ーーー東京から青森まで、緑まぶしい五月の国道四号線を完全装備の自転車で疾走する中年グラフィク・デザイナー、桐沢風太郎。
ひょんなことから自衛隊の陰謀さわぎに巻き込まれ、特別隊に追跡されるはめになる。
道中で出会ったヒッチハイクの家出少年、桐沢、自衛隊の尾形三佐…追う者と追われる者の対決、冒険とサスペ
...続きを読むンスをはらみつつ、男たちは北へ。
何かの縁で目に止まり、裏表紙に惹かれた一冊。
いわゆるロードノベル。
まず秀逸なのは、自転車を漕ぐ疾走感や肉体の躍動感の描写。
きちんとした自転車に乗ったことがない人でも乗って風を感じたくなる。俺がそうだった。
自転車を主軸に置きながら、サスペンスや青春ものなど、他の要素との絡みが絶妙で飽きさせない。
終わり方も余韻があって好き。
不覚だった。
不意に、俺の躰の奥の方から、得体の知れぬ熱いものが込み上げてきた。