私も JW 元二世だが、ネット上にはこの手の元二世の体験談はありふれている。
特に目新しい情報は描かれていないが、漫画として(そして電子版として)出すと言う部分には新規性があるので、そこは評価できる。
他のレビュワーも書いているように、作者の育った家庭はかなり狂信者度が高い方かもしれない。
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私の親はここまでではなかったし、はっきり言って尻を叩かれた経験は私は殆どない。
こういうのはもっと古い世代の JW がやってたことだと思っていた。
しかし、作者は私よりも年下(たぶん作者は2019年現在で20代くらい? 私は30代半ば)らしく、下の世代でもまだこんなレベルのことやってんのかよエホ証は、と思ったくらいだ。
で、以下は私が考える批判点、および課題点。
主人公(たぶん作者)が性にだらしなくなったシーン(特に好きでもない男とセックスするシーン)が描かれているのだが、そうなったのは宗教のせいだけなのかは若干疑問。
私は大学時代に付き合った彼女と同棲して、そのままズルズルと同棲を数年間続けてようやくその人と結婚したクチだが、特に愛していない女とやるようなことはしなかった。
だから貞操観念と幼少期の宗教はあまり関係ないんじゃないかな、とも個人的には思う。
JW だけに限った話じゃないが、カルトの元信者としての体験や、二世として幼少期に宗教を強制された体験を描く作品というのは、「私は~という体験をさせられて辛かった、嫌だった、孤独だった、浮いていた」という話に終始している傾向がある。本作もその例に漏れない。
で、「普通の人生を送りたかった」みたいなことを言う例が多い。
だが、本当は「普通の人生」なんてそうそうないのかな、と私は最近思っている。
エホ証の子どもが周りのクラスメートを羨ましがるのは結構だが、実はそういうクラスメートだって色々と闇を抱えているのかもしれない。というか、問題のない家庭・人間なんて、本当はいないと最近は思っている。
だから、当時の私は単に「隣の芝が青く見えている」だけだったんではないか、とも最近は思っている。
単に「私はカルト宗教を強制させられていて辛かったんです」だけの体験談だけでは、価値を相対化できたとは言い切れないのではないかと考えている。もし次回作もカルトをテーマに描くならばそこまで踏み込んで欲しい。