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Posted by ブクログ
短編集で、しかも江戸物で、こんなにも心を動かされたのは初めてでした。切ないのに仄かな暖かさがある不思議な心持ちになりました。
江戸は深川を舞台にした6つの切ない恋物語が収められた本作。江戸期では埋立地として木材問屋や蔵があり、船が行き来する深川。
そんな深川の情景が想像しやすく、また当時の人々の風俗をまるで見てきたかのような自然さで描かれていました。
そのためにより物語に没入でき、当時の人々も貧しさや人生について悩み、こんな風に心をキュッとしたのかもしれないと感じました。
個人的に『がたくり橋は渡らない』がお気に入りです。若い花火師が自身を裏切った女性と心中しようとし、女性のお隣さんに諭される話。お隣さんの忠さんが語る貧しさの辛さとそれでも大切な人を一途に想う強さも粋で素晴らしいのですが、現実は甘くないよなというやりきれなさが切ない物語です。当時の深川の花火と人々の貧しさがどちらも哀愁を誘います。
ぜひ新涼灯火に親しむ際に切ない江戸深川の恋を…
Posted by ブクログ
初の作家さん。時代恋愛小説。時代小説は、前回の猫の手屋シリーズから2冊目。恋愛小説は、記憶の限り初か…な? イニシエーションラブも、基本的にラブストーリーだけど、個人的にはどっちかっていうと「どんでん返しを確認するために読んだミステリー」という認識で読みました。純粋に読んだ恋愛小説としては初かなあ、多分。
中学生時代、ティーンズハートから出てたものも結構読み漁ったけど(勿論恋愛)、大人になってからは、逆に恋愛は手を付けていなかったのです。
だからそういった意味で、恋愛小説、しかも読み慣れない時代物、というのは新鮮でした。
連作短編集なのだけど、初述のとおり初の作家さんなので、最初の一話目・下駄屋おけいを読んで、ハッピーエンドを目指す作家さんなのだな、と一話を読んだだけで勝手に当たりを付けて読み進めていたけれど、その浅はかな考えは、すぐに打ち砕かれました。ま、一話読んだだけで分かった気になった自分もどうかと改めて思うけれど。
どれも良かったけど、特にのめり込んで読んだのは、「仙台堀」。
2人の女性に挟まれた久助どうするの、どうなるの、と思いながら読み進めました。結末は、未読の人のために伏せますが、久助の性格考えたら、そうだよね、ととりあえず納得しました。
最後の「狐拳」も一波乱あったけど、丸く治まって良かったあ。「がたくり橋は渡らない」「さびしい水音」「凧、凧、揚がれ」「仙台堀」と切ない話が続いて、歯痒かったりもしてたので、最後の「狐拳」でほっとしました。
現代でも、「身近にいそう、こういう人」というような人物しか出てこないので、余計感情移入しやすいかもしれないです。だけど現代人とはどこか違う雰囲気も漂っているのも、江戸時代という設定のなせる業なのでしょうか。
江戸の日常を切り取った6つの恋物語は、じんわりと心に残ります。
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