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ワシントンは血を抜かれすぎて死んだ。瀉血が信じられていたからだ。壊血病患者は重労働を課された。ビタミンCが未知だったために。ナイチンゲールの登場以降、医療効果を科学的に測定しようという試みは、2000年代、ついに代替医療へと──。鍼、カイロ、ホメオパシー他の最新の科学的評価とは? 知られざる逸話とともに語られる、代替医療の真実。『代替医療のトリック』改題。
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Posted by ブクログ
鍼、ホメオパシー、カイロプラクティック、ハーブの代替療法を次々に取り上げながら、その効果の低いこと、ないこと、身体に害をなすことを論証している。プラセボ、二重盲検法など、科学が確立した手法、概念についても詳しく説明を加えている。 医療リテラシーが高まる本。今も色褪せていない。 代替医療が掲げる、総...続きを読む合性、自然由来、伝統という背骨に当たる傾向性を叩き切る。
代替医療そのものを信じるかどうかよりも、 そのために受けられる治療を遠ざけてしまうことが怖い。 ジェット浪越が懐かしい。
「代替医療解剖」という、なかなかおもしろい本を読みました。 ここで言う「代替医療」とは、通常治療以外の民間治療のこと。その中でも特に、「鍼」「ホメオパシー」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」に多くのページが割かれていました。 原書はイギリスで2008年に出版されたもので、原題は「Trick ...続きを読むor Treatment?」。なかなか洒落た題名ですよね。ハロウィンのときの子どもたちの言葉「Trick or Treat」をもじって、「トリックなの?治療なの?(ホントのところはどっち?)」ってことですよね。 最初のページに書かれている言葉は、「チャールズ皇太子に捧ぐ」。 最初は意味がわからなかったけど、本書の最後の方に書かれていたのですが、どうやら、チャールズ皇太子が、(治療効果のない)代替医療を支援しているらしく、治療効果があるかどうか調査しよう、と言いつつも、バイアスをかけた発表を取り上げて養護しているのだそうだ。それに対しての「返答」として、この本を執筆したのだそう。 本書では、最初に「治療効果があるかどうか見極める」ことについての解説。 数世紀前までは、医者、と呼ばれる人たちが、自分の「経験」から、瀉血を信じ、多くの人々を失血死させていた事実に気がついていなかったことや、科学的な視点を持たなかったために衛生管理を怠っていたことなどの例を出してから、現在の「標準治療」が厳密な「臨床試験」に基づいていることを解説。 そして、いくつかの「代替医療」について、「臨床試験」※に近い、きちんとした比較に基づいて「効果があるかどうか」を論じている。 ※「治療群」と「対照群」に分けてブラインドテストを行い、明らかに効果が出たものを《科学的根拠に基づく医療》と認めるというもの。また、副作用に関しては、治療効果に対して、副作用のリスクの程度が十分小さいもの。 大きく取り上げた4つの代替医療である「鍼」「ホメオパシー」「カイロプラクティック」「ハーブ療法」について、1章ずつ割いて、その結果が書かれていました。 結果は、大雑把にまとめると ・効果はほぼ「プラセボ効果」と言える ・時には、直接的な危険性もある(臓器を傷つける、中毒症状を起こす、感染症、など) ・そして、標準医療に比べて費用がかかる ・代替医療を信じたことによって通常医療を否定することによる病状悪化の危険性 要するに、民間治療には、ほとんど効果がないということがデータからわかった、という結論でした。 文庫版になったときの訳者のあとがきを読むと、この本が出版されたたことで、著者の1人であるサイモン・シンさんが、英国カイロプラクティック協会に名誉毀損で訴えられたとのこと。一審ではシンが敗訴したものの、科学者、ジャーナリスト、著名な司会者などがシンの応援に立ち上がり、危険なカイロプラクターの摘発キャンペーンなどを行った結果、英国カイロプラクティック協会が訴えを退け、シンが勝利したとのこと。 そして、「プラセボ効果」の研究がアメリカの研究者によって始められたとのこと。 怪しげな民間治療で得られるプラセボ効果ではなく、標準の医療でも、プラセボ効果を効率的に利用していけるようになれば、さらに患者の利益は大きくなりますね。きっと。 結構な分量のある書籍なので、読むのは大変でしたが、科学的な根拠を持たずに行われてきた、過去の医療行為や、代替医療の詳細などを知ることができて、ためになる本でした。 「自然」「伝統的」「全体論的」などの、いかにも「良さげ」な言葉には注意しなくては、ですね。そして、最後の方には、患者が代替医療に走ってしまう理由の1つに、医師が代替医療に目をつぶっていることや、患者に対して時間を割けないことなども列挙されていました。なかなか難しい問題ですね。 最後に、煙草のパッケージに注意書きを載せるように、それぞれの治療法に注意書きを載せるなら…ということで、著者が書いた「注意書き」が面白かったので、引用しておきます。 ーーー引用ーーー ・鍼 注意:この治療法については、いくつかのタイプの痛みや吐き気には効果があるという、僅かな科学的根拠が得られているのみです。それらの症状に効いた場合も、効き目は長く続かず、非常に小さなものとなるでしょう。通常医療の治療にくらべて費用がかかり、効果は小さいとみてまず間違いありません。この治療法の主な効果はおそらく、痛みや吐き気に対するプラセボ効果でしょう。それ以外のすべての病気に対して、鍼にはプラセボを上回る効果はありません。鍼は、訓練を受けた施療者に打ってもらえば、かなり安全な治療法と言えます。 ・ホメオパシー 注意:この製品にはプラセボ効果しかありません。ホメオパシーを信じていて、症状が痛みや抑うつなどである人にのみ効果があります。その場合でも、通常医療の薬のような強い効果は得られないでしょう。通常医療の薬よりも副作用は起こりにくいですが、効果も少ないでしょう。 ・カイロプラクティック 注意:この治療法は、首に脊椎マニピュレーションが行われた場合、脳卒中を起こし死亡する危険があります。それ以外の背骨に対して行われるなら、カイロプラクティックは比較的安全です。腰痛に効果があるという多少の科学的根拠はありますが、たいていは通常医療の治療にも同様の効果があり、料金ははるかに安くすみます。他のすべての病気に対し、カイロプラクティックにはプラセボを上回る効果はありません。 ・ハーブ薬ーイブニングプリムローズ(メマツヨイグサ)オイル 注意:この製品にはプラセボ効果しかありません。あなたが信じなければ効果はなく、また、プラセボ効果による治療に反応するある種の病状にしか効果がありません。その場合でも、プラセボ効果は予測不可能で、通常医療の薬と同程度の効き目はないとみられます。通常医療の薬よりも有害な副作用は少ないかもしれませんが、効果も少ないでしょう。 ・ハーブ薬ーセントジョンズワート 注意:この製品は、他の薬と干渉することがありませす。セントジョンズワートを服用する前に、一般医に相談しましょう。軽いか、または中程度の抑うつ状態に効果があるとの科学的根拠があります。こうした病状に対しては、同様に効果のある通常医療の薬があります。 ーーーーーー
それぞれの代替医療の成り立ち、理論が説明され、更に臨床試験の結果が示され、結論づけられる。非常に論理的で説得力のある内容だった。厳格な臨床試験(二重盲検法)等に関する解説も興味深い。プラセボ効果について詳述した第6章は必読。代替医療をめぐる現代社会への警鐘と提言に、著者の熱い思いを感じた。
代替医療が本当に医療効果があり、費用と見合ったものなのかを、正しい臨床評価を基に検証したものです。正しい評価とは、「科学的根拠にもとづく医療」の事で、通常ランダム化臨床試験で得られた根拠の事です。 医療の歴史を紐解きながら、医療の素人でもわかりやすく理解できるよう努められており、そこからも筆者達の...続きを読む誠実な姿勢を感じます。また歴史の部分は読み物としても優れており、楽しませてくれました。 巷に溢れる代替医療のうち、その規模や浸透度の大きさから、下記の4つについて、多くのページが割かれています。 ①鍼 ②ホメオパシー ③カイロプラクティック ④ハーブ療法 結論から言うと、プラセボ効果以上のものは殆ど確認出来ないのが実情です。特にホメオパシーについては、治療ではなく信仰と言い換えたくなりました。 それでも人は効果のない代替医療に多額の費用をかけるのか、そこにも言及しています。 最初に訳者あとがき(文庫本版訳者あとがきではない)を読まれると、全体のサマリーになっている事が分かります。その後本文を読み始めてもいいかと思います。 医療に限らず、事実にもとづいて判断をしていく事の大切さと難しさを感じました。事実を事実として受け入れながら、批判精神を持ち続ける柔軟な態度を持ちたいと思いました。 作者はイギリスの医師と医療ジャーナリストによる共著で、最後までとても読みやすく非常に為になりました。
サイモン・シンさん。 とにかく自分には絶対知りえることも触れることも考えることもなかったであろうテーマについて、本にしてくれて読ませてくれる。 それだけで、読めるだけで、機会を得るだけで、何か嬉しくなってます。笑 文中の、 「二千四百年間にわたり、患者たちは、医者は自分のためになることをしてくれて...続きを読むいるものと信じていた。そのうち二千三百年間は患者たちは間違っていた」。言い換えると、人間の歴史のほとんどにおいて、大半の医療はほぼすべての病気について、効果のある治療ができなかったということだ。実際、かつての医者の大半は、私たちの先祖の病気を治すのではなく、むしろ害をなしていたのである。 胸に残りました。
代替医療というこれも逃れ難い誘惑を持つジャンルに切り込んだ本。 思惑が絡み合う業界なので、自分が病に伏せる前にこういう本を読んでおかないと冷静な判断ができないでしょうね。 鍼やカイロプラクティック、ホメオパシーなどを分析しているが、鍼についてプラセボ効果しかないことは、日本でここまで広まっているため...続きを読むに受け入れ難いのでは(海外におけるホメオパシーと同じなのだろうか)。 巻末にはサプリメントやデトックスといった、誰でもやってそうなことにも少し触れられている。 代替医療に引っかかる心理まで解説されており、傑作です。しかし、著者のサイモンシンさんはこの本のせいでカイロプラクティック協会から訴えられてしまい、最終的に勝訴したものの、2年の歳月と多額の金銭を失ったらしい。著作がこういうことで減るのは残念です。 ムカジーの「がん」といい、医療の歴史には傑作が多いですね。
ホメオパシーやカイロプラクティックなどの代替医療について、施術者が謳う効果があるかどうかを科学的に分析する。 第1章でレモン果汁をとることで壊血病の発生率が劇的に改善された例等をあげて、「機能のメカニズムは不明でも対照実験を行い、統計的に有意な結果が出ればその治療方法は効果がある」を明確にした上で、...続きを読むメジャーどころの代替医療を分析。 結論としてはほとんどの代替医療はプラセボ効果以上のものはない。だが、それが今や大きなマーケットになってしまっている現状とそれを手助けした「犯人」についての言及はきびしい。
前作に比べて、代替医療に対する批判色が強い作品ではあったが、いつもながら読者を引き込む作りである。主流医学が幾つもの臨床試験を重ね、科学的根拠に基づいて発展してきたのに比べて、巷の多くの代替医療は、謳っている効能のほとんどが科学的根拠も乏しく、プラシーボ効果以上の効力を持たないことが臨床試験から既に...続きを読む明らかにされている。また、主流医学では、ある一つの治療法が特定の疾病・疾患にターゲットを絞っているのに対し、代替医療では、あれもこれもみんな効きますという万能性を謳っているものが多く、これらも冷静に考えれば、そんな都合のいい話はないと思えるだろう。こういった科学的リテラシーを養うには最適な1冊であった。最後にシン氏が述べていることが印象的だったが、何故効かないと分かっていてもなおこういった代替医療が生き延びるのか?それは問診にほとんど時間をかけず患者の声に耳を傾けない「冷たい主流医学」になりがちな現代ではむしろ、じっくりと話を聞いてくれる代替医療セラピストにすがる患者が増えるのではないか、という意見に賛成である。
学生実験や計測工学で学んだアプローチが、このような問題にも使われていたとは…。とはいえ、まっとうな研究者よりもマスコミや詐欺師の声の方が、一般人に数多く届くように世の中はできている。まずは疑問を持つことが唯一の防衛策なのかなぁ。
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