大黒屋光太夫(上)

大黒屋光太夫(上)

小説・文芸
693円 (税込)

3pt

天明2年(1782)、伊勢白子浦を出帆した回米船・神昌丸は遠州灘で暴風雨に遭遇、舵を失い、七カ月後にアリューシャンの小島に漂着した。沖船頭・光太夫ら十七人の一行は、飢えと寒さに次々と倒れる。ロシア政府の意向で呼び寄せられたシベリアのイルクーツクでは、生存者はわずかに五人。熱い望郷の思いと、帰国への不屈の意志を貫いて、女帝エカテリナに帰国を請願するが……。

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大黒屋光太夫 の一覧

1~2巻配信中 1巻へ 最新刊へ
1~2件目 / 2件
  • 大黒屋光太夫(上)
    693円 (税込)
    天明2年(1782)、伊勢白子浦を出帆した回米船・神昌丸は遠州灘で暴風雨に遭遇、舵を失い、七カ月後にアリューシャンの小島に漂着した。沖船頭・光太夫ら十七人の一行は、飢えと寒さに次々と倒れる。ロシア政府の意向で呼び寄せられたシベリアのイルクーツクでは、生存者はわずかに五人。熱い望郷の思いと、帰国への不屈の意志を貫いて、女帝エカテリナに帰国を請願するが……。
  • 大黒屋光太夫(下)
    737円 (税込)
    光太夫は、ペテルブルグへの苦難の旅路をへて、女帝エカテリナに謁見。日本との通商を求めるロシアの政策転換で、帰国への道も開かれた。改宗した二人を除く光太夫、磯吉、小市は、使節ラクスマンに伴われて、十年ぶりの帰還を果たすが、小市は途中、蝦夷地で病に倒れる。――鎖国日本から広大なロシアの地に漂泊した光太夫らの足跡を、新史料を駆使して活写する漂流記小説の最高峰。

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大黒屋光太夫(上) のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

     白子廻船の船頭頭職を世襲する大黒屋の婿養子となった光太夫は沖船職の役目を引き受け、その航海の途中に見舞われた暴風雨によって、遭難してしまう。絶望的なサバイバルの中、ほとんど奇跡のような形でロシアへと漂着することになった光太夫たちだったが、極寒のロシアを彷徨う中でひとり、またひとりと倒れていき……。

     ということで本作の主人公は、ロシア使節のラクスマンによってロシアから日本に送還されてきた船頭大黒屋光太夫の数奇な人生を描いた一冊です。抑制された文章の隙間から立ち上がってくる漂着劇の壮絶さと絶望的な状況にあっても決して日本へ帰りたい、という思いを捨てなかった光太夫の強い意志が魅力的でした。

    0
    2026年04月21日

    Posted by ブクログ

    紀州から江戸に向かうはずが嵐に遭い遠くロシアまで漂流した商人、大黒屋光太夫。極寒の地を仲間とともに旅し、ロシア人の支援も受けて帰国を目指す。
    絶望からキリスト教徒に宗旨変えする仲間も出るなか、ひたすら帰国を信じる彼の姿は映画「ショーシャンクの空に」の主人公に重なる。深い教養やロシア語を身につける知性も武器に、細い糸を辿るように帰国への道を切り開いていく。
    吉村昭は華美な形容に走ることなく、淡々と彼らの
    漂流の旅を綴る。過酷な船上生活に極東の凍える寒さ、仲間と生き別れるつらさ…余計な形容を省いた描写が読者の想像をかき立てる。
    自分なら光太夫のように過酷な運命に立ち向かえるだろうか?異国の人々をも惹きつける人間的魅力を備えているだろうか?光太夫の強さにただただ感嘆するばかりだった。

    0
    2025年01月08日

    Posted by ブクログ

    映画化もされていましたね。江戸時代ロシア領に漂流し、生還を果たすまでの物語。
    シーホルトの娘、についで吉村さんの本の中ではお気に入りです。
    異国で病に倒れた者、帰国が決まる直前にロシア正教の洗礼を受け鎖国政策の日本に帰れなくなった者、帰国の船に乗ったにも関わらず上陸直前に船の中で病に倒れた者。
    様々な運命に翻弄されながらも、奇跡的に生還を果たした主人公。
    それぞれが持つ、強い郷愁。それに共感を覚えました。

    0
    2009年10月04日

    Posted by ブクログ

    急死に一生の目など遭ったことのない身としては、漂流の絶望感は想像を絶する。生き延びることのみが目的となる日々。陸の姿に恋焦がれる。いざ、たどり着いた島。そこはロシア領。命あることだけに感謝する。たとえ定住となってでも・・・とは、ならない。今度は、再び故郷の土地を踏むことを希う。東端の島から「シベリアのパリ」への流転。国の思惑があるとしても、出会う人々の親切さと情の深さには感心する。ロシアは近くて遠い国。過酷な旅に次々と命を落とす乗組者たち。生き残っている人の名前を確認し、下巻へと進める。

    0
    2022年10月08日

    Posted by ブクログ

    江戸後期にロシアに漂流した大黒屋光太夫の生涯を描いた歴史小説。遭難時の切迫感ある状況描写など吉村昭らしさをふんだんに感じることができる。
    劇画の舞台に引き込まれる、というイメージなのか。

    0
    2012年11月10日

    Posted by ブクログ

    大黒屋光太夫は、天明2年1782件に伊勢白子浦を出帆し、遠州灘で暴風雨に遭遇し、漂流してしまう。
    光太夫一行は、アリューシャン列島の小島に漂着する。そこから、ロシア国内を移動し、僅かな望みをかけて、日本への帰国願いをロシア皇帝に願い出ようとしていた。

    0
    2025年04月01日

    Posted by ブクログ

     江戸時代にロシアへと漂着した日本人が、初めて帰国できたという魅力的な史実を題材にした、井上靖さんの『おろしや国酔夢譚』との違いを知りたくて、こちらはフォローしている方に教えていただきました。改めまして、ありがとうございます。


     まず読み始めて気付いたのが、井上さんの作品では「大黒屋光太夫」ら総勢17名を乗せた神昌丸が出帆したという表記のみで、出帆前の彼らについては全く触れていなかったところを、吉村昭さんの本書ではじっくりと描写している点で、白子浦の繁栄は家康のお陰といった歴史的繋がりも興味深い中、沖先頭の光太夫の半生について、幼い頃から知識欲が旺盛であり、神昌丸に自身の手荷物として浄瑠璃本が多く入っていたのは、物語本を好んで読んでいた、その頃からの趣味であったことや、二度も養子になりながら、やがて船親父の「三五郎」から様々な事を学び、彼を親のような存在として敬意を抱いていたという関係性も初めて知り、そんな二人の信頼関係は、後の航海中に於ける生死を賭けた嵐の場面からも感じ取ることができた。

     また物語の構成として、井上さんは全体的に一歩引いた客観的視点で、日本人とロシア人、現地の人々との交流も含めてバランスよく描いている中、吉村さんはページを割きたい場面とそうでない場面とを使い分けることで、起伏のある展開を見せながら、あくまで主役は光太夫たちということで、彼らの思想や行動に焦点を絞って描いているように思われた。

     その中で一つ印象的だったのが、ニビジモフらロシア人と島民たちの諍いに光太夫たちが巻き込まれたエピソードであり、そこで改めて痛感させられたのは、当時に於ける支配される側のどうすることもできないやり切れない悲しみであり、それは光太夫も重々承知してはいたのだが、これまで彼らが生きてこられたのはニビジモフのおかげでもあるため目を瞑る形になってしまった、そんな断じて許せない部分と恩人の部分を共に兼ね備えたニビジモフ像というのも、良いか悪いかはともかく忘れられないものがあった。

     そして、井上さんの作品との最大の違いと思われたのが、光太夫のキャラクターであり、井上さんの描く彼はリーダーシップに優れ、他の船乗りたちの前では決して弱音を吐かない皆の憧れといった存在なのに対して、吉村さんの描く彼は皆の前でも悲しいときは思い切り嗚咽したり、何度も不安な気持ちに駆られたりと、超然としたものは無いもののその分感じられる人間臭さが魅力で、それは三五郎が彼に、『豊かな生活になじんだ光太夫が想像を絶した苦難に遠からず身も心もくじけてしまうだろう』と言う場面など、井上さんの作品ではまず有り得ないのではと感じられた程の違いであった。

     ただ、本書の光太夫が決してリーダーとしての魅力が無いというわけではなく、例えば嵐の場面で荷を捨てるのは、沖先頭の責務を放棄する行為でありながら、それは水主たちの命を守ることを第一義と考えたことによるものであることや、カムチャツカへ向かう時アミシャツカ島で無念の死を遂げた仲間たちへ、『私たちにしがみつけ、共に島を離れよう』と涙ながらに叫んだのも、出来ることなら誰も訪れないような場所に置いて行きたくない、そんな気持ちが溢れ出しており、その責任感のある仲間思いの姿にはとても好感を持てるものがあった。

     それから、もう一つ挙げておきたいのが、井上さんは序章で光太夫以前の漂流者を紹介していたのを、吉村さんは物語の大きな流れの中で記載することによって、これまで誰一人日本に帰れた者がいないことを光太夫が知ることで、もしかしたら自分たちも帰れないのではと、とてつもない不安感を抱いたことが、「なぜロシアは漂着した日本人を帰国させないのか」という疑問点に繋がって、やがてはロシアの南進政策の一環なのではないかと推測する点には、井上さんの作品でも全く信じ切っていた訳ではないけれども、より現実的でシリアスなものを吉村さんは物語に取り込んでいる印象を受け、そうした危機感を持った状況で光太夫はどう行動するのか、下巻も注目したい。

     他にも、ラクスマン(ラックスマン)の個性や、イルクーツクに向かう際に光太夫たちが乗っていたキビツカ(輿)の中が、防寒衣をつけたまま布団の中にいても体が震える程の寒さでありながら、更に天井からは氷片が落ちてくる恐怖があったこと等、それぞれの作品の違いを探しながら読むのも楽しい。

     ただ、これは好き嫌いの問題ではあるのだけれど、今のところ、あまりに光太夫たちのことしか描いていないことが、ロシアの情景や感傷的なことも色々と知ることのできた、井上さんの作品を先に読んだ私からしたら、やや物足りなさを感じてしまったのも確かであった。

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    2024年09月14日

    Posted by ブクログ

    1985年にTBSのシベリア大紀行と言う番組で椎名誠が大黒屋光太夫の足跡を辿ってるのを観た。その番組が印象深く、その影響で井上靖のおろしや国酔夢譚を読み、後に映画化されたものも観た。でもなぜか椎名誠のシベリア追跡やTBS取材班のシベリア大紀行は読んでいない。その後、2003年に吉村昭の大黒屋光太夫が発行されたので読みたいと思っていたのだが、ようやく読み始めた。

    0
    2022年02月22日

    Posted by ブクログ

    【本の内容】
    <上>
    若き水主・磯吉の人間臭さのにじみ出た生々しい陳述記録をもとに紡ぎだされた、まったく新しい光太夫たちの漂流譚。

    絶望的な状況下にも希望を捨てず、ひたむきに戦いつづけた男の感動の物語。

    <下>
    十年に及ぶ異国での過酷な日々。

    ロシア政府の方針を変更させ、日本への帰国をなし遂げた光太夫の不屈の意志。

    吉村歴史文学、不滅の金字塔。

    著者渾身の漂流記小説の集大成。

    [ 目次 ]
    <上>


    <下>


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    [ 参考となる書評 ]

    0
    2014年09月21日

    Posted by ブクログ

    江戸時代の18世紀末、伊勢の国から江戸へ向かう予定であった大黒屋光太夫一行は嵐にあり、アリューシャン列島のアムチトカ島に漂着。同島はアメリカが1960年代後半から 地下核実験を行った島である。
    当時鎖国下にあった日本に 帰るにも帰られず、また島をでるにもでられす、
    次々と仲間たちが死んでいく中 光太夫らはペテルブルグのエカテリーナ2世に謁見をゆるされ、約10年後に帰国する。
    同じ題材を取材した井上靖の「おろしや国酔夢譚」と比較して読みたい本である。
    吉村昭晩年の作だが漂流のほうが人間がよく描けていたと思う。

    0
    2010年11月21日

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