感情タグBEST3
Posted by ブクログ
読書「体験」とはよく言ったもので、時たま自分の見ている世界を一変させるような本があると思います。私にとって「ゲームの王国」はそんな作品でした。
時代や国を隔てれば、あらゆるものが今とは違う
。文化、価値観、経済。枝先の違いを見つめれば、それは遠くの物語。
でも、生と死だけは変わらずそこにあり、祈りはいまもここにある。
日々の、仕事の、生活の、スケールの小さいルールのなかで生きる自分を顧みながら、それでも人生というゲームのルールに「楽しむ」を組み込んで生きていきたいと、そう思いました。
この理の彼岸で、彼と彼女が幸せでありますように。
Posted by ブクログ
オレ頭良い!オレ変人!的な中2感満載のストーリーだが、史実であるポル・ポト時代のカンボジアと絡めることでなんか真面目に正座して読まないといけない雰囲気になってて面白い。
Posted by ブクログ
小川哲さんの作品を書かれた順に読み始め、ユートロニカに次いで2作目。この方の作品は科学、政治、宗教とか哲学、犯罪が織り交ぜられていて、深い。
田舎の村では昔からの流れ(風習)で運営されているが、掟のようなものは存在する。何か問題が起きると呪術とか祈祷のようなものが判断に大きな影響を与え、村長の判断が全てだったりする。
これが国の単位になるともう少しルールができてくるが、ルールが不完全だったり、ルールはあっても正しく運用できていなかったりする。他国との外交とかが絡むとさらに複雑化する。
ルールに従ってどう勝つか、どう楽しむかを考えるのがゲームだが、国の運営はゲームほど明確なルールが決まってない。というより守られていない。胴元が得する仕組み。
国のルールが良くないとき、ルールが正しく運用されていないとき、その状況を変えたければルールを作る立場になればいい。ただ、そこに行き着くまでに、すでに権力を持っている者たちに反則技で潰される。うまくやったとしても時間がかかる。時間を短縮しようとすれば自分が汚い反則技を使わざるをえない。
人の記憶は頼りない。不確実なものをつなぎ合わせている。概念を視覚的な刺激に置き換えて勝手にイメージしているかもしれない。さらにそれをあたかも本当の記憶として保存してしまっているかもしれない。逆に都合の悪いことは完全に記憶から消し去っているかもしれない。
この小説の中ではさらに何かを求めて強く記憶を呼び出そうとすると、他人の記憶を自分の脳に取り込んだり、自分の記憶を他人の脳に渡すことができる可能性を言っている。(完全なフィクションなのか、本当にそういう研究が進んでいるのかは、残念ながら私には良くわからない)
ただ、どんなに科学が進んでも人間は最後には神に祈ったりマジナイの類(輪ゴムとか頭の中の綱引きとか勃起とか)を信じたりするのだろう。
●勝手にキャスティング
・サトロ・サル 市村正親
・ソリヤ 芦田愛菜
・ムイタック 櫻井翔
・チリト 泉谷しげる
・ティウン ユースケサンタマリア
・フオン 生瀬勝久
・ソム 西島秀俊
・泥 山田裕貴
・鉄板 眞栄田郷敦
・輪ゴム 劇団ひとり
Posted by ブクログ
上とは全然違う読み味なのに、これまた面白い。
合わせて800ページくらいあったけど、すぐ読めてしまった。それだけの物語としての面白さや登場人物の魅力に溢れた作品だと思う。
自分は上のほうが好き。
Posted by ブクログ
上巻の衝撃から時代が変わり、ソリア、ムイタックはそれぞれの立場から理想を追い求める。しかし、二人の奥底にあった想いとは…
2023年のカンボジアと過去の物語を行き来しながらなぜ今に至ったのかが語られる。
歴史は人の想いと祈り、そして残念ながら愚かな行動で時に大きく動かされていく。
時代に翻弄された二人の行き着く先にあるものはとても静謐なものだった。
物語の凄さが圧倒的。山本周五郎賞受賞はもちろん、心に残るSF歴史超大作だった。あとがきも解説もまでもが最高だった。
Posted by ブクログ
めちゃめちゃ面白かった。
上巻から下巻への展開はちと焦ったけど笑
雰囲気的には『ケインとアベル』に『三体』のエッセンスを入れて舞台をカンボジアにした感じでしょうか。
もう、超好きなタイプです。
超常現象的なバランスもいい具合です。
勃起アンテナは笑いが堪えられませんでしたが笑
あとチャーハン笑
ラスト近くのゲームでの対戦、どのくらいのタイミングでお互い気付いたんでしょうね。
Posted by ブクログ
上巻を読み終わり下巻を開いた時には、いきなり30年以上経った現代に飛んでいて少し不安にも思ったが、それは杞憂に終わり、上巻同様に楽しめた。脳波を計測して遊ぶゲームなど、SF要素が出てくるものの、人生や社会が物語のメインテーマであることは変わらず良かった。ムイタックが提示する「人生」と名づけた数字を選ぶゲームはシンプルながらメッセージ性が強い。
最後は唐突に終わった印象を受け、そこが少し残念ではあった。下巻から登場する人物も多く、日本人のNPO職員が語る途上国支援のあり方の話は興味深かったものの、本筋には深い関係はなく、そこにページを割くよりは最後をより深く描いてほしかったとも思う。
とは思いつつも、上巻、下巻あわせて800ページ以上あったものの長さを感じることはなく、面白かった。
作者のあとがきも良く、本作は30歳の大学院生が締切のない中書いたアマチュアの一作であるとのこと。
小川哲さんの作品は初めて読みましたが、他の作品も読んでいきたいです。
Posted by ブクログ
世の中はルールがあり、そのルールの範疇で人生を生きていく。そんな当たり前だと思われることは決して当たり前でない。ゲームのようにルールを決めて、憎悪の世の中をいきるのはゲームへの冒涜にあたるのかもしれない。ゲームとはただ純粋無垢な勝負で、そこには崇高な勝ち負けしかない
Posted by ブクログ
Audibleで聴いた。
面白かったけど、最後の方、どうやってソリアが殺されたか、もう少し詳しく読みたかった…。
でもこの長編を読み終わってしまって寂しい。もっと読んで(聴いて)いたかった。
Posted by ブクログ
カンボジアを舞台にした混乱、残虐の時代を乗り越え、理想をかかげ時代をつなぐ物語。前半の悲惨な時代はかなり事実に近いのだろうか。ほんの数十年前にこんな悲惨なことが起きていたのかと思うと胸が痛む。ところどころにファンタジーやユーモアがあってよい。後半はまさに今現代でChatGPTとかAIを彷彿とさせるSFあり。章に日付が書いてあるのだが、色んな伏線が散りばめられていて、時系列に並べるとこういうことだったのかと話の構成の素晴らしさに感服させられたが、多分全部は理解できていないと思う。歴史のことのみならず、インテリジェンスにおいても、心のソウルにおいてもとてもよかった。この作者は天才だな。
Posted by ブクログ
上巻から一転、現代に舞台が飛ぶ。
異なる道を歩む2人が、最後に楽しめていたらいいなと思う。
脳波の部分はうまく理解できなかったのが悔しい。
神話的な要素もある、不思議な読後感。
後の作品に繋がるような記述もあって、それも楽しかった。
Posted by ブクログ
おもしろかったし中々すごかった。
が、期待しすぎた(俺の悪い癖だ)。
舞台はカンボジア。史実に基づくが、あくまでも小説なのでフィクションが大いに混じる。とはいえ自分がカンボジアの歴史に疎いためよくわからないが。
かなりざっくり言うと、上巻はポルポトが政権を取り国民を虐殺するまでを描く。下巻は国を変えるために動く女性ソリヤと、ソリヤを止めたい天才ムイタック教授が中心のお話。上巻は1950年代で、下巻は2020年代のお話になる。
上巻。
基本的にはソリヤとムイタックまわりのお話。どんな村でどんな風に生きてきたか。
ソリヤは赤ん坊の頃、ポルポトの隠し子かもしれないがよくわからず、まったく関係ない市民のもとに預けられる。成長するなかで育ての親が殺され逃げ、また別の人の元で育つ。人の嘘を見抜ける能力を持つ。
ムイタックは貧しい農村で生まれるが、子どもの頃から天才で、それゆえ誰にも理解されない。革命が起きるその日、ソリヤと出会いいくつかのゲームをし、はじめて自分より賢いと思う人間を知る。だがそれはソリヤから見ても同じ。互いに、初めて負けたが人生で一番楽しかった、という強烈な記憶を残す。
ソリヤ以外にも、特殊能力を持つ人間が何人か現れる。土の声を聞き土に命令できる男、輪ゴムの声を聞き未来を予言できる男、綱引きの天才で綱引きの神に愛されている男、など。
下巻。
現代。ある日本人女性がカンボジアのNPOでソリヤとともに働く話で始まり、ちょっとびっくりする。ソリヤはカンボジアを変えるため、まずはNPOで知見を深め、のちに政治家となる。
ムイタックは大学教授になり、脳波の研究をしている。彼が10代のころ、村の人間はほとんど殺された。その虐殺を容認したのは、軍人と結婚したソリヤである。ソリヤは自分が権力を持ち国を変えるため、ムイタックたちの村が蹂躙されることを必要な犠牲として選択した。ムイタックはソリヤを呪う。
大学教授になったムイタックは、ある学生の私的な研究からヒントを得てネットゲームを開発する。
それが下巻のキーとなる。
そのゲームは脳波によってプレイするもので、特定の脳波を検知すると、それに対応する強い魔法が出せるというもの。脳波を出すためには、基本的に過去を思い返すという行為が必要になる。その過程で、プレイヤーたちは無意識的に過去の記憶を書き換えて思い出すことになる。ゲームを攻略するために、記憶の無意識的な改ざんが、半強制的に求められるのだ。
Posted by ブクログ
もっと早く読めばよかった。上巻と下巻でだいぶテイストの違って、しかし両方とも読みごたえがあっていい。登場人物紹介だけ見るとカオスすぎるけど、だんだん、ロベーブレソンの面々がくせになってくる。
Posted by ブクログ
「世の中の出来事をそのまま物語にしたら、本当はみんな、そんな感じなんだ。途中まで面白そうで、何か意味がありそうに見えるけど、最後は大体無意味に終わる」
Posted by ブクログ
上巻から約50年後の2023年を描いた下巻。
上巻は独裁下のカンボジアを描いた歴史的な内容だったけど、下巻は現代が舞台でガラッと雰囲気が変わり、その変わり様に最初はちょっと戸惑った(・・;)
政治だ、脳科学だ、個人的にはあまり得意でないカテゴリーの話だけど、上巻からの流れや、クセのある登場人物達に思わず笑ってしまうところも大いにあって、グイグイ面白く読めた。
それにしても脇を固めるクセ強キャラ、ベンもカンもヘモグロビンも、本人は大まじめなんだろうけど面白すぎる。
あと上巻から出てる泥と鉄板も、さらにおかしな事になってるし笑
二人の主人公、ソリヤとムイタック。
二人がそれぞれ目指した「ゲームの王国」。
結末があっけなくてちょっと呆然としたけれど、結局二人はあの時の事が忘れられず、待ち望んでたその日が来ることにもう満足出来たんだと思う。
上巻が圧倒的に面白かっただけに、それに比べると下巻は少しテンション下がったけど、それでもとても面白かった!
文庫本で読みましたが、小川さんのあとがきもめちゃくちゃ良かった〜!!
Posted by ブクログ
上巻からガラッと世界観が変わった。
そういえばSFだったね。
脳神経科学の話題がでてきたりとテーマに複雑さが増してはいるが、「ゲーム」の多様性と人間社会のそれを絡めて重厚な仕上がりかと。著者の徹底した下調べに裏付けされた読み応えのたまらない作品です。
Posted by ブクログ
つづく2巻はほぼ現代。と言っても時間は行ったり来たりする。ここでは政治的なリアルなゲーム、そして脳波を活用した新しいタイプのVRゲームの対比の中で、1巻で起きたことの解決を図っている。
そしてここでは1巻の二人の対決ソリアとムンタックが別々の手法でそれぞれのゲームを展開しているようだ。ソリアは政治のゲーくを作る側になろうと画策する。そしてムンタックは脳波を使ったVRゲームを作ることでそこでのルールを作っていく。そしてこの二つが交差する点に解決がある。
そしてそれ以外の人は普通の人はゲームに従うこと「「普通」とはつまり、「ルールを守ること」だ。「自分は基本的にルールを守る人間です」と伝えることだ。それによって、人々はようやく安心して、幸福な生活を送ることができるのではないか」とある。一方この二人はゲームそのものを作って異別の解決を探しろうとする二つの旋律になっていく。
政治のルールの話だから、政治についての考察も色々あって、政権の腐敗の原因も。
一方で、Ready Player Oneで出てきたモチーフもあるようだ。ゲーム内の「ボスを倒すために必要なエピソードは全てムイタック教授の人生である」。あとがきにもありました。「無数のゲームオーバーの結果こそが本書なのである。」
そして「運命に翻弄されてそちらへ向かった二人がいつまでも楽しく遊べますように」・・・・とエンディングに向かっていく。
そして白眉は実は「あとがき」にもあった。例えば「僕の本があなたに何かひとつ残せたなら、僕の勝ちということにしましょう」。はい。残せました。素晴らしい読後感と一緒に、人生を遊ぶということ。果たしてカンボジアのポルポト後にそのことが可能なのか、あるいはナチ強制収容所の後にそれが可能か、は別作家に任せるとして、現に今生きている私は、これをエンターテイメントとして楽しんでいるのです。
あとがきにはいくつも気になる言葉があった。例えば「なお、本書において世界の解釈は身の回りの人間、主に家族から父系で継承されがちだ。泥が土の声を聞くための修行をしたのは父親の言いつけ。輪ゴムのクワンも祖父から仏教と輪ゴムを学んだ。」なんてそうだな。
男系の世界解釈と女系の世界解釈、そんなのも面白い考え方だね。
「地図と拳」にも通じる書き方だと思う。登場人物が多く、時代も行ったり来たりしている。脈絡がないようで、読者は頭を使って再構成していく。途中ムイタック教授の事業で「Googleで調べてください」というように、今の読者は無い情報でもすぐにネットで得ることができるので、どんなとっぴな世界でも実は読解しやすくなっているという気がします。次はデビュー作「ユートロニカのこちら側」を読むことにしよう。
Posted by ブクログ
上巻が主人公の村がクメール・ルージュの大虐殺を受けた所で終わったので、下巻はその続きから始まると思いきや、舞台は2023年のカンボジア。一見、はちゃめちゃな物語がずっと続き(意外と好き)、どんな終わり方をするのか心配しながら読み進めました。
Posted by ブクログ
楽しく読めたが、ソリヤとムイタックの初戦をもう少し印象的に書いてほしかった。
どうもあっさりしすぎている気がして感情が乗りきれなかった。
人とルール
カンボジアの歴史。ルールをここまで大胆に根底から覆すゲームは、聞いたことがなかった。そこにどんな崇高な理念があっても、他者を踏みにじるルールが人々に受け入れられるはずがない。過去の日本にも通じるものがあると思う。
ルールは平等をもたらしても、自由を損なう。自由と平等のバランスは集団生活の永遠のテーマなのかもしれない。
個人的には、ルールは誰かから与えられるものではなく、一人一人が育んだものを持ち寄って作れたらと考えるが。
Posted by ブクログ
正直ついていけなかった。上巻半ばで見せた革命×ゲーム論的な切り口を期待していたんだけど、完全に別物のSF。これはこれで面白いのだけど、上巻いらなかったのでは?と思わなくもない
Posted by ブクログ
凄まじい情報量に溺れる。
なんとか結末までたどり着いた、ふぅ〜
それぞれの理想の王国=ゲームの王国を追い求めるソリアとムイタックの決別と邂逅。
読み応えがあるものを読みたい人におすすめ。
♫DREAM OR TRUTH/BUCK-TICK(1987)
←櫻井敦司さんの訃報に言葉もなく…ご冥福を祈るのみです。
Posted by ブクログ
時代は21世紀に飛び、歴史小説から近未来思弁小説風に。SFとして特に目新しさはないものの、脳波を用いるPCゲームの設定に過去の記憶を絡めていく流れは面白かった。さて、肝心の主人公2人の〝対決〟の行方は…それこそ全て「無意味」と思えるような呆気ないラストだったが、後味は決して悪くない。著者のあとがきを読んで色々と納得した。選ぶ題材も作風も特異な作家さん。本作執筆中に30歳を迎えたという年齢をみても、やっぱり只者ではないと思う。
Posted by ブクログ
やっと読み終わった〜
文量・内容、ともに大作だよね。
カンボジアの革命を、小説として描く。時間のスパンは50年以上。
魅力的で、中にはちょっと不思議な能力を持つキャラクターたちが登場。
良作ではあると思う。
クメール・ルージュとか、歴史の授業で習ったことの解像度が、今さらになって上がった。
誰もが書ける内容ではない。
それでも、惜しいと思ってしまう。
てっきり、嘘を見抜くソリアと聡明なムイタックがさ、協力して体制に抗っていく、みたいな。そういうストーリーを期待していた。
あるいは、50年の時間を経て、当時の秘密が次々に解き明かされていく、とか。
そういうことはなく、物語はよく分からずに終わっていった印象。
盛り上がり、盛り下がり、の緩急がよく分からない。
要はとっ散らかった印象が強かった。
肝心のSF要素について、弱すぎるというか、これってSFなの…? ファンタジーと言ったほうがいいかも?
Posted by ブクログ
難解だった
内容を理解するのも
登場人物を認知するのも
あとがきを読んで、ほぼデビュー作とあり
なるほどー
と思い
えーーー
とも思う
面白かったといえば
うーん
設定というか構成が突飛で
読者の頭の中で相関図を描けないと
ついていけない
少なくとも読みやすい本ではない
ただ次の本も読んでみたいと思わせる作家さんであるとは思う
Posted by ブクログ
長かったー。けど、まあ面白かったかな。これに尽きる。
下巻はいきなり現代で驚いたが、なるほど日本人も出てきて、こうして日本人作家が書く意義に繋がるのかと思いきや、よい意味でもそうでない意味でも裏切られた。ああ、SFって書いてたけど、そゆことね。
魅力的なキャラが減り、そして増え、ついてこられるのか試されているかのよう。上巻と同じで、カンボジア人はこう考え、こう行動するのかが自分の中に基準がないから、感情移入しにくくなかなかのめり込めない。壮大な世界観と小さなエピソードの間をずっとフワフワしてたら、ゴールに辿り着いた感じだった。奇妙で興味が深い作品。後味は悪くなかったので、やっぱり、長かったけどまあ面白かったかな。
Posted by ブクログ
上巻のリアル路線からガラリ一変。正直戸惑った。これは何の話なんだろうか?どこに着地するんだろうか?復讐劇なのかSFなのか?戸惑いと期待をずっと引きずった下巻だった。
下巻では舞台が一気に21世紀のカンボジアにワープする。
脳波を使ったネットゲームが前面に出てくる。
不正の暴露に勃起する記者や、なんでもヘモグロビンのせいにする狂った医者には笑ってしまった。なんだこれは。
トップを目指す政治家や脳科学者の教授のような人でも、昔の楽しかったゲームの思い出や淡い恋心をずっと心の支えにする。それも人生かもしれない。
明確な起承転結が無く、突然終わりがやってくる。それも人生かもしれない。
ヤブ医者の狂った行動に自分の生殺与奪を握られる。それも人生かもしれない。
Posted by ブクログ
上巻から数十年後のカンボジア。
既に共産党政権は崩壊し、登場人物たちもそれぞれの立場を確立している。
政治家となったソニアは理想とするゲームのような社会の実現を目指すが挫折する。
混沌とした現実は単純化受け入れない、というメッセージか。
ポル・ポトの未熟な理想主義とも同様に見える。
結末にやや苦しさを感じるが、作者は元々予定していたのだろうか
SF的道具立ては本筋にはあまり効いていないように思う。
Posted by ブクログ
おもしろかったけどちょっと難しすぎたのか結局よくわけわからなかった…
評価ほどの感銘は受けなかったな…残念。
上巻のシハヌーク政権からのポルポト時代の凄惨さは、不勉強でいままでざっくり知識人狩りのポルポト、くらいしか知らなかったけど…、
なるほど
持たなければ争うこともない。
知らなければ所有欲も生まれない。
だから個人はなにも所有せず、知識を持たなければ幸せになれる。
っていうのがポル・ポトの考えなわけか、結果的にポル・ポトのやったことはまったく残酷で歴史的には悪なんだろうけど、考え方はなるほどと頷けるものがあった。
ただ下巻はそんなクメールルージュ時代は飛び越えてて、ムイタックとソリヤの恋物語みたいになってた。
ラディーが最後まで悪役で、特に彼が最後どうなったかも書かれてないところが現実ぽかった。
ふたりは結局楽しくゲームをあの頃のようにしたかっただけだったのかな。