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“たとえ”という名の男子に恋をした女子高生・愛。彼の恋人が同級生の美雪だということを知り、次第に接近する。火のように激しい気性を持った愛は、二人の穏やかな交際がどうしても理解できず、苛立ち、ついにはなぜか美雪の唇を奪う――。身勝手にあたりをなぎ倒し、傷つけ、そして傷ついて。芥川賞受賞作『蹴りたい背中』以来、著者が久しぶりに高校生の青春と恋愛を詩的に描いた傑作小説。
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Posted by ブクログ
愛という人間が私にはとても魅力的に思えて、憧れる。こんなふうに真っ直ぐに、激しく、奔放に、狂うほどだれかを好きになってみたかった。でも、そんな愛も承認欲求を原動力として生きている、恐怖を感じながらも本能を頼りに突き進んでいる、そんなところに人間味を感じて愛おしくなる。 たとえ、美雪との出来事を通じ...続きを読むて、だれかに手を差し伸べられる人間になりたいと思った愛。でも、向こうみずの狂気はもったまま生きてほしいなと思った。 綿矢りささんの作品は初めて読んだが、読みやすくて、物語に吸い込まれていくような綺麗な文章で、ストーリも個人的に好みの作品だった。他の作品も読みたい!
学生のうちにしかできないような、情動的な行動たちが懐かしくも遠いことのようで、読んでいて心にくるものがあった。映画から文庫へと入ってきたのだけど、この感じは両方で楽しめてよかった。また読みたくも観たくもなる作品。
大人になってあの頃は、なんて絶対に話したくなかったし、この苦しみを忘れてやるものか、私だって、つまらないけど頑張って生きてるんだ。 だから愛が嫉妬してしまうくらいの憧れで、嫌い。 こんな子がいたら全部もってかれる、私の苦しみすらどうでもいいなんて言われてしまう。 美雪の、「東京で自分のできる仕事をす...続きを読むる」というのが、私には辛かった。高校生なんて、将来に夢をみていいのに、自分の体がそれを許さない苦しみを、私は知っている。 愛も美雪もどっちも私だと思った。だから西村たとえがたまらなく好きだし、本当は愛と美雪はお互い似てるんだと思う。 教室の片隅で息をしている、その他生徒に混じっている彼を、私も見ていたかった。たとえが好きな子が美雪というのが、まったく勝ち目がなくて、視界にも入れてくれないんだろうな。
愛がした、身勝手、自分勝手で本能的で情熱がきらきらと燃える様な恋はきっと10代にしか出来ない。破滅願望、貴方との未来、嫉妬、恨み、確かに愛は身勝手だけど心の底にある感情に従って生きている姿は生命力に溢れていて、こんな女の子になりたいと何度も思った。
美雪を見る時どうしてもたとえの視点になってしまう愛の気持ちがとても良く分かる。狂気とも捉えられる愛の行動に共感出来る人は少ないと思うけど、皆全てをひらいたら、第三者には理解されない何かを秘めているのでは無いかと思う。奥底に眠らせているけど、意識的にそれを起こそうとしていないだけで。 私のそれと愛のそ...続きを読むれは近い形だったから愛の行動に共感してしまう部分があった。 愛にはいつまでも全てをひらいたまま生きていてほしい。
めっちゃ好き。 ひねくれにひねくれた愛を持った愛 ここまで気持ち悪くて狂気じみた本は初めてで、すごい速さで読み終えた。
教室の片隅でひっそりと生きているような、影を持つあか抜けない姿をどうしても目で追ってしまっている。憧れが狂気に変わっていく過程。あれはきっと若気の至りなんかじゃなくて、あなただけの愛の形だったはず。少なくともわたしはそう捉えていたいな、と思った。タイトルも好き。
イケイケの主人公愛が、気になるたとえくんに美雪くんという彼女がいて… はじめに思ったことは表現や心の声が生々しいと感じた。終盤のたとえの感情を吐露する部分はすごく引き込まれた。 いわゆる純文学的なものはほとんど見たことがなかったが、かなり楽しめた
後半からの駆け抜け方というか、暴走、爆発が、待ってました綿矢りさ! 「蹴りたい背中」以来、その表現の美しさと、拗らせた登場人物達が捨て鉢になりながらも泥に塗れて懸命に生きる物語ばかりで、ずっとファンでした。 「ひらいて」では高校生並外れた語りと表現で、「蹴りたい背中」の時の様なリアルな瑞々しさ...続きを読むはなかったけれど、読み終わった後の高揚感は相変わらずです。
私は病気をわずらっていますが、だれよりも長く生きる気がしています。私にとっての病気とは、生まれたときから刻まれている、手のひらの皺のようなもの。自分の限界さえ知っている哀しみを、生きる力に変えてゆく強さが、私にはあります。 およそ、忍耐力など持ち合わせていない人が、たとえ打算があったとしても、私の前...続きを読むでおそろしく辛抱強くふるまい続けるのであれば、私は愛さずにはいられません。 ほんのひとときでも、心を開いてくれたのであれば、私はその瞬間を忘れることはできません。
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「ひらいて」
2021年10月22日公開 出演:山田杏奈、作間龍斗、芋生悠
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