巧い文章を書くエッセイストさんですよね、寿木けいさん。
収録されたエッセイの順番も、よく考えられています。
レシピ本での、その紹介もお見事な日本語だったので、期待していたけれど、
それを大きく上回る内容でした。早くも2022年のBESTにノミネートです。
(順位づけすること自体がナンセンスだけど)
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【本文より】
・知らんぷりというなの横着が、次に使う相手を苛立たせる。小さな苛立ちも、積もれば魔物になる。
・『血が、涙が、汗がデザインできるか(東京都現代美術館)』
・工夫や茶目っ気、はにかみ、やりくり。移り変わりのなかでどうしても見逃したくないと思ったそれらの、小さな景色を書き留めている。
・しかしそのあいまいさを支えているのは、無数の本当の手触りなのである。
・探しものはなんだって、一本道をゆくものではないこと、もう、じゅうぶん承知だ。
・庇護してくれる男のもとへではなく、自身のねぐらへ帰って、明日のために眠る
・強がって壊してしまった関係や、自覚しながらも傷つけたひとのこと。
・《仕事の合間に子育てをする生活は嫌だ》
・自分だけではなく、善きものを振りまいてまわりの誰かも喜ばせることが、女はうれしい。
・立っているだけで褒められるのは、初めてだった。それだけでうれしかった。
・拾い拾いしながら歩いてきた。やりたいこと、できること、わたしににかできないことのどれかを、そしてできれば3つとも満たすものを、いつも探している。