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微罪容疑によって逮捕、接見禁止のまま512日間勾留された異能の外交官は、拘置所のカフカ的不条理の中で、いかなる思索を紡いでいたのか。神との対話を続け、世捨て人にならず、国家公務員として国益の最大化をはかるにはいかにすべきか。哲学的・神学的ともいうべき問いを通してこの難題に取り組んだ獄中ノート62冊の精華。書下ろし100枚。
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Posted by ブクログ
外交官×神学の境地とはこんな感じなのか…本人は大変だったろうが、これは読み物としてかなり面白かった。
真実がどこにあるのかはわからない。 わからないが、512日間の強烈な精神力がここに描いてあった。 真似などできるものではない。 [more] (目次) 第1章 塀の中に落ちて―二〇〇二年五月二〇日(七日目)から七月二八日(七六日目)まで 第2章 公判開始―七月二九日(七七日目)から九月二七日(一三...続きを読む七日目)まで 第3章 獄舎から見た国家―九月二八日(一三八日目)から一二月三一日(二三二日目)まで 第4章 塀の中の日常―二〇〇三年一月一日(二三三日目)から六月一五日(三九八日目)まで 第5章 神と人間をめぐる思索―六月一八日(四〇一日目)から八月二八日(四七二日目)まで 第6章 出獄まで―八月二九日(四七三日目)から一〇月九日(出獄後一日目)まで 付録
塀のなかにいることを ある種楽しんでるよーな? もしくは せっかくの機会だから活かそうとしているのか? どちらにせよ 一般人からすると奇人変人の類い 知の巨人という渾名も分からんでもないです。
鈴木宗男氏に対する国策捜査に巻き込まれ、実刑判決を喰らった元外交官であり、現在は執筆・評論業に忙しい佐藤優氏が、収監中に書き溜めていた大量のメモや手紙を1冊の本にまとめたもの。逮捕されるまでは対ソ連・対ロシアの外交官であり、モスクワ在任期間が長かったこともあり、ロシアや東欧に関する政治・文化的背景の...続きを読む洞察がとても鋭い。近世以降のヨーロッパの政治史・哲学史・宗教史に対する造詣が深く、このような豊かな教養に裏付けられた現代ロシア論には迫力がある。 本書が執筆されたのは2000年代前半であるが、執筆内容の多くは、現在のロシア情勢にも十分に通用する。たとえば本書を読めば、ウクライナ情勢を受けてロシアが中国に急接近する素振りを見せたとしても、99%はブラフであろうということが容易に想像できるようになる。 神学を高いレベルで究めた著者が、牢獄において自己を律し、頽廃も絶望もすることもなく、論理的かつ客観的に自己の置かれた状況を分析し、検察と正面から闘い続けた精神力には、ただただ脱帽するばかりである。
かっこいい。 学術的な事柄から、日本の基礎体力の低下についての憂慮、後輩へのアドバイス、果ては「馬鹿」という言葉の意味まで、様々なことが書かれていて、それらが佐藤優という一人の人間を浮かび上がらせる。 佐藤さんはビジュアル的には無頓着なイメージなのだが、彼の眼光の鋭さには非常に憧れる。彼の生...続きを読むき様を背中ではなく目で語られているようだ。
この本は著者が下獄していたときのノートや手紙を元に編みなおした記録です。今回この本を読むのは三度目になりますが、その圧倒的な思索の量と質に驚きをかくせません。 どうも最近、こういう本ばっか読んでます。僕がこの本を読むのは今回を含めてちょうど三回目のことになりますが、読むたびに作者の強靭さと知識の...続きを読む深さ、量と。思索の緻密さに改めて舌を巻いたしだいでございます。この本は著者が当時、外務省のアフガン支援NGO問題に端を発したもろもろの政治事件に絡んで東京拘置所に下獄していた514日間の記録です。その間に自分のすべてを記録したノートを五分の一に圧縮したそうですが、それでもものすごい量で、これだけのことを獄中という特殊な環境でつづり続けたという事実は、作者の精神の強靭さと、辿ってきた外交官人生が以下に過酷なものだったかということを示すものだと思います。 もし、自分が信念を持って取り組んでいた仕事のために国や自分が所属する組織から裏切られてこのような境遇に自分がなってしまったときに、果たして彼のように『誠実』であることができるのだろうか?そんなことを自分に問いかけながら活字をずっと追っていました。でも、獄中の中でこれだけの思索ができるのは本当に見事としか言いようがありません。 作者は出獄後に論壇や文壇でその恐ろしいばかりの知識を使って、多彩な執筆活動を展開していくのですが、それが小菅の東京拘置所の中にその萌芽があったということに僕は驚きを隠せません。彼が読んでいた神学書や哲学書に関しては、相当難しいのでまだまだだなと自分を振り返りたくなりました。人はどんな境遇でも自分を見失わずにここまでのことができるのだと。そういう事実をこうして残してくれた筆者に、感謝します。
この本と「国家の罠」を併せて読めば北方領土問題に関する理解が随分と深まると思います。 検察官の執拗な取調べが続く中でも読書に耽り語学の勉強に邁進する佐藤氏の旺盛な知識欲に驚嘆させられました。 「とりあえずドイツ語の辞書を通読しよう」とか、なんかもう辞書を通読という発想からして次元が違うと思いました。...続きを読む できることなら牢獄に入らないで済む人生を送りたいですが、読書や勉強に集中できる環境という意味では非常に魅力的な場所だとも思いました。
獄中での生活や思考がよくわかります。また知的活動の方法論としても優れた本だと思います。絶対のオススメの一冊!
戦後最強と言われた外交官佐藤優氏の著書。 こんな人間がいたのかと驚かされる。独房での時間を自己研鑽の場と捕らえ、ひたすらに読書と語学学習に取り組む氏。大学時代から神学を学び、それを外交に活かし、日本という国を引っ張っていったと言っても過言では、ない仕事をした人物。現在、偽計業務妨害の罪に問われ、起...続きを読む訴休職中。歴史に通じていて、語学が堪能であり、ウォッカをものともしない体質。素敵。この人の著書を読むと、ロシアに興味を抱く。ロシア語始めようかな。
のちに『国家の罠』に結実した「国策捜査」の実態。拘置所という空間で知的営為を組み立てていく執念。キリスト教神学論争と政治哲学の奇妙な類似など啓発される点は多い。現実には美食も酒もタバコも無く、テレビラジオ等の娯楽も厳しく時間制限され(なぜか外国語書籍の差入れも禁止)最大限に屋外運動でも運動不足で大抵...続きを読むのものは音を上げる…。同盟国であったアメリカから、日本人と自ら任ずる人々が住む沖縄を返還してもらうにさえ《密約》が必要であったのに、友好条約もないロシアと交渉するのがどれほど困難であったことか/作家で逆転に成功
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