大きなボリュームでしたが、学ぶことが多く物語全体としてとても面白かったです。
物語の序盤では、主人公である田井中の行動(幼少期に友人の父親を叩いたり、本屋で万引きをしたり等)に対しヒヤッとすることがありました。
その後、二木の秘密を知った田井中は、万引きがバレた時にその秘密を弱みとして利用しよう
...続きを読むとしたところから、物語は加速し思わぬ展開に進んでいったと思います。
終盤の二木とクラスの緊張感は凄いものでした。
田井中と口論になった時の二木のセリフには、人々の生き方について色々と考えさせられました。
特に印象的だったのは、本当の自分を押入れの中にしまって生きるという選択肢について。その考えは誰にも迷惑をかけなければ良いと思っています。
しかし他人がその事実を知ってしまった時、それをどう感じるかは受け手に委ねられます。
二木の趣味がどうとかは置いておいて、押入れの中に本当の自分を隠すという生き方は、無理のない範囲なら良いのではないかと思いました。
僕の場合だと自分も周りの友達には読書が趣味とは言わず、ゲームやエンタメの話で周りと話を合わせているみたいな感じかと思いました。
また、度々出てくる吉田を始めとするいじめっ子集団による田井中へのいじめシーンは、リアルな描写で生々しい緊張感が伝わって来ます。
正直読んでいて不快な気分になることもありました。
集団に馴染めないと世の中生きづらいのも事実なのかも知れませんね。。