『ロリコン』と聞いただけで拒否反応が起こる。反射のようなもので、深く考えるまでもなくタブーという認識だ。
ただ、二木の話を聞いているうちに「確かに冷静に考えれば何も悪いことではないのかもしれない」とも思った。
多様性が叫ばれる世の中で、小児性愛はその対象に入っていないだろう。その願いが成就して行き着
...続きを読むく先にあるものが犯罪だからだ。
ただ、そちら側に立ってみると本当に辛い。
僕自身は性自認が男、恋愛対象は女性で、女性しか好きにならない、年齢幅はざっくり20〜30歳くらいだろうか。それと同じように、小児性愛者は恋愛対象が幼い子供で、それはもうどうしようもない。自分には変えようのない自分を、世界のルールが許さない。絶望だと思う。
それを踏まえると許すべきなのではないか、というか許すってどの立場から言ってんだよ、という感じだ。
もちろん、実際に行動にうつす人間はもってのほか、それは小児性愛に限ったことではない。でも誰にも迷惑をかけていないのなら…。
あと個人的に、主人公・広一が自分と似過ぎてて読むのが辛くなりました。気付いてはいるけど、それを直視すると自分が嫌いになり過ぎるから見て見ぬ振りしている部分を、広一がつらつらと語るもんだから個人的にキツい部分が多々……。
あまりにもリアルだったから、作者の人もきっと自分と同じ人間なのではないかと想像して、そこは少し気持ちが楽になった。
自分は、自分の嫌いなところとどうやって共存していけばいいのか、ということに未だ正解が出せずに生きています。だからこそ、この物語がどんな結末にたどり着くのか気になって、ページを捲る手が止まらなかった。
そういえば高校の時にロリコンを自称する友人がいたことを思い出した。作中に『LOL』というロリコン向け雑誌が出てきた時、そのモチーフとなっているであろう雑誌と、それを見せてきた友人・Mの顔が浮かんだ。
正直、その雑誌の内容を見たときは引いた。「これはひどい…」と思った。
でもその友人に対する印象は変わらなかった。
Mは実際に幼い子供に手を出すことなんてもちろんしないし、一緒にいて楽しい奴だったから。
作中に『ロリコン』という言葉が出てきてもMのことはすぐに思い出さなかった。『LOL』という単語が出てきてやっと「あ、そういえば」となったのは、自分にとってMがロリコン云々の前にひとりの友人であるからだと思う。それはMの一部でしかなくて、それだけでその人の人間性を判断するようなものではない。