【感想・ネタバレ】緑陰深きところのレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

70代、暗い過去を背負って一人で生きてきた男が全てを清算するためにコンテッサを買い日田へ向かう。
そこへ何やら訳ありの金髪の若者リュウが加わる。
生と死、愛、家族、二人のバックヤードが明かされながら進み、ラストは切ないけど浄化される。
読みやすかった。

0
2023年06月17日

Posted by ブクログ

70を過ぎた老人と25歳の金髪男のそれぞれの過去にとらわれたロードムービー、最後は号泣しながら読みました。

0
2023年06月15日

Posted by ブクログ

前半は情報を小出しにする書き方で気になって止められなくなり、第三章で少し落ち着いて、第四章からは物語がどうなるのか気になって止められなくなって、あっという間に読んでしまった。

後半は町田その子さんと似た印象。
帯に大きく「兄さん、今からあんたを殺しに行くよ。」と書かれていて想像していたのとはまるで違う展開だった(苦笑)
泣かせにくるいい話&幼児虐待というのは女性作家あるあるなのかな。
町田さんより恥ずかしくなく読めるのは、主人公が無愛想な大阪弁の爺さんで、古い時代や漢詩など少し文学を感じる要素が盛り込まれていているから。

読みやすくて面白いのでおすすめです。

0
2023年04月06日

Posted by ブクログ

兄を殺しに行くと始まった不穏な物語は、コンテッサに乗って旅する祖父と孫の様なロードノベルの雰囲気に変わる。ぎこちない二人に少しずつ心が通い合うのにほっとしてたら、漫才の様な会話の中に次々と明らかになっていく事実に戦慄した。
心に負った傷がどの様にして癒えるのか、それをラストで見せてもらいました。涙が止まりませんでしたが、あたたかい気持ちに満たされました。

0
2022年02月12日

Posted by ブクログ

初めの方から引きこまれた。思い違いで後で知って後悔して。それでも本気でぶつかって何かを掴み取ろうとする姿が良かった。

0
2021年11月26日

Posted by ブクログ

ひとりで生きてきて心残りがあるとすればやはり納得いく方法をとるのだろう。
それがどんな結果になったとしても…

0
2021年09月20日

Posted by ブクログ

50年前に妻と娘、義父を殺害した兄を殺しに行く紘二郎と、彼に欠陥車を売りつけた若者リュウの、大阪ー九州の約一週間の旅。紘二郎 の1人の女性を巡る兄との深い確執、軽薄な見た目と時折見せる生真面目さに違和感を感じるリュウのこれまでの人生が、その道程で明かされていく。紘二郎の受けた衝撃と、リュウの未来、なかなかやり切れないラストだったが、リュウがもう1人じゃないことが唯一の救いかな。この作家さんの本を読むのは3冊目だが、とてもハマる!

0
2021年09月05日

Posted by ブクログ

何度も胸が締め付けられそうになった。戦後間もない昭和の家同士のしがらみや、人間模様に心を痛めた。令和になった今でも少なからずはあるだろう。

若者との出会いをきっかけに、現在と過去を徐々に受け入れていく高齢の主人公にも、もっと生きてほしいと願った。
2021,6/24

0
2021年06月24日

Posted by ブクログ

「殺してやる」と思うほど、誰かを憎んだことはありますか? 私は「死んでやる」と思うほど憎んだことがあります。憎しみからは何も生まれない──その通りだけど、憎しみにとらわれている間は絵空事にしか聞こえない。その頑なな心の変化を丁寧に描いています。私も「憎み死に」せず、生きてこの本を読むことができてよかったです。

0
2023年10月15日

Posted by ブクログ

50年前に兄が起こした一家惨殺事件。残された弟(綋二郎)は事件のあった実家でひっそりと暮らしていたが、兄から突然届いた絵はがきは綋二郎に過去を思い出させるきっかけとなり兄への復讐を決意する。
ひょんなきっかけで知り合ったリュウと兄の住む大分、日田市へ凸凹コンビの旅が始まる。
74歳の綋二郎と25歳のリュウ、それぞれの過去がわかってくるにつれ世代の離れた二人の間に友情が育ってゆく過程がいい。
どんでん返しに近い結末が待っているが、この小説の肝ではない。

0
2023年05月20日

Posted by ブクログ

人の心の複雑怪奇さと奥深さを突き付けられる。
読み進むに連れ疑問が膨れ上がり、疑問が紐解かれる度に哀しみが募る。

50年前、愛した女とその娘を実兄に惨殺された紘二郎。
長年の恨みを晴らす為、兄を殺す決意を固め、思い入れのある旧車で大分へと向かう矢先に出逢ったのは25歳の青年・リュウ。
二人は共に6日間の旅に出る。

復讐劇とは思えない、ほのぼのとした雰囲気に気を許していると後半は息詰まる展開が待ち受ける。

白だと思っていた物は黒へ、黒だと信じきっていた物は白へ反転。

最後は緑陰の涼風の元、皆の心が救済された事を確信した。

0
2023年02月17日

Posted by ブクログ

ロードノベルはあまり読んだ事がなかった。
遠田潤子さんでロードノベルとは(°_°)

兄への復讐に向かうはずが金髪の若者と2人で兄の元へ向かう事になり…と言うお話。

今回も登場人物全てが可哀想(p_-)
だけど遠田さんなりのハッピーエンド笑

相変わらずグイグイ読ませる内容でした_φ(・_・

0
2022年12月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

兄さん、今からあんたを殺しに行くよ
この一文が最初に出てきて興味を惹かれた。

大阪ミナミでカレー屋を営む三宅紘二郎は、偏屈な74歳の老人。ある日、絵葉書が届き、書かれた漢詩に、昔の思い出がムクムクと湧き上がる。
紘二郎は、実の兄への復讐だけが生きる目的となっている。
今現在、紘二郎の住む廃病院で、50年前に心中事件があった。紘二郎が愛した睦子、その娘の桃子、ふたりをめった刺しにして殺した実兄。
紘二郎は、兄に2度同じ女を奪われた。兄が彼女と結婚したとき、兄が彼女を殺したとき。

睦子との思い出のクルマ、コンテッサを手に入れ、兄の住む大分日田へ向かおうとする紘二郎。
その前に現れたのは、中古車店の元店長を名乗る金髪の25歳の若者・リュウだった。そのコンテッサはニコイチ(欠陥車)で危険だと必死に運転を止めようとさせる。
その気持ちに心揺さぶられ、紘二郎は殺しの旅の交代運転手としてリュウを雇う。

50年前の無理心中事件が単なる無理心中ではなかったことが話中で仄めかされる。ただそれ以上は書かれていない。
桃子の出生も、睦子の精神が壊れていく様子も、はっきりは描かれない。

老人と孫くらいの年の差のある、紘二郎とリュウは、たった6日の旅で、お互いを深く知る。リョウは読んでいて辛くなるほどの生い立ちを抱えていた。そして25歳にして、余命一ヶ月になっていた。

はっきりとしたラストシーンではないものの、緑深き所で終わる。
紘二郎は殺すつもりで大分まで出かけたにも関わらず、兄は亡くなっていた。
何となくリョウのお陰で罪を重ねず済んだように感じられた。

後味が良い話ではないが、納得の行く終わり方だった。

0
2022年10月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

中々読み進められなかった。一旦読み始めると、グイグイ物語に引き込まれる。金髪のリュウが出てきたあたりから物語がグッと面白くなった。


P139
花開けば万人集まり 花尽くれば一人なし
ただ見る双黄鳥 緑陰深き処に呼ぶを

→桜の花が咲いているときはみなが集まる。花が散ってしまえばだれも寄り付かない。ただ、黄桜の枝の、緑の陰の奥深く落ちるところで、つがいの鶯が呼びかわしている
→この詩には、別の意味もあって、人の世の無情を掛けてある。栄えているときはいくらでも人が寄ってくる。だが、一旦落ちぶれるとだれも寄ってこない。変わらず来てくれる者こそ真の人である、と。

深いね。
落ちぶれても寄り添える人、寄り添ってくれる人を…考えてしまう。


P166 
「ひとつ教えてやる。未来のない人間の時間は、過去に向かってながれていくんや。」

きっと自分が過去ばっかり追っている時は、未来を想像できてないんだなぁ~と思った、健全に生きたいな。

0
2022年09月27日

Posted by ブクログ

いつもの遠田節だけど、リュウという若者が加わりロードムービー的小説になった。なかなか読ませるストーリーでした。脇役含めて、みんないい味だね。3.9

0
2022年07月13日

Posted by ブクログ

業を背負う70代の老人と20代の若者が大阪→岡山→大分へと旅をするロードノベル。大阪でカレー屋を営む紘二郎の元に長い間合っていない兄から絵葉書が届く、実は兄は50年前に紘二郎の愛した女性とその娘を心中の末に惨殺しており、紘二郎は人生の最後に大分に住む兄を殺すことを決意する、旅の道中で金髪の若者・リュウと出会い、ひょんなことから 一緒に大分に向かうことに… かなり物騒な話だが大阪から大分に近づくにつれ二人の過去が明らかになり、50年前の謎も判明していく、ラストは希望が見えたので読後感はいい。

0
2022年01月12日

Posted by ブクログ

大阪・ミナミの外れでカレー屋を営む三宅絋二郎(74歳)の元に一枚の絵葉書が届く。

花開萬人集
花盡一人無
但見雙黄鳥
緑陰深處呼

花開けば萬人集まり
花尽くれば一人なし
ただ見る雙黄鳥
緑陰深き處に呼ぶを

差し出し人は絋二郎の兄・征太郎だった。
その兄は、自分の妻・睦子と娘、そして妻の父親を惨殺した男だった。

絋二郎のこの世で最も大切な女を…。



とっくの昔に封印した筈の思いが…無理矢理閉ざしていた蓋が、葉書によって開いてしまった。

兄を殺す決意を胸に、睦子との約束の車・・日野コンテッサを手に入れ九州へと旅立つ絋二郎。

旅の出発点と決めた四天王寺で、タクシーの運転手と無賃乗車で揉めている金髪の若者と出会うが、その若者はなんと、コンテッサを購入した店・イダテンオートの元店長で蓬莱リュウと名乗る。
そして絋二郎のコンテッサがニコイチである事を告げ乗車しないよう勧めるが…

走り去る車に、必死に追い縋るリュウを気遣い引き返した絋二郎は、リュウと共に全ての始まりの場所に…。
そこでリュウが発した言葉は、あの遠い日、睦子が自分に向けた言葉だった。

やがて、九州まで追いかけるというリュウに根負けし同行を許す絋二郎。
気難しい老人とチャラい金髪の奇妙な二人旅が始まる。

道中で徐々に明かされる絋二郎の過去。

何故、愛しい女は自分の血を分けた兄に殺されなければならなかったのか…
そして、今更ながらあの詩を送りつけて来た兄の真意は…

さらに、
同様に明らかになって行くリュウの過去。

気立ての良い、人好きのする男は、何故犯罪もどきの道に手を染める事になったのか。
金髪に秘められた過去の記憶…
そして、背中に背負った汚れた翼…


兄、友人、そして自分と愛する女。
それぞれが、それぞれの正義や意地、闇い負の感情を、その時々の正しさで突き進み、それを悔やんだ時にはもう取り返しのつかない遠い處に…

0
2021年11月10日

Posted by ブクログ

久々に心に響く小説を読めた。
コンテッサ、ネットで調べたら今でも通じる素敵なデザインの車。1960年台はさぞかし憧れの対象であったろう。
そのコンテッサを巡って知り合った二人の旅。それぞれの過去が少しずつ明かされていく。実は昔ちょっとした接触があったり、あまりに悲しい過去が明かされて、それがお互いの共通の悲哀になっていく。
登場人物それぞれの心情が細かく描かれていて心を打つ。
主人公は目的を達することは出来ないが、現実は思っていたこことではなく、解決できない過去に呻吟しつつ。最後は寂しいハッピーエンドか。

0
2021年09月20日

Posted by ブクログ

兄から届いた一枚の葉書をきっかけに、兄を殺しに行くと決意した紘二郎。徒ならぬストーリー展開に惹き込まれた。旅に同乗したリュウも訳ありで、紘二郎とリュウの忌まわしい過去と謎が解けた。

0
2021年08月19日

Posted by ブクログ

面白かった!
50年前、愛した女性とその娘と父が、兄に惨殺されるという、なんとも凄惨な過去を持つ主人公の物語だなぁ・・・と思いながら読み進めていたけれど、いろんな事がわかってくるに連れ重たさがとれていき、最後はタイトルのような、緑の深い、新たな気持ちになれるような、そんな物語でした。
50年たって兄を殺しに行くと、大阪から大分までコンテッサで向かおうとする主人公の紘二郎が、孫ほど年の離れたリュウと出会い、ひょんなことから二人で向かうことに。リュウと出会った事によって、事件以来、人と境界をなし、未来のない紘二郎が、人間らしさを取り戻し未来を得る姿、明らかになる過去、またリュウの正体、そしてリュウが持つ過去が、ロードノベルと相乗し、早く速く進みたくて、後半は一気読み。凄く面白かったです。
先日、同じ著者である遠田潤子さんの「紅蓮の雪」も拝読しましたが、こちらも心が震える作品でした。
遠田さんの小説は既に4冊目ですが、遡って他の作品も読んでみたいなと思いました。

0
2021年08月05日

Posted by ブクログ

相変わらずストーリー展開は上手。
個人的にラストの手紙部分はここ数年読んだ小説の中で
一番震えました(いろんな意味で)。

0
2021年07月15日

Posted by ブクログ

本作も心を揺さぶられる内容で良かった。
キャラの設定がいいしラストの
微かな救いもいい。
著者の作品は今のところ当たりばかり。
今後も単行本での購入継続。

0
2021年06月21日

Posted by ブクログ

06月-09。4.0点。
カレー屋を営む主人公。兄からの絵はがきを読み「兄を殺しに行く」と決断。中古車を購入し出発するが、中古車店の元店長が来て。。。

面白い。得意の愛憎劇かと思って読んだが、元店長との絡みや、明らかになる真実が良い具合に予想を裏切った。

哀しい真相の中に希望もあった。

0
2021年06月09日

Posted by ブクログ

おまんじゅう多めのロードノベル。
兄を殺しに行く。と、70代のペーパードライバーが旧車コンテッサを購入。しかし購入したコンテッサはニコイチの不良車。
ペーパーでシルバーで不良車。違う意味で不安が付き纏いなかなか集中できませんでした。
そして何故か不良車を買ったお店の元店長が一緒に旅する事になります。金髪の謎の20代青年。謎の体調不良。
兄を殺したい理由、謎の青年の抱えるもの、解き明かされる程に哀しくなります。
最後の2人の会話良かった!!

0
2024年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

大阪のミナミでカレー屋を営む絋二郎はかつて兄が妻、子、義父を惨殺した自宅に暮らしている。ある日出所した兄からハガキが届く。それをきっかけに兄を殺す旅に出る。兄の妻睦子は、父の恩人の娘で政略結婚だったが、絋二郎と恋に落ち駆け落ちまでしていた。連れ戻され別れて7年後悲劇は起きる。事件はなぜ起きたのか?
睦子に約束したコンテッサを購入して大分へ向かう絋二郎に同乗することになるリュウ。リュウはいったい何者なのか?

こうやって書くと情報量が多い笑
最初は、絋二郎とリュウの祖父と孫のような2人旅。謎のリュウの行動。差し挟まれる絋二郎と睦子の回想シーン。睦子が思い出の豆腐屋に預けた手紙。大分で知る事実。事件の真相、リュウの謎。
70を過ぎた絋二郎よりリュウが先に死ぬという皮肉。なんか切ない、難しい。


三宅絋二郎(73)
征太郎(5歳上の兄)、草野睦子(兄の許嫁/同い年)
桃子(睦子の娘/享年5歳)
蓬莱リュウ(25/イダテンオート元店長)

中島(絋二郎の友人)、香代(中島の姉)

0
2023年04月03日

Posted by ブクログ

ロードノベルは大好物です。しかも日本車の旧車も好きなので好きが重なって期待大でした。普通の作家さんであれば及第点ですが、遠田さんは名作多いので相対評価でこんなもんでしょうか。
数十年前の恨みを晴らすべく旅立つ主人公、そしてひょんなことから道連れになる若者。

0
2022年10月08日

Posted by ブクログ

兄を殺そうと日田に向かう老人と、その老人に中古車を売りつけた青年の交流を、各々の半生を振り返りながら描いた物語。ストーリーはそれなりなのだが、色んなところで無理筋があり共感できなかったり入りこめなかったり。凄惨な殺人事件もなんとなく途中で背景がわかってしまう。全体的にタイトルほどの深みを感じられない印象。

0
2021年10月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ざりがにの~を読んだすぐ後に読んだのかこの作品で、途中であれ?って思わず本の表紙を読み、タイトルを見て、ああ!ってなった。
~の鳴くところ、~深きところ、韻が一緒で、しかもどちらもその表現が同じような環境、そして話も過去から現在を追って進んでいくという。リョウの口癖の「不思議な力」が働いたとしか思えない笑
過去の事件を思い出してコンテッサに乗って乗り込もうとする爺さんとアコギな商売でニコイチ自動車を売った若い金髪店長が共に大阪から大分まで旅する道中記がなんとも奇抜で面白かった。
過去を持った青年と、すべてを過去に置いてきた老人の物語は切なく脆い。「ざりがに~」の後だけに余計な相乗効果が生まれてしまって読む速度が加速した。
今でもあるんだろう許嫁のしきたりが悲劇を生んでしまったのだが、そこには老人介護の厳しさや育児ノイローゼまで盛り込まれており、後半の手紙がおどろおどろしい。昔はすぐに死んでくれたので介護も楽だったと思う。なんで自立の出来ない老人を日本は大事に大事に生かすのか?さっさと安楽死させて始末すれば日本の経済、生活は改善できるはず。
ラストの真相(仮定)は悲しい現実だと思った。

0
2021年09月22日

Posted by ブクログ

人は真実を知った時、己の過去の罪をどう裁くか?
愛憎、親子の葛藤、愛の形は様々
すべてが一つの糸でつながる
読後感が爽やか

0
2021年08月10日

Posted by ブクログ

「雪の鉄樹」に心を掴まれて、以来ほぼ全部を読み続けてきた遠田作品。だけど、最近少し空振り気味。
この作品も、昭和の因縁の部分と平成のロードノベル部分が交錯するが、どちらも薄くて先を急いでいる印象。ページ数に制限でもあったのか、長くなると読んでくれないファンが増えたからか?

主人公と兄の許嫁が、駆け落ちしてまで一緒になろうとするほどの感情の高まりが書き込み不足で納得できないし、リュウが絃二郎について行こうとした理由も弱い。
睦子が精神的に破綻に至るまでのドロドロや切なさ、やり切れなさといった昭和の部分をもっと詳細に描いて欲しいと期待するのは、遠田作品に洗脳されている証拠だろうか?

主人公が独善的で想像力に欠けるよくいるタイプのイヤなジジイで前半は本当に読んでいて不快だったけど、リュウの軽やかさに救われ読み進めた。それだけにあまりといえるラストに胸が痛んだ。頑固ジジイが改心しても今更良かったね〜とはならないけどね。

0
2021年06月12日

「小説」ランキング