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宇宙はいつ、どのように始まったのか? 人類永遠の謎とも言えるその問いには現在、ある解答が与えられている。ビッグバン・モデル。もはや「旧聞」の感さえあるこの概念には、実は古代から20世紀末の大発見へと到る意外なエピソードと人間ドラマが満ちていた――。有名無名の天才たちの挑戦と挫折、人類の夢と苦闘を描き出す傑作科学ノンフィクション。『ビッグバン宇宙論』改題。
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Posted by ブクログ
今まで読んだ理科の本には書かれていない、ビックバンや星が何でできているのか、など歴史とともにその理由が書かれていて、、わかりやすく理解&納得できました。 行ったこともない星の成分がわかるのはなぜ? 宇宙の始まり 膨張し続ける など 面白い
フェルマーの最終定理が非常に面白かったので、同じ著者のこちらも購入。 相変わらずの難解な内容を分かりやすく伝える文章力と、謎が解明されていくプロセスをドラマティックに描き出す演出に感心させながら一気に読ませてくれた。 上巻は紀元前の古代ギリシャの哲学者が宇宙という天上世界の解明に足を踏み入れたと...続きを読むころから始まり、コペルニクス、ガリレオによる地動説、アインシュタインの相対性理論、ハッブルによる赤方偏移による宇宙膨張の観測までが描かれる。 ここに至るまでも様々な議論や、長年真とされている価値観を変えたくない保守層の妨害を経た上で、実験、理論、観測等による検証を繰り返しながら、今当たり前とされている宇宙の現象が事実として確立されてきた紆余曲折の歴史がある。 未知の領域が少しずつ時を経て解決されていく過程と、それに挑もうとする人間たちのドラマは本当に目頭が熱くなった。このカタルシスを是非体験してほしい。 下巻からはビッグ・バン宇宙派と定常宇宙派の議論が白熱する。
ようやく読み終わった「宇宙創成」。なかなかのボリュームで内容もかなり難しい部分もあったが非常に質の高い作品で面白かった。 宇宙に関する人類の考察の歴史がよく分かり、今までは何となく言葉だけ知っていたビッグバンについてより正しく理解することが出来た。これ1冊読めば現代の宇宙物理学まで全部理解できるとい...続きを読むう優れもの。 それにしても「フェルマーの最終定理」といい、難しい学問を素人にも分かり易く表現できるサイモン・シンの力量には感服するばかり。
宇宙の性質や構造の仕組みを解き明かすドキュメンタリー番組を見ているようだった。個人的に面白いと感じたのはその時代の風潮が科学の発展に大きく影響することである。 本書では、アインシュタインとニュートン宇宙理論のストーリーがそれに当てはまる。年齢を重ねた人がいなくなると、古い理論を支持する人が減り...続きを読む、新たな理論が相対的に受け入れられやすくなるのである。古い理論を簡単に捨て去ることができないのは、新しい理論が正しい場合、古い理論を用いた実験結果は全て使えなくなってしまうからである。しかし、それ以上にその人が築き上げてきた結果とプライドによるところが大きいと思う。 上巻では宇宙の起源を発見するまでをたどっている。プトレマイオスモデルを覆すコペルニクス、地動説を復活させるガリレオ・ガリレイ、光の特性を明らかにしたアインシュタイン、ビックバン理論提唱の材料をそろえたエドウィン・ハップル。どれかが無くても今日の宇宙理論が成り立たなかったのだと考えるととても感慨深いものがある。
地動説の正しさを主張したコペルニクスやガリレオにしても、より正確な重力理論を提唱したアインシュタインにしても、一番の敵は科学それ自身ではなく、宗教や有力な科学者など、その時代の権威であったことがよく分かる。だからこそ科学にドラマが生まれたのだ。
ギリシャ神話から始まり、アインシュタインの特殊相対性理論ができあがるまで、科学者の関わりやそれまで常識と思われていたことに対する理論を作り、実験にて証拠を揃え、確立していく流れが描かれている。一般性相対理論が発表され、もっと微小な世界に目を向けていく流れが少し書かれ、下巻に続く。 科学者の名前を覚え...続きを読むるにはちょうど良い。理論そのものの説明があるわけではない。
科学史の本はいくつか読んだけれど、これが1番面白い。あまりに面白くて読んでいる最中に立ち上がってしまった。 古代ギリシャ時代から、ビッグバンモデルの完成した現代まで、宇宙の研究を追う。 我々が存在するこの宇宙がどうなっているのか、それを知りたくて、人類は寒空のもと望遠鏡を覗き、よりよい設備のための...続きを読む金策に奔走し、ときには隊を組んで観測遠征に赴く。 ただ宇宙研究発展の歴史を綴るのではなく、探究心に突き動かされた人間の営みにスポットを当てる。観測中のハーシェルを支えた妹(彼女も優れた天文学者)や計算部隊として活躍した家政婦(後に博士号を得る)、専門の写真家など、本題を追うだけなら省略してもいいような貢献者もしっかり取り上げられているのがいい。ノーベル賞を受賞するような人だけで成果を出せるものではない。 また、誰が何の研究をして、何が分かって、人類の知はどう進んだか、というのが全くの素人にも分かるように書かれている。サイモン・シンの解説は分かりやすいうえ、本書には章のまとめや用語集もあって、読後は少し賢くなった気がした。
「天才科学者達のバトル集」 天動説vs地動説 ニュートンvsアインシュタイン 静的宇宙vs動的宇宙 など、新しい説が古い説を打ち砕いていくストーリー的な面白さもあるし、 理論、実験、背景のエピソードなど、しっかり解説されているのに読みやすい。サイモンシンさん凄すぎるとしか言いようがない。
上巻の最後で鳥肌が立った。本書はまさに人類の夢と苦闘を描き出した大傑作である。中盤では、アルベルト・アインシュタイン氏が輝きを放ち、終盤はエドウィン・ハッブル氏が自身を開花させ、ビッグバンが仮説ではない証拠を見つけ出す。要所要所に計算式が出てくるが、親切に要訳してくれており、計算式のすべてを理解しな...続きを読むくても十分楽しめる。寝る前に宇宙の彼方を想像しては、ワクワクし過ぎて寝付けなかった。 以下、本書よりお気に入りの箇所を抜粋。 「『オッカムの剃刀』は、2つの競合する理論があるならば、よりシンプルなもののほうが正しい可能性が高いというものである」 「聖書は天国への行き方を教えるものであって、天の仕組みを教えるものではありません」ガリレオ 「理論の良し悪しを判定するとき、私はこう自問します。もしも私が神だったなら、世界をこんなふうに作るだろうかと」アインシュタイン
既に海外ノンフィクション部門のゴールデンコンビとなっているサイモン・シンと青木薫のタッグは宇宙論という分野にも確かな爪痕を残しました。 うまい安い早いが吉牛なら、うまい、わかりやすい、ためになるがこのコンビの特徴です。 サイモン・シンの展開する科学的な知見をスムーズに理解するには、読んでいてストレス...続きを読むを感じさせない日本語訳があってこそです。 その内容は、科学者や天文学者、さらには物理学者や数学者などを総動員した知の格闘による新たな発見のアウフヘーベン(ある解釈を否定して、さらに高みを目指す思考方法)の蓄積の歴史です。 そして天文学とは我々の存在理由をも決定するという科学的な哲学だということがよくわかります。 我々もよく知る偉人の名前と業績が手際よく紹介され、その後の新たな事実によって否定され、より真実に近づいていくプロセスは簡にして要を得る見事な筆さばきです。 現在では、本命とされるビッグバンモデルも、つい最近まで定常宇宙モデルと激しい主導権争いが繰り返されていたことやその論争の歴史の中で新たな発見があるたびに両者の客観的評価をまとめた表を都度掲載することで、難解な理論の変遷をわかりやすくしています。 「ビッグバンから1秒の内に超高温だった宇宙は膨張して劇的に冷え、温度は数兆度から数十億度まで下がった。その頃の宇宙は、主として陽子と中性子と電子からなり、すべては光の海に浸されていた。それから数分の内に、陽子は他の粒子と反応して、ヘリウムなどの軽い原子核を形成した。この最初の数分間で、宇宙に存在する水素とヘリウムの比率はほぼ決定され、その値は今日観測されるものとよく一致している。宇宙はその後も膨張して冷え続けた。このころの宇宙には、簡単な原子核とエネルギッシュに飛び回る電子と、膨大な光が存在しそれらが互いにぶつかり合って跳ね飛ばされていた。そして、およそ30万年が経過したとき、温度が十分に下がり電子の速度が落ちて原子核につかまり原子が形成された。この時以降光はほぼ何にも邪魔されずに宇宙をまっすぐ進めるようになった。こうして生じた自由な光こそ宇宙マイクロ波背景放射で、これは光によるビッグバンのこだまなのだ」(P298下巻) さて、ここでビッグバンモデルと旧約聖書の出だしとの類似性に気づきます。 創世記曰く、初めに、神は天地を創造された。地は混とんであって、闇が深淵の面にあり、神の魂が水の面を動いていた。神は言われた、光あれ、こうして光があった。・・ 聖書では神は7日間ですべてを創造したわけですが、ビッグバンモデルでは最初の1秒と数分で宇宙の原型ができたという大きな時間的な差異はありますが、秒や分という概念がない時代を考慮すればむしろ光が主役だという点に注目すべきでしょう。 もちろん、本書でも教会と科学との対立と受容の歴史にも触れています。 宇宙はどのように始まったのか?という真相に近づくにつれ、では我々が住む地球が生命体にとってかくも理想な形で成り立っているのはがなぜだろうという次の疑問が湧いてくるのは当然です。 そして、マーティン・ルースは6つの数値(重力、核力、宇宙密度、反重力、重力と静止エネルギー比、次元数)が宇宙の形を決定しており、6つの中の1つでも今と違った数値だったなら、宇宙の進化自体に深刻な影響がでていたという理由で人間中心原理に行きついたのも興味深い。(P316下巻) 最後に、訳者の青木薫は2006年に単行本のあとがきで、「本書は宇宙のことをよく知らない読者のために書かれた」と記し、内容は専門的だがわかりやすい点を強調していましたが、2008年の文庫本のあとがきでは「宇宙論についての最新の知見を紹介することよりも、科学的方法の喜びを味わってほしいために書かれた本」という言い直しをしていますが、まさに詰め込みの学校教育では味わえないアカデミックな知的興奮を味わえる1冊となっています。 やはり、宇宙には深遠な魅力、いや魔力があるようです。
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