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情報とは生命の意味作用であり、ヒト特有の言語もその発展形にほかならない。すなわち、ヒトの“心”とは“情報”が織りなすダイナミックなプロセスなのである! それでは、機械で心をつくろうとする現代人の心とはいったい何か? 理系の知と文系の知を横断しながら、まったく新しい心の見方を提示する、冒険の書。
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Posted by ブクログ
新書だったが、ちょうどいま気にしているイシュー、例えば人工知能や生命についての哲学事項、が整理されていて、意図せずとても参考になった。 デカルトの二元論の否定から始まり、生命システムの定義や、「言葉」の心的システムに対する意味や、社会体制に対する意味など、大いに参考になった。 特にアフォーダンス...続きを読むとオートポイエーシスの理論の補完的結合は自分としては新しい知見だった。 また、「中心と周縁/詩人と異化」の論についてはよくかみ砕きたい。 未来に対する考察としては次の2点をよく考えたい。 1)言語性について、王の身体性(声)から新聞のような言葉への変化が社会の変化とリンクしていたとして(情報の独立性が増したとして)、技術の時代にはどうなるだろう 2)経済の時代には権力の源泉が「論理性」であったとして次の時代には何になる? →情緒性が復活する?(エコーチャンバーでは復活しつつある) →つまり言語に変わるコミュニケーション手段が現れたとき、言語が持つ形式性はその権力を失う
第4章がおもしろい。共同体の書き方が、すごくシンプル。終盤、若者の心の問題になったのは、戸惑ったけど。
西垣さんは、後書きでも書かれているとおり、ところどころで「知的暴力」という過ちをおかしており、論証力という部分において、ちょっと突っ込みたくなる部分があるのだが、一冊通して読むと、得るところが多い書き手なのが魅力である。 今回は、オートポイエシスという概念に、アフォーダンスという概念を交差させ、...続きを読む生命的情報の本質に迫ることに成功している。そして、ヒトという生物がアフォーダンスからはみ出た存在であることの指摘においては、鋭いとしか言いようがない。 以下抜き書き。 ・すなわち生物とは、いわば歴史を抱え込んだ存在なのです。非生物であるモノを記述するにはその物理的な構造からはじめればよいのですが、生物の認知活動を記述するには、歴史的側面を無視することはできません。そして、この歴史性すなわち時間的累積性こそが、〈情報〉(※生命情報)の本質的特徴なのです。 ・現代社会においては記号の意味作用を安定させる強力な規範化権力がはたらいていること、そしてそのことが工学的な機械情報の重視、情報処理技術の進歩発展と深く結びついているということなのです。 ・規範化権力は、辞書とか、学校教育とか、法体系といった近代的制度のなかに組み込まれています。 ・われわれヒトは、自分の知覚だけではなく他者との言語コミュニケーションをもとに環境世界を認知し、そのイメージを作り上げていきます。つまり厳密には、ヒトは決して自分一人で環境正解を解釈しているのではなく、他者をまきこみ、共同で解釈をおこなっている、ということになるのです。 ・文字という情報テクノロジーの登場によって、ヒトの社会には〈抽象化〉と〈普遍化〉という方向性が鮮明にあらわれた。逆に言えば、一つの語句の意味作用が抽象化・普遍化され、規範によって安定化されなくては、その語句は小さな共同体の枠をこえて何千何万もの人々のあいだで通用することはできないでしょう。 ・端的に言うと、印刷技術の登場とともに、はるかな父祖の威光をひきつぎ聖なる声を発する存在である「王」は死んだのでした。 ・近代国家では政治と宗教はふつう分離されます。宗教は共同体の統合をつかさどる社会的装置から、個人の内面にかかわる心理的装置へと重心を移していきます。 ・文字を一次元にならべた印刷本はヒトの視覚だけを特権化し、感覚の比率を狂わせるとマクルーハンは批判します。 ・優れた詩というものはすべて、見慣れた日常世界を組み替え、環境世界に新たな異なる〈意味〉を付与することができます。 ・国民国家が「国語」を独占できる時代は、過去のものとなりつつあります。もちろん、二一世紀にも国家が無くなることなどないでしょうが、その形態や機能は、絶対的な政治単位からゆるやかな国際連合体の要素という方向に変わっていくかもしれません。そういう潮流のなかで、いかに自分の言葉をとらえ直し、自分のアイデンティティを見つめ、地球上のコミュニケーションに参加していくか、それがいま、問われているのです。
[ 内容 ] 地球上に生命が誕生した三十数億年前に、情報も同時に誕生した。 情報とは生命の意味作用であり、ヒト特有の言語もその発展形にほかならない。 すなわち、ヒトの“心”とは“情報”が織りなすダイナミックなプロセスなのである! それでは、動物の心を根底にもちながら、一方で機械(コンピュータ)で心を...続きを読むつくろうという野望を抱く、現代人の心とはいったい何か? オートポイエーシス、動物行動学、アフォーダンス、人工知能といった理系の知と、現象学、言語学、社会学などの文系の知を横断しながら、まったく新しい心の見方を提示する、冒険の書。 [ 目次 ] 第1章 情報から心をみる(情報学からの展望 心は情報処理機械か ほか) 第2章 機械の心(機械が言葉をしゃべるとは 人工知能の挑戦 ほか) 第3章 動物の心(生命の誕生と歴史 心的システムの進化 ほか) 第4章 ヒトの心(言語が生まれる 原型言語 ほか) 第5章 サイバーな心(もとめられる身体性 イメージ商品としての機械情報 ほか) [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
8点 最高に平易に書かれた「西垣情報学」の入門中の入門の書。これを読んで面白いと感じたのであれば、次は「基礎情報学」を読んでください。
『情報伝達の神話』という朝日新聞のコラムを書かれた西垣通氏の著書ということで購入。 情報学の専門家が、一見すると無関係と思われる心の問題について掘り下げている点が興味深い。「情報から心をみる」「機械の心」といった章立てに惹かれたが、実際に読んでみるとやや難解で、思っていたような内容とは違っていた。た...続きを読むだ、筆者の言わんとする「情報が心を、心が情報をつくる」という部分は最後のあたりで伝わってきた。
情報にまつわるさまざまな問題を包括的に扱う情報学という学問の立場から、人間の心について論じた本です。 本書では、人間を単なる情報処理機械と考える立場が退けられ、みずから情報を創生するオートポイエーシス・システムとして捉えるべきだとされています。ただしそれは、歴史的に形成される自己循環的な閉鎖系であ...続きを読むり、それゆえ人間の心を理解するためには、生物の進化史をたどる必要があるとされます。こうして、動物の心から検討を始めて、人間の意識がどのようにして形成されたのかという、大きな問題についての見取り図が描かれることになります。 さらに著者は、人間の心をアフォーダンス理論を手がかりにして考察しています。ただし、アフォーダンス理論では、情報は環境世界にあらかじめ実在すると考えられているため、情報は自己循環的な閉鎖系の中にあるとするオートポイエーシス理論と衝突します。そこで著者は、環境世界の中で行動することによって意味作用が生まれるという仕方でアフォーダンスを理解し、オートポイエーシス理論と補完的な関係にあることを示そうとします。 とはいえ、人間の心は他の生物と大きく異なっています。著者は、人間は言葉によって構築された文化的環境の中に身を置いていると考えることで、アフォーダンスの想定する「リアリティ」の内実を拡張し、人間の心の特異性を説明しようとします。 新書のサイズで扱うにはかなり大きな問題が扱われていて、理解が追いつかないところもあったのですが、刺激的な本でした。
情報学者で東大教授、西垣通さんの著書。情報学的観点からオートボイエーシス、アフォーダンスといった理論を交え心を論じます。いろいろな学説を交え心を論じている点はおもしろいですがいまいち結論が見えにくいという印象。でも良い本でした。 西垣通さんは日立の研究所でOSやネットワーク、データベースなどの性能...続きを読む設計や信頼性設計を研究したのち東大へ。東京大学情報学環教授。東大には情報学環という文理融合した様々な分野の研究者が集まり情報を研究している組織があるのですね。興味深い組織です。情報という学際的な領域は面白いと思います。
安い、たったの720円+税 税込み表示してないとこから、ちょいと前の本だってわかる 個人的には、タイトルは胡散臭い感じちょっとですが 中身は値段以上のものを提供してくれます。 「新書」という内容な事は忘れずに あくまで新書です 情報という観点から、1900年代初頭あたりから現代までの ...続きを読む 各分野の中での出来事を取り上げながら、丁寧に説明していきます。 そういう意味で、哲学や科学の分野の理論書に初めて触れる人には比較的、良書と言える気がします。これを読んで、ここに出て来る人名を検索エンジンで調べてと、知識を広げるきっかけを強く作ってくれる本と言えるでしょう。 また、同時に一回りしてから読むと違った視点で この本を読める その点でも良い本であると思います。 「情報」「情報化社会」というフレーズに興味がある方は ちょいとお金を出してみてはいかがでしょう。
インターネット多言語主義(マルチリンガリズム)とサイバースペース多言語主義はサイバースペースにおける(英語のみによる)単一言語主義(モノリンガリズム)に対抗する思考。 しかし英語が出来ればそれで良い、と私は考える。 あえて、他言語を習得するほうが時間の無駄。
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