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Posted by ブクログ
『君主論』などのロシア版のようなリーダー論なのかと思って手に取ったが、小説であったので、少し面喰いながら読み始めた。読み始めながらも、「英雄」らしき人物の登場はなく、かといってそれほど「悪人」が登場するでもなく、よくわからずに本文を読み終えた。詳細な解説や年表などで、本書の位置づけや評価がなんとなくわかった。結構有名なものだったようで、浅学を恥じた。現在、本文庫版で順次刊行中の『戦争と平和』を読書中で、それとも共通するのだが、当時のロシアの貴族や軍人の思考や行動、風俗などは非常に特異なものがありつつ、現代にも通じる人間の性がうかがい知れる点は、興味深い。
Posted by ブクログ
本書『現代の英雄』が刊行されたのは1840年、著者レールモントフが26歳のとき。翌年には旧友との間での決闘により命を落とす。
本書では、主人公であるペチョーリンに関して、恋物語やちょっとした冒険談などのエピソードを折り混ぜて、語り手による語りや手記、本人の日記の形を取って、その性格や考え方、人物像が明らかに(?)なっていく。
ペチョーリンはどういう人物なのだろうか。全体的には、冷笑的で、物事に真剣に取り組むことを避ける人物という感を受けるのだが、細部まで読めば読むほど、理解するに一筋縄ではいかない面が多い。「自意識」の塊のような人物と言えばよいのだろうか。
こうした人物を、26歳という若さで造形したというのが何といっても凄いことと思う。
また、帝政ロシアがカフカス地方に侵攻していた時代状況を背景として、カフカスがロシア文学において占める位置なども理解できた。