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肌をさされてもだえる人の姿にいいしれぬ愉悦を感じる刺青師清吉が年来の宿願であった光輝ある美女の背に蜘蛛を彫りおえた時、今度は……。性的倒錯の世界を描き、美しいものに征服される喜び、美即ち強きものである作者独自の美の世界が顕わされた処女作「刺青」。作者唯一の告白書にして懺悔録である自伝小説「異端者の悲しみ」ほかに「少年」「秘密」など、初期の短編全7編を収める。
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Posted by ブクログ
言葉だけでこんなにも色気を操れるものか、谷崎潤一郎のエロティシズムへの才能と狂気に魅せられた。 短い物語だけど、大作を読んだ時と同じ余韻を感じられる。 女を描くのに長けていて、その描写から羨望せざるを得ない。 彼にとっての愛はただ彼の中にあるこの世には存在しないもので、その空虚をこの世にある一番美...続きを読むしいもので埋めているにすぎないと思った。 全ては表裏一体、均等などは存在しない。
これが耽美派かと納得した。どの作品も女性の美しさに焦点を当てていて、フェティシズムを刺激する美しい描写がたくさんあった。Masochistの注釈に「谷崎潤一郎にも、この様な傾向があった」と書いてあってそんなこと言ってあげるなよと思ったが、精神的屈辱や身体的苦痛に美しさを見出す谷崎だからこそ他の小説家...続きを読むには表現できない作品を生み出したのだと思う。特に「少年」は思わず息を呑む様な官能的な描写が多かった。エロのカテゴリーが少なかったであろう時代にこんな小説を書いていた谷崎には畏敬の念を禁じ得ない。
刺青と秘密しか読んでない。が、美しい。眼窩に映るただひたすらに美しい刹那。色の魔術師って呼んでもいい?嫌いなのに好きな谷崎
少女漫画読んでいたのですが飽き足らず、谷崎潤一郎に戻ってきました(?) ゾクゾクして大満足です。独特な世界観最高〜 でもちょっと痛い
何とも言えない妖艶な物語、風情ある文章が素敵。 物語が進むにつれ、心情の変化が言葉巧みに書かれているので、自分の思いを上手く文章にできない私としては、さすが上手いな、見事だと敬服。 作家はこうでなきゃ! 全部良かったが、敢えていうなら『秘密』『刺青』だな。
圧倒的文才は変態すら芸術に変える 内容はかなり変態的だが、不朽の名作して残っているのは、美しい文章のおかげだと思った。 美しい文章を書くにはやはり知性や自分の感覚を磨く必要がある。 勉強の大切さを痛感した。
あとがきを読んで知ったんだけれど「刺青」は処女作ということで、才能が「開花」してますね。 谷崎には「開花」という言葉が相応しいように思える。 あまり谷崎文学に触れてこなかったけれど、彼の小説の見方がぐっと変わりました。 最初に有名な「痴人の愛」を手に取ったのですが、沼に落とされた感と、またこれから谷...続きを読む崎文学に触れたいという方がいたら私はこの本を薦めたいです。 妖しくも艶めかしい内容ですが、それを上回る描写力。 沈美の作家とも言われていますが、圧倒的存在感と真逆の少しふわふわした感じが良い按配で詰め込まれている、気品高いお重の中の風変わりなお菓子と言ったところ。 甘くて妖艶。 少し苦い。
再読です。言わずもがな有名な「刺青」「少年」を収録し、なにゆえ谷崎文学が耽美派と呼ばれているのか、その作風が大体わかる一冊になっています。私の場合、谷崎はこの本からのめり込んでいったので、非常に思い入れのある話が多いです。「刺青」や「秘密」は大好きな話ですが、谷崎文学では異色の「異端者の悲しみ」や、...続きを読む幻想的な情緒を醸し出す「母を恋うる記」なども好きです。まあ要は全部好きです(笑)。
先日鑑賞した作品に『刺青』が引用されており、「そう言えば谷崎潤一郎は読んだことがなかったな」と手にとってみた。 知識としてどういう作風かは知っていたつもりだったけれども、想像以上に耽美な世界観だった。サディズムとマゾヒズムがふんだんに織り込まれている。情景としてはおぞましいはずの場面も、滑らかな筆致...続きを読むでするすると飲み込まされてしまう。なんというか、ずるい文体だ。個人的には『秘密』が好き。 『異端者の悲しみ』だけはすっきりしない読み心地でもやもやしたが、解説によると自伝的な作品であったとか。そういう見方をすると、確かに受け取る印象は変わってくる。 谷崎潤一郎、女性と母親像とに物凄い思い入れがあることは全編通して強く認識した。他も読んでみるかなあ。
「刺青」 短いお話ですが、冒頭の一文から引き込まれ、最後女の背中の刺青が朝日に照らされる一文まで読み終わると、ずっしりと妖しい空気感が残るような感じ。 「秘密」 素性を隠して自分を夢の中の女としてみせることで男を繋ぎ止めておこうとするなんていじらしくて可愛いと思ったけど、この主人公にはそんな平凡な...続きを読む哀れみの心はないんだろう。 最後の一文から、この男はさらなる歓楽にも、きっと同じように夢中になり、全容を悟ってしまっては飽きてを繰り返してどこまでも堕ちていくんだろうなと思った。
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