったんだなあ、って(語彙力崩壊)。
最後に、いい意味で鬼畜の所業を見せてくれた「鬼畜の家」に感謝を!