猫を抱いて象と泳ぐ

猫を抱いて象と泳ぐ

652円 (税込)

3pt

「大きくなること、それは悲劇である」――この警句を胸に11歳の身体のまま成長を止めた少年は、からくり人形を操りチェスを指す。その名もリトル・アリョーヒン。盤面の海に無限の可能性を見出す彼は、自分の姿を見せずに指す独自のスタイルから、いつしか“盤下の詩人”と呼ばれ奇跡のように美しい棋譜を生み出す。架空の友人インディラとミイラ、海底チェス倶楽部、白い鳩を肩に載せた少女、老婆令嬢……少年の数奇な運命を切なく描く。小川洋子の到達点を示す傑作。

...続きを読む

猫を抱いて象と泳ぐ のユーザーレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2024年03月13日

    初めて読んだ時、独特な世界観と作者の豊かな表現力に衝撃を受けました。私にとってこの作品は凄い!の一言につきます。
    唇がくっついて生まれてきた少年に神様は並み外れた集中力とチェスの偉大な才能の仕掛けを施して下さった。しかも少年しか出来ない独特なチェスの指し方で。恵まれない環境の中でも、愛情に満ちた人々...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2024年03月04日

    リトル・アリョーヒンとして生きたチェスの名手。実在していた人物だが、いまだに謎が多いという。その彼を題材にしているが、チェス盤の下が彼の命そのものというくらい、チェスに魅了されチェスに生かされた彼の生き様が、素朴だけど奥深くて、心動かされた。彼を取り巻く、優しくて強い人物たちの存在にも勇気をもらえる...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2024年02月17日

    チェスの棋士リトル・アリョーヒンの他は人名も地名も固有名詞が出てこない無国籍で異空間な小川ワールド。
    それでも豊富で緻密な表現力でどんどん引き込まれていく。
    たびたび訪れる死の場面も悲しいだけではなく必然だったんだなと様々な感情に揺さぶられる。

    0

    Posted by ブクログ 2024年02月08日

    この本は、前からタイトルが気になっていたのですが、やっと読むことが出来ました!
    めちゃくちゃ良かったです。
    チェスの名人リトル・アリョーヒンの生涯を描いたものです。
    チェスを知らない私が読んでも、盤上の美しさが想像出来るような詩的な表現で駒の動きを描いており、とても良かったです!
    読んで良か...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2024年01月27日

    映像的な書き口なんだけど、
    言葉を深く理解していて、その効果を計算できるところは小川洋子の作品だな、と思う。
    そういった意味でこれはすごく詩的だった。

    最後のゴンドラのシーン。
    リトルアリョーヒンと総婦長とミイラ。
    キングとクイーンとポールに重なって美しく残酷な終わり。

    0

    Posted by ブクログ 2024年01月19日

    リトル・アリョーヒンと呼ばれる小さな男の子が、バスに住む運転手にチェスを教えてもらい、人生をチェスで過ごしていくお話。
    出会いと別れがあり、場所に思い出があり、出生時の出来事がある。
    彼の周りで起こる出来事はどこか悲しさの多いことばかり。
    彼は人生を、リトル・アリョーヒンと名付けられた人形の中で、チ...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年10月08日

    読み終わった後、何故か分からないが涙が出てきた。感動でも悲しいでもない不思議な気持ち。愛しい愛しいリトルアリョーヒン。この素敵な作品を生み出してくれた小川洋子さんと、手に取るきっかけになる帯を書いてくれた入社3年目の方に感謝!

    0

    Posted by ブクログ 2023年08月28日

    リトル・アリョーヒンがミイラとの対局を長く味わうことを望んだように、ずっと作品を読んでいたい気持ちになりました

    0

    Posted by ブクログ 2024年04月06日

    “少年は詩がどんなものかよくは知らなかったが、アリョーヒンの棋譜から立ち上る朝霧のような静けさ、風に震える花弁の可憐さ、一瞬を貫く稲光、大地を吠えさせる風のうねり、暗闇に浮かぶ月の孤独、などを詩と評するのならば、詩というものは素晴らしい宝石であるに違いないと確信した。”

    「大きくなること、それは悲...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年09月25日

    表紙の色合いが、まさに物語の世界にすうっとなじむ。
    一文一文が美しく、静かなトーンのながら決して単調ではなくうねりながら流れてゆく。
    時におだやかに時に激しく、チェスという知らない世界も、音楽のような空気感で体全体に伝わってくるよう。
    インディラを、心のどこかではうらやましくも思っているという、暗く...続きを読む

    0

猫を抱いて象と泳ぐ の詳細情報

閲覧環境

  • 【閲覧できる環境】
  • ・ブックライブ for Windows PC(アプリ)
  • ・ブックライブ for iOS(アプリ)
  • ・ブックライブ for Android(アプリ)
  • ・ブックライブ PLUS for Android(アプリ)
  • ・ブラウザビューア

※アプリの閲覧環境は最新バージョンのものです。

この本をチェックした人は、こんな本もチェックしています

文春文庫 の最新刊

無料で読める 小説

小説 ランキング

小川洋子 のこれもおすすめ

同じジャンルの本を探す