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奉行所検屍役・美馬正哲。身投げや殺し、首縊り……。屍の末期の無念を解き明かす彼を、ひとは「おろく医者」と呼ぶ。武器は、遠く紀州は花岡青洲に学んだ最新の医術! 江戸の「法医学者」は恋女房、産婆のお杏とともに、八百八町の底に渦巻く愛憎に立ち向かう。人の生と死に触れる夫婦を描く、傑作事件帖。
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Posted by ブクログ
江戸時代の検死医「おろく医者」――杉田玄白が『解体新書』を翻訳し、蘭方医が増え、華岡青洲が麻酔薬を発見した、日本の近代医学の医学の夜明けとも言える時代。本当におろく医者が実在したのではないかと感じるほど、違和感がなかった。宇江佐真理は目の付け所が鋭いと感じた。
江戸時代でいう検死官と産婆さん夫婦の話。 宇江佐さんの話は安定していて、読みやすく面白かった。 謎解きと、人情が上手いこと絡んで良かった。
検視専門の医者の夫と、産婆の妻。 で、夫婦で事件の謎解きなんかをする、と。 夫婦の仲睦まじさが、そこかしこに出ております。
江戸に専門の検死医がいたかどうかは不明だそうだが、検死ばかりしている医者一家の三男坊とお産婆の妻の話である。彼女の作品の女性主人公はみな職業持ちで、内助の功を誇ってばかりではない。勝手に作り上げられた大和撫子の型にはまらない主人公たちを見ているのはいい気分だ。夫婦としてのバランスもとてもいい。武家や...続きを読む大店はいざ知らず、一般庶民はほとんど共働きだったというし、こちらが本当の江戸の生活かもしれない。獣の肉を食べると出るものが臭いと笑わせて始まる山くじらは寄生虫で終わる悲しい話だった。表題になっている室の梅も暗さやつらさを乗り越え明るく、常套でもいい終わり方だった。
検屍を行う医者と、産婆の女房。死者の姿からその真相をさぐりあてる医師の姿、日々生命の誕生に立ち会う産婆の姿。生々しいまでの生死の営みが江戸の時代に描き出されていた。面白いんだけど、結構リアルに想像できてしまうのがちょっときたかな(笑)
宇江佐作品を読んでいて『おろく』という言葉が 度々登場する。 それが遺体のことを示すのは読んでいればすぐわかる。 それでも『おろく』という言葉はどこからきたのか。 「南無阿弥陀仏」の唱えが六字であることから そう呼ぶのだとこの作品で説明してあった。 なるほど。 死を扱う「おろく医者」の正哲と 生を...続きを読む扱う産婆の妻・お杏との対比がいい。 そのせいで多少全体が重く固い雰囲気になりがちだが 正哲とお杏の夫婦としての成長ぶりが それをやわらかくさせ、バランスを保っている。 ミステリーにはちょっと物足りないけれど このお話はそこに重点を置いていないので 夫婦ってこういうもんだよね?的な読み方をすると 楽しめるんじゃなかろうか。
江戸時代版、法医学教室の事件簿という感じでしょうか。 主人公は死を扱う「おろく医者」、恋女房は生に立ち会う産婆、というところに作者の気持ちを感じます。 テンポもよく、かなり面白く読みました。 作者あとがきに、 どうか読者の皆様には存分に生きて、人生を謳歌してほしいと切に祈っております。(略)...続きを読む私もよい小説が書けるよう一層の努力をする覚悟でおります。これからもよろしくお願いします。 とありました。こんなあとがき初めて見ました。作者の人柄が偲ばれ、親近感が涌きました。
隅田川に女の水死体が上がった。これは自殺か、それとも・・・? 「死人はただ死に顔を晒しているだけじゃねェんだぜ。ちゃんとな、手前ェはこんなふうに死にましたと言っているのよ」 ・・・そう嘯くのは、容貌魁偉だがどことなく愛嬌のある江戸八丁堀の検屍医、人呼んで“おろく医者”美馬正哲。産婆の女房・お杏ととも...続きを読むに殺しの痕跡を解き明かす! * なんてね、久しぶりに虚構を読みましたな。 山で死んだ人を“おろく”というのはなぜ・・・なんてぇことを調べているうちにたまたま行き当たった本なんでござんすが、なかなか面白うござんしたよ。人物も立ってますし、時代の風俗や検屍の目のつけどころなんかもしっかと描かれておりましてな。 それにたまにゃあこう、カナがほとんど出て来ない本もよござんすね。 著者のことは知らなかったんですが、1949年生の函館の人だてぇことで。 * で、おろくてぇのは、別に山で死んだ人に限ったことじゃあなく、南無阿弥陀仏の6字のこと・・・つまり死人全般に使った俗語のようでござんした。へぇ。
副題が付いていたのでシリーズ物かと思ったのですが、どうやら1巻物のようです。 おろく医者はどうも実在の職業ではないようですが、美味い設定ですね。不自然さが無く物語りに入っていけます。 しかし、この作品は宇江佐さんにしては情感が低い作品です。確かにお杏と正哲の絡みの場面では、少し「らしさ」が出るの...続きを読むですが、全体にしっとりとした感じがありません。流石に大きな破綻は見せませんが、やや平俗な捕り物帳です。
あまり覚えていない。産婆の主人公とおろく医者(今で言う検死医師)の夫婦の話。夫の検死の仕事から下手人を推理する形態。
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