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業を背負う男たち、奇蹟のロードノベル。
兄さん、今からあんたを殺しに行くよ――。
大阪ミナミでカレー屋を営む三宅紘二郎のもとに、ある日一通の絵葉書が届いた。葉書に書かれた漢詩に、紘二郎の記憶の蓋が開く。50年前、紘二郎の住む廃病院で起きた心中事件。愛した女、その娘、彼女たちを斬殺した兄……人生の終盤を迎えた紘二郎は、決意を固めた。兄を殺す、と。
思い出の旧車を手に入れ、兄の住む大分日田へ向かおうとする紘二郎の前に現れたのは、中古車店の元店長を名乗る金髪の若者・リュウだった。紘二郎の買ったコンテッサはニコイチの不良車で危険だと言う。必死に止めようとする様子にほだされ、紘二郎は大分への交代運転手としてリュウを雇うことに。孫ほど年の離れた男との不思議な旅が始まった。
かつて女と暮らした町、リュウと因縁のある男との邂逅、コンテッサの故障……道中のさまざま出来事から、明らかになってゆく二人の昏い過去。あまりにも陰惨な心中事件の真相とは。リュウの身体に隠された秘密とは――? 旅の果て、辿りついた先で二人の前に広がる光景に、心揺さぶられる感動作。2020年直木賞候補となり、いま最も注目を集める作家が贈る、渾身の一冊。
Posted by ブクログ 2023年04月06日
前半は情報を小出しにする書き方で気になって止められなくなり、第三章で少し落ち着いて、第四章からは物語がどうなるのか気になって止められなくなって、あっという間に読んでしまった。
後半は町田その子さんと似た印象。
帯に大きく「兄さん、今からあんたを殺しに行くよ。」と書かれていて想像していたのとはまるで...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年02月12日
兄を殺しに行くと始まった不穏な物語は、コンテッサに乗って旅する祖父と孫の様なロードノベルの雰囲気に変わる。ぎこちない二人に少しずつ心が通い合うのにほっとしてたら、漫才の様な会話の中に次々と明らかになっていく事実に戦慄した。
心に負った傷がどの様にして癒えるのか、それをラストで見せてもらいました。涙が...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月05日
50年前に妻と娘、義父を殺害した兄を殺しに行く紘二郎と、彼に欠陥車を売りつけた若者リュウの、大阪ー九州の約一週間の旅。紘二郎 の1人の女性を巡る兄との深い確執、軽薄な見た目と時折見せる生真面目さに違和感を感じるリュウのこれまでの人生が、その道程で明かされていく。紘二郎の受けた衝撃と、リュウの未来、な...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年10月15日
「殺してやる」と思うほど、誰かを憎んだことはありますか? 私は「死んでやる」と思うほど憎んだことがあります。憎しみからは何も生まれない──その通りだけど、憎しみにとらわれている間は絵空事にしか聞こえない。その頑なな心の変化を丁寧に描いています。私も「憎み死に」せず、生きてこの本を読むことができてよか...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年05月20日
50年前に兄が起こした一家惨殺事件。残された弟(綋二郎)は事件のあった実家でひっそりと暮らしていたが、兄から突然届いた絵はがきは綋二郎に過去を思い出させるきっかけとなり兄への復讐を決意する。
ひょんなきっかけで知り合ったリュウと兄の住む大分、日田市へ凸凹コンビの旅が始まる。
74歳の綋二郎と25歳の...続きを読む
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