一読目。私はいつも、読んでいる途中でメモなどを取りながら読みます。
読みたい本は無限にあるし、メモを取らないと忘れるからです。
ですがこの本は、大事な人の話を目をそらさず聞くように、真剣に、真摯な姿勢で読むべきだと感じましたのでまず一読、読む以外のことをせずに致しました。
モリー先生のあたたかな人柄
...続きを読むに涙が自然に溢れてきます。
これから再読してきます。
再読してのメモ。
ミッチの記憶に残る、とても素敵なモリー先生の描写。
「式のあと、大好きなモリー・シュワルツ教授をさがし出してて両親に紹介する。小柄でちょこちょこ歩く先生は、強い風が吹けばたちまち雲の上まで持っていかれそう。卒業式用ローブをまとったその姿は、さながら聖書に出てくる預言者とクリスマスの妖精の間の子といったおもむきだ。」
これだけでもミッチの先生への愛情と、モリー先生の魅力が伝わってくるよう。
モリーのことがよくわかるエピソード。
親しい同僚が訪ねてくると、よくこんなふうに言う。「あのねえ、小便がしたいんだ。手伝ってくれるかい?そういうこと平気かな?」相手は、自分でもびっくりするぐらい、平気なのだった。
警句。モリーの言葉。
「できることもできないことも素直に受け入れよ。」「過ぎたことにとらわれるな。ただし、否定も切り捨ても禁物。」「自分を許すこと、そして人を許すことを学べ」「もうチャンスはないと思い込むな」
「多くの人が無意味な人生を抱えて歩き回っている。自分では大事なことのように思ってあれこれ忙しげに立ち働いているけれども、実は半分ねているようなものだ。まちがったものを追いかけているからそうなる。人生に意味を与える道は、人を愛すること、自分の周囲の社会のために尽くすこと、自分に目的と意味を与えてくれるものを創りだすこと。」
「いかに死ぬかを学べば、いかに生きるかも学べる」
「死するまで教師たりき」
「与えるのは生きているような感じがする」
モリーはミッチからのコーチというあだ名が気に入っていた。
モリーからの問いかけ。
「誰か心を打ち明けられる人、見つけたかな?」
「君のコミュニティーに何か貢献しているかい?」
「自分に満足しているかい?」
「精一杯人間らしくしているか?」
ある一場面。
「究極の人だのみだからね、尻を拭いてもらうっていうのは。だけど努力してるよ。なんとかそれを楽しんでやろうと思っている」「つまりは、もう一度赤ん坊になるってことさ。」「今となっては人生をユニークに見ないといけない。まっこうからぶつかるんだ。私は買物に行けない。預金の管理もできない。ごみを出しにも行けない。だけど、こうしてだんだんいのちが残り少なくなっていくなか、こうして座って、人生で大切だと思われるものに目を注いでいられる。そうする時間も-理由も-ある。」
「この病気のおかげでいちばん教えられていることは何か、教えてやろうか?」
何でしょう?
「人生でいちばん大事なことは、愛をどうやって表に出すか、どうやって受け入れるか、その方法を学ぶことだよ」
声がささやくように細くなった。「愛を受け入れる。自分は愛されるに値しないとか、愛を受け入れれば軟弱になると思われがちだけれども、レヴァインという賢人が言ってるよ、『愛は唯一、理性的な行為である』」
死ぬ準備なんて、どうすればいいんですか。
「仏教徒みたいにやればいい。毎日小鳥を肩に止まらせ、こう質問させるんだ。『今日がその日か?用意はいいか?するべきことをすべてやっているか?なりたいと思う人間になっているか?』」
モリーは実際に小鳥がいるかのように、ぐるりと首を肩の方に向けた。
「今日が、私の死ぬ日かな?」
モリーは、いちばんおそろしい瞬間のことを話してくれた。咳がこみ上げてきて胸が締め付けられるような気がするとき、次の息をどうついていいかわからないとき-こういうときはぞっとする、と言う。まず最初に味わう感情は恐怖と不安。しかし、その感触がつかめると-「よし。これが恐怖っていうものか。では一歩さがって、さがって」と言えるようになるのだそうだ。
「ほかの人の悩みを聞くのが、私にとってなぜ大切だと思う?自分の痛み苦しみだけでもうたくさんじゃないか?もちろん、そう。だけど、人に与えることで自分が元気になれるんだよ。車や家じゃない。鏡にうつる自分の顔じゃない。自分の時間を与え、悲しい思いをしていた人たちをほほえませることができれば、私としてはこれ以上ないほど健康になった感じがするんだよ。こうしてあげたいと、心の底から出てくることをやるんだな。そうすれば、不満をおぼえることはない。うらやむこともない。人ものをほしがることもない。そうることによって、山のように多くのものが自分に返ってくる」
「今、上においでの方と交渉しているところ。おたずねしてるんだ、『私は天使になれますか?』」
ミッチの表現
モリーを訪ねるのはタイムスリップするような感じ。そこにいると自分のことが好きになるのだった。
引用されている名言
教師は未来永劫にまで影響を及ぼす。影響がどこで止まるか、自分でもわからない
(ヘンリー・アダムズ)
互いに愛せよ。さなくば滅びあるのみ。(オーデン・詩人)
トマス・ハーディ「忘らるる者」
○「ナンバー・ツーじゃいけないの?」エピソードだけは、あの国会議員の顔が浮かんでしまい素直に読むことができなかった。