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今でも彼の指先が、耳の後ろの小さな窪みに触れた瞬間を覚えている。まずいつもの手つきでびんの蓋を開けた。それから一滴の香水で人差し指を濡らし、もう片方の手で髪をかき上げ、私の身体で一番温かい場所に触れた――。孔雀の羽根、記憶の泉、調香師、数学の問題……いくつかのキーワードから死者をたずねる謎解きが始まる。
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Posted by ブクログ
調香師の卵であった恋人の弘之が、“記憶の泉”と名付けられた香水を残して突然亡くなる。 一緒に暮らしていたフリーライターの涼子は、どうしても彼の自殺の理由が知りたくて、幻影を追い求めるように彼の過去を辿っていく。 淡々として美しく、上品な雰囲気で、外国の映画を観ているようだった。 スケート、数学、物...続きを読む事を分類する能力など、静かな物語の中に隠された彼の秘密を知るたびにどきどきしてしまう。 プラハでの不思議な体験はまるでファンタジーのようで、街の風景が頭の中で映像のように映し出され、いつまでも浸っていたくなった。 優しいため息をついてしまいたくなるような、みごとな結末だった。
小川ファンなので冷静に星がつけられません。 亡くなった恋人をたどる心の旅のお話です。物語が始まった時に既に恋人は亡くなっていて不在です。不在だからこその存在感は小川さんの作風の特徴であり、一貫しているので心地よく読みました。 取り留めもないと言えば取り留めもないと思うのですが、だからこその哀しみ...続きを読むを感じます。 恋人の仕事が調香師というのもこの物語にぴったりで、香りは目に見えないけれど香りというものの背景には必ず思い出があるのだと思う。
なんと魅力的な主人公だろうか。視覚を塞ぎ、嗅覚、聴覚、触覚に生きた。 誰かが損なわれることに我慢がならず、自分を失った弘之。ルーキー。 プラハのジェニャックも魅力的。言葉を超えた世界。 最後の算数を教える場面の描写で泣いた。 自殺の理由なんて外からは分からない。それがメッセージ。 ただ彼は受け入れた...続きを読むんだな、死を。
よく知っていると思っていた恋人のことを、実は何も知らなかったと知ることは、どれだけ悲しいことだろうか
たまにはこの様な物語もいいではないか。 ある日突然恋人を失い、その生きていた証を訪ねていく物語。 生前の彼のことを、実は何も知らなかった自分に少なからずショックを受けながらも、彼の弟と共に軌跡を追い彼の実家で過ごす。そして異国の地へ向かい、そこで出会うガイドと共に。 彼が存在していた記憶を思い出...続きを読むし、考え、それにどっぷり浸かりながら、いない事実を受け入れていく様がよく書かれていて、ページをめくる手がとまらなかった。 少しは楽になれただろうか?時間が解決とは良い言葉だが、どっぷり浸って溺れながら、でもゆっくり浮かんで生きていくのも悪くないと思った。 無性に好きな人に会いたくなった。
なぜ、夫は死んでしまったか?謎を解くために旅をするけど謎は簡単にはとけなくて・・・。主人公と一緒にチェコを旅している気分になりました。(チェコに行ったことはないのだけど。)
香りが記憶を表す、洗練されたお話。 数学、スケート、香水瓶の棚、どれにおいても綻びのない綺麗な完璧さをもっており、ただただ美しかった。 どうして彼が間違いを選んだのか、最後まで語られることはないが、それすらも神秘的と言わざるを得ない物語。
死者の記憶を辿る過程で現実と空想の曖昧な境目を往来する涼子。夫の過去や死の輪郭が少しずつ明確に認識されていく一方で、その中身は何処まで行ってもぼやけたまま。予め用意された”間違い”へと突き進む彼の姿は理解はできても共感はできず、その掴みどころの無さに儚さ/畏ろしさのような物を感じた。 ”過去は損なわ...続きを読むれず記憶は保存される”という幸福な事実に縋り付くようにして読み終えた、静謐な語り口で紡がれる喪失と救済の物語。
★3.5、が相も変わらず全く覚えていない再読のおまけで★4。 本作が発表された年を考えると、この作家の志向は既にこの時点でしっかり確立されていて、この空気を良しとするか否かで読者を選別しているようにも思われまする。 この観点で小川洋子という独自性は唯一無二なんだろうと。
謎解きと書かれてますが、ミステリー小説ではありません。 答えは用意されてないので、読むならそのつもりで。 突然もたらされた調香師:弘之の死。 記念日のプレゼントは「記憶の泉」と名付けられた香水。 フロッピーに残された言葉の断片から 彼の軌跡を辿る旅をする決意をするのだが・・・ 「猫を抱いて像と泳...続きを読むぐ」を連想しました。 本作では、香りの表現に強く惹きつけられました。 色んな記憶を掘り起こしてくれるから、 小川作品は大好きです。
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