夏期限定トロピカルパフェ事件

米澤穂信

小市民たるもの、日々を平穏に過ごす生活態度を獲得せんと希求し、それを妨げる事々に対しては断固として回避の立場を取るべし。さかしらに探偵役を務めるなどもってのほか。諦念と儀礼的無関心を心の中で育んで、そしていつか掴むんだ、あの小市民の星を！ 恋愛関係にも依存関係にもないが互恵関係にある小鳩君と小佐内さんは、今日も二人で清く慎ましい小市民を目指す。そんな彼らの、この夏の運命を左右するのは〈小佐内スイーツセレクション・夏〉――？ 大好評『春期限定いちごタルト事件』に続く待望のシリーズ第2弾、いよいよ登場！

• カテゴリ: 小説・文芸
• ジャンル: 小説 / 国内ミステリー
• 出版社: 東京創元社
• 掲載誌・レーベル: 創元推理文庫
• シリーズ: 小市民シリーズ
• ページ数: 246ページ
• 電子版発売日: 2012年09月07日
• コンテンツ形式: XMDF
• サイズ(目安): 1MB

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勢いのままシリーズ2作目へ。
ほんと、この人の作品はなんとも言えない気持ちになるなあ。

小鳩くんも小山内さんも好きよ、私。
2人が（2人で、ではなくても）幸せになってくれればいいと思う。

今作は2人の成長に必要な事件だと思うし、長編作品として面白かった。
続編を読むのがさらに楽しみになりました。

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夏期限定トロピカルパフェ事件
前作で概要がわかり、おそらくより読みやすい作品になるだろうと思う。

序章　まるで綿菓子のよう
前作により小鳩君と小山内さんの関係性が理解でき、その上で顔よりも大きな綿菓子を頬張る小山内さんとシニカルな性格の小鳩君のお披露目として効果的な導入だ。

第一章　シャルロットだけがぼくのもの
　小鳩君が小山内さんに挑むとは(笑)。完全犯罪がは、かくも難しいものかと。小鳩くんが本気で考え仕掛けたトリックだが、とある綻びにより小山内さんに看破される。小山内さんは油断ならないとあれだけ危機感を持っていたが(笑)二人の関係性が少し一作目より違った様子に感じられる作品だ。

シェイク・ハーフ
　小山内さんに連れ回されている最中、ハンバーガーショップで健吾と再会する小鳩。前作最終章より少しギクシャクしている様なイメージだが、今回もとあるトラブルに相対する健吾に緊急で言伝をとある場所に伝えて欲しいと依頼される。
　ちょっとした行き違いにより伝言が大きな謎になってしまい、仕方なく小鳩君は推理に挑む羽目になる。
　少し小山内さんの様子が変化しているのが気がかりだ。

　激辛大盛
　珍しく健吾の愚痴を聞く為に呼び出された常悟朗(小鳩君だが、健吾の時は常悟朗がいい)。健吾が前から取り組んでいる友人のトラブルが解決しない事への焦燥。ドラックの問題と今作は話題がヘビーになってきており、今作通じてのテーマとなっている。
　小山内さんは甘いものが好きだが、健吾はどうやら辛いものが好きな様だ。常悟朗は中々自身の時間を満喫出来ないが、何となく満喫している様にも見える。

　おいで、キャンディをあげる
　前話のドラックによる問題を起こしているグループと今話にて発生した誘拐事件が繋がる。小山内さんと約束していた小鳩君だが、指定の時間に小山内さんの家を訪ねた所、彼女は留守にしており、母親に出迎えられる。小山内母とやりとりしていると、家電話がなり、小山内を誘拐したと告げる。小鳩君の元には小山内さんから送られて来たメールが。彼は健吾に応援を求め、誘拐された小山内さんの行方をさがす。
　タイトルが余りにも秀逸であり、この話の重要な部分を見事に切り取っている。

　スイート・メモリー
　誘拐事件も無事解決し、二人で出かける小鳩君と小山内さん。一件落着と思いきや、衝撃的な展開に発展する。
　物語には相応しい締め方があり、グットエンド、バッドエンド、いずれにせよそのストーリーに1番相応しい締め方が正しく面白い作品の条件だと思っているが、流石は米澤穂信。予想だにしない展開だ。そして「氷菓」シリーズとはまた毛色が違う展開である事に、単純に「青春ミステリー」と捉えていた自分が恥ずかしくなった。
　
　まとめ読みの為、続編がある事を理解しているが、余りにも気になってしまい、間髪入れず「栗きんとん」に取りかかる。

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★5 小山内さんのスイーツ食べまくりに付き合う小鳩君、二人の夏は… #夏期限定トロピカルパフェ事件

■あらすじ
高校二年生になった小鳩君と小佐内さん。二人はこの夏休みに〈小山内スイーツセレクション・夏〉というスイーツ食べまくり計画を企てる。その中で彼らはまたしても色々な謎に出会い、事件に巻き込まれてゆく。青春コージーミステリー、小市民シリーズの第二弾。

■きっと読みたくなるレビュー
完成度高い！ ★5

ストーリーも人物も謎解きもバランスも抜群の出来。さらに今回は娯楽性もミステリー要素もぐぐぐっと上がっている。ライトな読み口で230ページ短めの作品にも関わらず重厚感もある。連作短編ですが多様な切り口の物語を用意してくれてるし、飽きに最後まで楽しませてくれます。

春期限定と比較すると青春、文芸の強度がエンタメに寄ったかなという感じで自分好み。手軽によめる青春ミステリーの完成形ではないのかと思えるほどの一級品でした。

●シャルロットは僕だけのもの
小山内さんに頼まれて小鳩君はケーキを買いに行くも、売り切れでひとつ購入できなかった。それがきっかけとなり、小鳩君の静かな謀略に繋がるのだが…

いきなり面白い。そして〈小山内スイーツセレクション・夏〉のリストが圧巻すぎる！あースイーツが食べたい。結末は世にも恐ろしいものでした…私だったら土下座します。

●シェイク・ハーフ
親友健吾君と小鳩君がハンバーガーショップで出会う。会話途中で健吾が急いで立ち去ってしまい、小鳩君にメッセージを残していった。そこには「半」という漢字らしきメモが書かれていて…

ダイイングメッセージではないですが、謎メッセージの解読もの。ちゃんとヒントはあるし、想像可能な範囲の真相で唸った。発想力の転換が必要ですね。

●おいで、キャンディーをあげる
小鳩君が小山内さんの自宅で帰宅を待っていると、なんと小山内さんを誘拐したと電話が入る。狼狽しつつもワクワクしてしまう小鳩君に小山内さんから暗号めいたメールが届く。どうやら監禁されている場所のようだが…

ついに大がかりな事件が発生、一気にサスペンス度が増してくる。様々な手がかりをたよりに解決に挑むのですが、またこれが冷静巾着な中にもキャラクターの味わいが出ていて最高。そして何より、小山内さんの静かにキレ具合に打ち震えました。

●スイート・メモリー
誘拐事件の解決後、夏期限定トロピカルパフェを食べながら会話をする二人、狐と狼の本性を隠せなくなり…

甘く美味しいトロピカルパフェだったはずが、決して生易しいミステリーでは終わらせてくれない。ラストも美しくも儚げで大好きです。

■ぜっさん推しポイント
本作夏期限定も、派手ではない平穏な中にも、静かな躍動と葛藤が垣間見えるキャラクター陣でしたね。最終話でどう帰結するのかと思ってましたが、「狼」っぷりがエグかった。

若かりし頃の成長の過程においては、バランスをとったり協調していくのがいかに難しいのか、胸にひたひた沁みる物語でした。まさに青春の悩みを表現している小市民シリーズ、最後まで絶対読みます！

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小市民シリーズ2作目。こちらも一気読み。
小市民？いやいや2人ともとんでもない狐と狼でした。短編集なのに繋がっていて見事な伏線回収。その後の2人がどうなったのかが気になる。

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『春季限定』と異なり、各章が繫がっている作品。終章を読み進めるうちに「そこが伏線だったのか！」がいくつも出てくる快感を味わえる。今後の2人の関係性が気になる。

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この本の中にある『シャルロットだけはぼくのもの』という短編が「小市民シリーズ」の中で一番好きだ。
それは、初めて読んだ米澤穂信作品だからだと思う。
中学生の頃、ティーン向けのアンソロジーの中に収録されていたこの作品を読んだ。
互恵関係を結ぶ二人の関係は良く分からなかったが、二人の中で繰り広げられる魅力的な駆け引きやスイーツの美味しさを文字で伝える鮮やかさ、小鳩くんの語りの軽妙さに一気に引き込まれたのを覚えている。

そこから古典部シリーズにも手を伸ばし、米澤穂信作品が好きになったのだ。

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これ好きだわ。
同じく再読だが、シリーズ2作目にしてこのクオリティー。
基礎となる土壌が豊潤で濃厚なのだ。
高校生たちの夏休み、スイーツ巡りなのかと思いきやそこに犯罪劇や推理を織り交ぜてくるのは匠の域だし、青春モノとしても文句がない。

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ひさびさ再読。アニメ化おめでとうございます！！！
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・第2弾。ほのぼの系かと思いきや、がっつり落としてきましたラスト。種明かしというか、意外さが続く快感がくせになりそう（笑）そして続きが気になる。
・相変わらず小鳩のキャラ（一人称）が最高。甘味も相変わらずおいしそうだ。
・小山内さんの中学時代、いつか明かされるのかな。あと、そう、小鳩くんの家族は出てこないけど、わざとなんだろうか。
・サブタイがすごくいいですね。「おいで、キャンディーをあげる」が凄いと思います。二重の意味だったなんて！

[ブクログ · ★★★★☆]

前作より断然面白く読めた。
スイーツの名前を冠した作品のくせに、全くもって甘くない。
ホント甘さの欠片もない。
小鳩と小佐内の二人が小市民を目指すに至った理由。
分かるんだけど…何というかもうこの青さがたまらない。
「そういう性分」の一言で済みそうなのに抗って、だけど封印できずに更に拗らせている。
なんて面倒臭いんだ。
でも見守りたい。
続きが気になりすぎるなあ。

[ブクログ · ★★★★☆]

ドキドキハラハラももちろんあったけれど
この2人
言葉で言っている（文面）とは違う
何かを本当は思っているんじゃないか？
気がついていないだけなのか？
と、小鳩くんの心の中も気になった。

少し、2人の気持ちを述べ合う部分には
一読ではわかりづらい部分もあったけれど
謎ときながら進むお話、最高。
こんなにドラマチックな夏休み
たまらない！と思いながら
楽しかった。

小鳩くん、「用があってもすぐ来て欲しいんだけど」は
思いっきりホームズですねｗｗｗｗ
誘拐万歳！のところは、カンバーバッチのSHERLOCKを思い出しました(*´艸`)