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東アジアは日本をより深く知るための反射板になる――。韓国、北朝鮮、極東ロシア、ベトナム、そして巨大で多様な中国。職業的観察者たる著者が歩き、見つめた二十世紀末から二十一世紀にかけての東アジアの大地。そこに息づく社会と人々、そして積み重なる歴史。冷戦は終結し、ソ連は消滅し、9・11があり、いまも世界は変わり続けている。明晰な視点でわれらの時代を語る、傑作紀行文集。
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Posted by ブクログ
評論家の関川夏央氏による東アジアの紀行エッセイ本。東アジア各国(中国、台湾、極東ロシア、韓国、北朝鮮など)を実際に訪れて、現地の文化や暮らしを聞いて見て回りながら、現地目線でこれらの地域の複雑な現代史を振り返り、考察している。特に、韓国と北朝鮮の振る舞いは、日本人(だけでなく世界中の人々)にとって、...続きを読むその捉えどころのない価値観が理解困難であるのだが、本書をくまなく読めば、理解困難であることの歴史的・文化的・政治的背景について、なんとなく理解できた気になるかもしれない。20年以上前に書かれたエッセイが多数収録されているけれども、今読んでもまったく古さを感じさせないところに、著者の知識と見識の高さを垣間見た気がした。
関川夏央が1980年代末から2003年までの間に、色々な雑誌や新聞に発表した、主として東アジア(日本を別とすれば、中国・ロシア・北朝鮮・韓国・台湾が対象。その中でも、北朝鮮・韓国に関するものが多い)に関する原稿をまとめた本。単行本で発行された当時に読んだ記憶があるが、先日日本に帰国した際に、文庫本で...続きを読む発行されているのを見つけて買ったもの。 書中、あまり詳しくは触れられていないけれども、原稿は、単に資料や書籍から材料を拾ってきているわけではなく、これらの国に何度も、かつ、色々な形で足を運んだ上で書かれているようだ。そういう意味では、一種の紀行文、あるいは、論考的紀行文とでも言えそうな本だ。「文庫本のためのあとがき」の中に、関川夏央は、「そういうことを続ける精神的体力がなくなった」というようなことを書いているが、まさに、心身ともに体力を使って書かれた原稿が並んだ本だと思う。
関川夏央の、80年代末から03年までの、 おもに東アジアに関する原稿を一冊にしたもの。 冒頭の、「世界とはいやなものである」と題されたものは、 シドニーオリンピックについて。 柔道の篠原選手、たしか決勝で敗れて銀メダルだったと思います。 “誤審”と言われてずいぶん騒がれましたが、 記者会見では「...続きを読む弱いから負けたんです」と言ったとか。 それを聞いたフランス(金メダルを取った選手の国)の新聞は この篠原のコメントをそのまま引用し、そしてそのままの意味にとった。篠原自身が「弱いから負けた」といっているじゃないかと書いた。「世界」とは身もふたもないところなのである。身もふたもない「世界」に謙譲は通用しない。 さらに引用。 その柔道で、いちばん情けなかったのは山下監督だった。試合終了後抗議にとびだしたはいいが、何をいっているのかわからない。何もいっていないようでもある。こういう場合は、たわごとだろうが何だろうが、とにかく英語でまくしたてつづけて、かつ審判を畳の上から逃してはならないのである。「世界」とは身もふたもないのみならず、いやなところなのである。筋のとおった議論でなくともよい。屁理屈でかまわない。多くしゃべる方、声を大きな方が得をするのは、クジラ談義を見ればわかる。 確かにねぇ。 そうなんですよねぇ。 結局、こういうことがうまくできないと生き残れないなんでしょうねぇ。 少なくとも世の中はこういう原理で動いていると認識しておかないと やばいでしょうねぇ。 ああ、あいまいで、甘くて、目立たなくて、 失敗しても笑って許されて、コツコツやってるだけが美徳の日本。 そんな日本で地味に生きてゆきたいです、私は。 私が前にいた会社では、年俸交渉のために「プレゼンテーション」なるものが 必要で、私がいかに会社に貢献し、私独自の努力と知恵がいかに業績に結び付いたか、 あるいは業績が上がらなかった場合は、いかに外部要因が不運であったか (要はいいことは自分のおかげ、悪いことはひとのせい)みたいなことを、 グラフやらなんやら使ってアピールせねばならない機会があって、 いやでしたねー。 そういえば、「世界とはいやなものである」って、 山本夏彦の言葉だと思ったんだけど、いいのかな、タイトルになってるけど。
80年代からの東アジア関係の著作を集めたもの。 中国朝鮮に対する見方は今となっては常識的なものだが、逆に当時、日本が各国へ向ける視線の異常さがわかる。
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「世界」とはいやなものである――東アジア現代史の旅
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