辻原登のレビュー一覧

  • 隠し女小春
    久しぶりの大家作品に気負ってページ開くと主人公はラブドール…。SFホラー、それとも穴場紹介?あまりに突飛な設定に最初は戸惑うも、豊富に繰り出される蘊蓄マッタリ楽しんでいるうちに怒涛のラスト。辻原さん、551のブタまんまでカバーしているとは。この春、大津SAで食べたシューマイ懐かしい。
  • 隠し女小春
    やはり人形は怖い。途中までのスピード感のなさを補って余りあるほどのラストに向けての怒涛の展開。
    「捨てないで、‥‥私を」と訴えかける小春のひたむきさが哀しい。主人公・矢野聡を取り巻く3人の女。誰も幸せにならない結末。矢野の身勝手さが際立つ終盤だけど、最後の最後で矢野を救って自ら火の中に戻っていく小春...続きを読む
  • 不意撃ち
    2018年初版。5つの短編中編の作品です。著者の作品は初めて読みました。先ず感じるのが非常に文章力の優れた方だということ。偉そうですね。あなたは何者と言われそうですが。ミステリアスな内容のもの・エッセイに近いもの・内容が豊富です。生きていると不意撃ちとしか言いようのないことが起こるということ、再度実...続きを読む
  • 枯葉の中の青い炎
    最初の話とかはなかなかだったんだけども、、後半になるにつれて、なんだかエッセイ風というか、昔の小説っぽい感じになっていく、気がする。いや、そういうわけじゃなくて、そういえば昔こんな話があって、、という日本昔ばなし的な感じか。
    スタルヒンとかユニオンズとか、へー、ってなるけど、なんかwikipedia...続きを読む
  • 寂しい丘で狩りをする
    過去の読書メモで高評価を付けた(籠のオウム、4.5)作家の探偵小説。正統派スタイルの作家らしく、主人公と犯人の二人が奇しくも同じ映画フィルムに関わる仕事をしているのだが、その辺りの描写(京橋のフィルムセンターとか、山中貞雄監督のサイレント映画とか)がとても詳しく安心してよんでいられる人である。
    3....続きを読む
  • 村の名前
    舞台は桃源郷の名を持つ中国の山奥の村。主人公は商談のためにそこを訪れる。
    異国の景色や風習をその場で見ているような臨場感があり、ちょうどいい速度ですんなりと世界に入り込めた。
    現地の人々にミステリアスに絡めとられていく主人公を見ていると心許ない気持ちになる。この人は現実に戻れるだろうか。本当に浦島太...続きを読む
  • 抱擁
    2.26事件直後の昭和の時代。

    侯爵の屋敷で5歳の娘の小間使いとして働くことになったわたし。

    少女と一緒に生活するにつれて感じるようになる、見えないなにか。
    自分の前任だったゆきのさんに関わる話。

    姿のないなにかによって少女が次第に現実から遠ざかってしまうと感じたわたしは
    彼女の身を守るために...続きを読む
  • 東京大学で世界文学を学ぶ
    第5講義 燃えつきる小説 近代の三大小説を読む1 セルバンテス『ドン・キホーテ』
    ドン・キホーテとキリスト教信者を同一とする分析は面白い。
    何故、ドン・キホーテに偽ドン・キホーテに会わすと文学が破滅するのか、わからなかった。
  • 籠の鸚鵡(新潮文庫)
    帯より「誘う女とワル3人、最期に誰が笑うのか?」
    ワル3人とは、あの3人か
    4人のお話なのね
    やくざの抗争がありつつ、個人間のだましあい
    そこに女が絡み、なお話でした
  • 東大で文学を学ぶ ドストエフスキーから谷崎潤一郎へ
    芥川賞や紫綬褒章を受賞(章)している一流小説家の東大での講義録。「近代小説とはなんぞや」ということを大テーマに、ドストエフスキーの『罪と罰』や、『源氏物語』、谷崎潤一郎の『夢の浮橋』などを取り上げ、著者独自の分析を試みている。
    なかなか難解な内容で、「ほんまかいな」と思うような解釈もあったりしたが、...続きを読む
  • 籠の鸚鵡(新潮文庫)
    昭和50年代の和歌山。
    1人のコケティッシュな女がいる。
    この女に群がる3人の男がいる。
    1人は不動産屋。1人はヤクザ。1人は町役場の出納室長。
    時代はバブル期を目前にし、国際空港の建設に沸く。山口組分裂に伴う、いわゆる「山一抗争」で血みどろの戦いが展開されていた頃でもある。

    女は元々、長崎の浦上...続きを読む
  • 不意撃ち
    どの話もフワフワと不思議を感じながら読み進めていると、最後に不意撃ちをくらう(^^;)最後の「月も隅なきは」が私好み(^^)
  • 不意撃ち
    人生には時折、予測不能な出来事がある。出会い頭の事故のような「不意撃ち」が、時として、人生の流れを大きく変えていく。そんな短編集。

    「渡鹿野」。デリヘル嬢のルミと、送迎ドライバーの左巴。顔見知りではあるが、店の決まりで特に話をしたこともなかった2人は、仕事中に遭遇したある事件がきっかけで連絡先を交...続きを読む
  • 抱擁/この世でいちばん冴えたやりかた
    ずいぶん以前に読んで好きだった『遊動亭円木』の辻原さんを久しぶりに読んでみようかと。
    ただ、私にとって辻原さんは当たり外れの大きな作家さん。で、これは「やや、外れ」という印象です。
    合本と言うのでしょうか、中編『抱擁』と短編集『この世でいちばん冴えたやりかた』(旧題『約束よ』)が1冊にまとめられた文...続きを読む
  • 松尾芭蕉 おくのほそ道/与謝蕪村/小林一茶/とくとく歌仙
    今回は俳句。
    松尾芭蕉・与謝蕪村・小林一茶
    芭蕉の奥の細道の句を初めて全部読みました。
    小林一茶の句がわかりやすく面白い
    露の世は露の世ながらさりながら
  • 家族写真
    久しぶりに読む辻原さん。でもダメでした。
    表題作の「家族写真」は芥川賞授賞第一作。その他も「初期辻原ワールド」の不思議系の作品で、一旦廃刊になり随分高値がついたものを15年ぶりに文庫化したのだそうです。
    別に不思議系の作品が苦手な訳では無く、三崎作品など好きな私ですが、ダメでした。何が描きたかったの...続きを読む
  • Yの木
    短編集みたいです。
     たそがれ を読んで。なんか心に残るというか、心地よくなでられるような文章で、この作者すごいなって感じた。大阪環状線はよく利用していたので、よりリアルに情景が浮かんだ。静雄の黄昏はゆっくり過ぎていくのに対し、文乃の黄昏は一瞬で終わってしまう描写にぐっときました。
     首飾り 途中グ...続きを読む
  • 東京大学で世界文学を学ぶ
    著者の本は小説以外では書評「熱い読書 冷たい読書」「熊野でプルーストを読む」は読んだ。
    本書は、小説とは何かという講義を元にしたもの。

    まずゴーゴリと二葉亭四迷を語る講義。
    四迷に関しては関川夏央「二葉亭四迷の明治四十一年」を思い返した。「あひびき」の引用があり、国木田独歩の「武蔵野」への影響もよ...続きを読む
  • 冬の旅
    辻原さんの本だからと買ったけど正月に読む本じゃなかったな。

    大災害や周囲の狂気や欲望に躓き、転落し続ける主人公。主人公に不幸を齎した人間や主人公と同じく不幸だった人間の人生も語られる。

    毎日の新聞やテレビのニュースで知るように、こうした不幸は世に溢れている。僕はどうにか人並みの生活を送っているが...続きを読む
  • Yの木
    昭和な空気感の「たそがれ」。「首飾り」は、いいオトナでもこんななんだ〜と思い、「シンビン」は片岡義男風で、ラグビーがメジャーに浮上した今となってはここまで説明されなくても素人の私でもわかるよ、と思い。そして「Yの木」だが、ごめんなさい、なんだよこのしみったれた年寄りは、と情けなく思ってしまいました。