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1977年、オハイオ州で連続レイプ事件の容疑者としてビリー・ミリガンという22歳の青年が逮捕された。しかし彼には犯行の記憶がまったくなかった。取り調べと精神科医による鑑定を行ううち、彼の内部には24の別人格が存在しており、犯行はそのうちの1人によるものだったという驚愕の事実が明らかになる。それまでほとんど知られていなかった「多重人格」という障害を広く一般に知らしめ、日本でも一大ブームを巻き起こした記念碑的作品。
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Posted by ブクログ
面白いです。辛い描写もありますが、心温まる場面や言葉もあります。 まとめて読む時間が取れず細切れに読んでいるので、最初は第一部が始まる前の『心のなかの人々』を参照しつつ読みましたが、だいぶその頻度が減ってきました。 後半で、ビリーの中の人々が次から次に他者の前に姿を表す部分はとてもテンポよく面白かっ...続きを読むたです。彼らが実在した人たちなのか、どこからどうしてビリーの中にやってきたのか、まだ分からないことが多い。ただ、アレンがドクター・ジョージに言った「ドクターが人格たちと言うと、彼らがほんとうにいるとは考えていないみたいに聞こえます」という言葉は印象的で、彼らは確かに「人格たち」ではなく「人々」なのだろうと思えます。 楽しみに下巻を読みたいです。
オハイオ州立大学医学部一帯で二人の女性がレイプされるという事件が発生し、容疑者としてビリー・ミリガンという青年の名前が浮かぶ。それをきっかけとしてビリー・ミリガンの特異性が露呈。協力的な医師らより多重人格者と認定されるノンフィクション。 上巻の後半は、多重人格が形成される過程で養父から実の母親が暴力...続きを読むを上、ビリー自体が性的虐待を受けることから防衛本能が複雑に働くことによって他の人格が形成される。 そのプロセスが極めて生々しく読んでいて辛い。
多重人格というものに対しての偏見?イメージ?みたいなものが変わった気がする。 自分が知っている冷酷で理知的で、必要に応じて人格を分けるサイコパスではなく、生きていくために人格を変えざる得なかった弱者だったのが衝撃的だった。 今回の話は身体的な意味でビリーが犯した罪よりも、多重人格者が犯した犯罪という...続きを読む意味で有名になった訳で、そう考えると偏見にまみれているように感じるし、周りからの視線も好奇以外のものがないと思う。 罪を犯していない人間(人格)を逮捕するのは冤罪と変わらない気がするが、身体的な意味では犯罪者だから、どう分類したらいいのかわからない。 それにしても、知力や体力はもちろん、使用する言語まで変わるのなら、もう別人なのではないか。 個人的には22歳のイギリス人のアーサーというのに驚いた。 好きなアニメに そのまんまのプロフィールの人物がいる。 性格は全く違うが…。
『アルジャーノンに花束を』が良かったので。 私のビリー・ミリガンに関する知識は、多重人格の犯罪者、といったものだった。実際読むまではその”犯罪”は殺人だと思っていた(なぜだ)。 多重人格という題材はある意味アイキャッチーで、興味本位で書かれたものには食指が働かず、よって本書にも手が伸びなかった。 ...続きを読むノンフィクションというのもためらった理由の一つだったのだが(現実は救いがないからだ)、本書はまるで小説のようだった。 一気に読んだ。 まずはダニエル・キイスは誠実に描こうとしており、私の勝手な先入観とは全く異なり、決して興味本位の本ではなかった。 執筆のきっかけはビリー本人によるものであり、ビリーが純粋に虐待や多重人格について世間に知らせたいと願ったからであった。担当医からの紹介の通り、キイスはその期待を全うしたと感じる。 先に”小説のようだ”と書いたが、これはキイスの読みやすさを意図しての手法か、あるいは作家故にこのような表現になったのだろうか。いずれにせよ私にとっては読みやすさの助けになり、良い効果が得られた。 構成も(あくまで上巻読後時点)、まずは注目の発端となった事件から始まり、理解が進み、クライマックスのような”教師”の登場、そして過去を語る、という、読者を飽きさせないものとなっている。 ノンフィクションだからと言って事実を淡々と描かなければということはなく、周知を目的としているのならば、読者を飽きさせない方法を取ることは賢明である。そういう意味でもうまく書かれているなあ、という感想。 表現としては”時間を奪う”がいい。 比喩ではなく、本人の実際の感覚なのだとは思うけれど。 ここからは作品自体からは離れてしまうが、多重人格について、個人的な考察。 統合されると能力が均されるというのが興味深い。人というものは、やはり伸ばそうとすると、様々な能力をある程度かなり高いレベルにまで発達させることができるのかもしれない。ただ機会や興味がないだけで。もちろんビリーが元々様々な能力の素質があるのかもしれないけれど。 また別人格は自分を守るために出てくるのだと思うが、根底にあるものは自分なのだろうか。 興味本位な本は食指が、とは書いたが、やはり興味深い症例であることは否めない。 下巻に期待。
自分の心を守るために、人はいろいろな反応をする。多重人格もその反応の一つ。 空想の人格なのだけど、その一人一人が「人格」と言われるのを嫌うように、それぞれに過去があり個性のある別の人のように思う。実際にどこまで表情や仕草、口調が変わるのかは分からないけれど、訛りはなかなか真似できるものじゃないだろ...続きを読むうし、どこで彼はそういったものを習得して一人一人を生み出していったのかと興味がわく。それを23人分も。 そうまでして守られる、人の心の不思議。
「アルジャーノンに花束を」を読み、同じ著者の作品を読みたいと思い手に取りました。 題名は聞いたことがありましたが、こんな衝撃的な内容がノンフィクションとは信じられないと思いました。別の人格になる事で自分を守らなければ余りにも辛い現実のビリーの運命がこれからどうなるのか、下巻を読みたいと思います。
多重人格は言葉では知りながらもここまで明確に1つの肉体に共存出来るとは知らず、これがノンフィクションである事に驚く。人格同士は話し合い、スポットとして表の世界に立つ人格と、待機する人格。お互いに存在を認識しなければ確かに生活に支障があるが、ある意味便利な1面を持つ状況、これは娯楽読み物としてと秀逸な...続きを読む設定と感じる。 子どもの頃の悲惨な体験がその人格を形成したのは明確だが、誰もが多少なりともあり得ることで、一般的にも多重人格者が多く存在しているのでは、と考えさせられる。 レイゲンが他に共存する子どもの人格者を守るとか、いかしてる。人格によっては色弱だったり利き手が違ったりなのが不思議で、脳が担う身体の特徴が思いもよらず広いことを思う。 以前読んだ百田尚樹の小説が本作の引用だと今更ながら気がつく。
ダニエル・キイスの作品であったこと、多重人格を語るときに、この作品を外せないくらい、世の中にショックを与えた事例だったのだと思う。 この作品がノンフィクションで書かれたことや、作者の感想、気持ちより、ビリーに寄り添って出来るだけ、正確に書き残して行っている。 幼児虐待が精神あたえるダメージが、...続きを読むなんと深いことか。 多重人格がそれぞれ結びつかず、記憶が飛ぶことでの世間からの誤解が大きく、女性人格が現れて、女の人に抱かれることで、レイプと判断を受ける。 この様に本となったことで、認知が深まるきっかけとなった労作です。
昔、ドキュメンタリーみたいに淡々と語られるので、つまらなくて途中でやめたけど、読み直すと結構面白い。 ただ、、兎に角登場人物が多い。
はっとしたのは、弁護士や医師たちが私生活を破綻させたり名誉を傷つけられたりした描写があり、何かを守る側に立つ人は強い信念のもと立脚してはいるものの、ただの人間にすぎないと感じさせられたこと。 淡々とした筆致だと思うのだが、正義のレッテルのない防御戦の辛さが滲む。
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