小説小野小町 百夜

小説小野小町 百夜

2,420円 (税込)

12pt

3.8

髙樹のぶ子さんが2020年の新型コロナ禍による緊急事態宣言中に刊行し、5万部を超えるヒット作となった『小説伊勢物語 業平』。泉鏡花文学賞と毎日芸術賞をW受賞した「日本の美の源流をたどる」小説として、次に紡がれたのは、同じく平安時代の「六歌仙」のひとり、優れた歌の才に加えて、絶世の美女としても数々の伝説が残る小野小町の一代記である。本作も『業平』に続き、日本画家・大野俊明氏のカラー挿絵が「みやび」の世界に色を添える。

能楽の演目でも重くあつかわれる観阿弥作「卒塔婆小町」が元にしたとされる伝説「百夜(ももよ)通い」。小町を恋する男に、百夜通ってくれば共寝してもいいと無理難題をつきつける。男は通いつづけ、百夜目に悲劇的な死に見舞われる。思いが叶わなかった男の恨みはやがて小町の身の上に残され、惨めに老いさらばえる――小町はなぜこのような姿に描かれ後世に伝えられねばならなかったのか。古今和歌集と後撰集に残された数少ない小野小町の実作とされる和歌をより深く翫味すれば、そこに隠された本当の小町の姿が立ち現れてくる。

小町の歌の世界はけして甘美ではない。しかし、「日本の美の源流」が「もののあはれ」、哀れから来るとなぜ言われてきたのか。五感を研ぎ澄まして、この小説の音律に身を委ね、時に声に出して読んでいけば、読後にかつて経験したことのない深い感動が待っている。「もののあはれ」が体感できる小説と言っても過言ではないだろう。

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小説小野小町 百夜 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    前作「業平」を読んだら本作も読まざるを得ないであろう、何しろ遠い昔のことであり資料さえなく、業平以上に困難な作業だったと想像される、後の世に悪女のように扱い最後は乞食にまで身をやつしたと悪い評判を流したのは観阿弥であったのか、けしからん奴だ、この物語の大半は著者の創造であろうが、平安時代の雅な世界を

    0
    2023年09月24日

    Posted by ブクログ

    小野小町の生涯を、古今和歌集と後撰集に残された数少ない彼女の和歌から、描いた物語。

    有名な小野小町といえど、残されている史実はないに等しい。
    悪名高い?「百夜通い」も伝説で、実際はどうであったか。
    100日彼女に元に通ったら、共寝してもいいと言われたが、100日目の夜に悲劇的な死に見舞われ、その恨

    0
    2023年11月16日

    Posted by ブクログ

    名前は知っているし、京都のあちこちに伝承が残る小野小町。この作品を読んで初めて人物像がおぼろげながらも形を成した。和歌の要約も分かりやすく心に響いた。所々で胸が熱くなる。

    0
    2023年10月09日

    Posted by ブクログ

    小野小町について、これまで名前でしか知らなかったが、生きた女性として感じた。平安時代の雰囲気も感じることができた。挿入された和歌の読み解きも面白くぐいぐいと引き込まれた。

    0
    2023年08月09日

    Posted by ブクログ

    謎の人物とされる小野小町
    最後は美貌も衰え
    各地を乞食になって放浪し
    行き倒れのように亡くなった
    かのように聞いていたが
    この作品はちょっと頷ける感じ
    時代に翻弄される人達が
    どこか悲しい

    0
    2023年08月05日

    Posted by ブクログ

     平安初期、六歌仙の一人、絶世の美女とされた小野小町については、どのような人であったかは不明だという。この本は文字通り著者による「小説」以外の何物でもないと思う。
    出羽国で中央貴族・文人の小野篁の庶子として産まれ、10歳で母と別れ、父の篁ともに宮廷に出入り、優秀な歌人として評判になり、幾人かの男性と

    0
    2024年02月27日

    Posted by ブクログ

    前作の業平を懐かしく思い出しながら雅文調を楽しんだ。理解するのではなく感じるのがもののあわれという事なんだろう。挿入される短歌も想像力を刺激してくれる。フィクションだろうと思いながらも百人一首でお馴染みの名前の人達がストーリーで絡み合ってくるのはワクワクしますね。

    0
    2023年08月25日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    小町と僧正遍昭との出会い、別れ、後世での再会を祈ります。十二分に小町の汚名挽回がなされた作品であると思います。

    0
    2023年12月10日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    高校生の頃のことで言えば、現代国語は得意だが古文は苦手だった。恥ずかしながら、苦手な分だけ、知識も欠落しているのであるが、今回、美人の代名詞である小野小町について書いた『百夜』を読んでみることにした。雅文調に慣れるのに少し時間がかかったが、幼い頃より才能のあった小町と、王朝の奔放な色模様やきな臭い権

    0
    2023年08月17日

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