【感想・ネタバレ】生物進化を考えるのレビュー

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Posted by ブクログ 2020年03月29日

ダーウィンの進化論とメンデルの遺伝学から統計的に生物の進化を捉える集団遺伝学が誕生した。その中で突然変異は自然淘汰に対し中立と説く著者の説は、現在の進化学において今尚重要な理論とされる。初期の進化論から中立説に至る変遷について大変参考になった。

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Posted by ブクログ 2018年10月21日

生物学の権威である著者が、生物進化論について概要をまとめたもの。古い本なので、現在の考え方との相違はわからないが、ダーウィンの進化論をはじめとする、生物進化の歴史的研究の経緯を理解できた。興味深く、役に立った。
「進化のもっとも直接的な証拠は過去の生物の遺体である化石の研究から得られる。異なった地...続きを読む層に含まれる化石を地層の年代に沿って並べてみると、生物が遠い過去から次第に変化し現在に至った道すじがよくわかる」p6
「メンデルの研究は長い間世に認められず、やっと、1900年になって3人の学者により再発見され、初めて注目を浴びるようになった。メンデルの仕事は35年間完全に無視され、埋もれていたが、再発見とともに突如として日の目を見るようになった(後日、注目していた人も相当あったことがわかる(ブリタニカ百科事典(1881)にも掲載されていた))」p21
「ヒトは、生き物として格別高いものでもなく、樹木の保護を離れた後は、ただ大脳の発達で可能となった抜け目なさだけで生き延びることができた」p85
「過去55万年の間に主な氷河期のうちでもっとも寒かったのは今から約1万8000年前で、その後は温度が上昇し、約1万年前に氷河期は終わり、現在われわれは極めて温暖な時期にいる」p87
「ネアンデルタール人の頭骨の研究から、最近言われていることは、彼らは現代人のように流暢に発音できず、特に「i」「u」「a」のような母音や「k」や「g」のような子音の発音ができなかったらしい。おそらく、話し言葉より、複雑な情報を短時間に伝達するための脳の部分の発達も、現代人に比べてずっと劣り、そのため彼らはクロマニョン人との闘争に敗れたのではないかと考えられる」p88
「(DNA内の情報量(25億字の文章相当))大英百科事典を例にとると、この1956年版は全体で23巻あり、各巻はおよそ1000ページからなり、全体として2億字を含むと推定される。したがって、受精卵核中にヒトを作るための設計書が含まれているとすれば、それは英文に換算して大英百科事典を12セットも合わせたほどの膨大なものになる」p95
「(ダーウィン)有利な変異が保存され、有害な変異が除去されることを私は自然淘汰と呼ぶ」p128
「(遺伝子変異は常時生起している)今までに一度も出現したことがなく、しかも今まで現れたどの突然変異遺伝子よりも個体の生存や繁殖に有利となるようなものは次第に底をついていくはずである。われわれが野生型遺伝子と呼んでいるものは、すべての生物種において、過去、何百万年、何千万年またはそれ以上にわたって、このような淘汰の過程を経て確立されてきたものである」p141
「(141個のアミノ酸)ヒトとゴリラを比較すると、アミノ酸配列は1か所を除いてすべて一致している。また、ヒトとアカゲザルとを比較すると4か所、さらに系統的に離れたウシ、ウマ、イヌ、ウサギなどと比較すると、20個前後のアミノ酸座位について異なっているが、他の部分ではいずれもアミノ酸配列は完全に同一である」p203
「(分子進化の速度の一定性)何億年間もほとんど形態的に変わっていない生きた化石のような生物でも、分子レベルでは進化の速度はほとんど同じであるという驚くべき結論が得られる」p206

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Posted by ブクログ 2012年09月21日

現在の遺伝学の基礎となっている書籍である。
これには、ダーウィンから今までの遺伝学の流れが網羅されており、どんな人でもスラスラ読むことができると思う。

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Posted by ブクログ 2012年05月01日

集団遺伝学という学問を初めて知った。確率統計学に基づいた非常に数学的な学問分野であり、説得力がある。

それにしても、評価の困る本である。

まず、難易度。言葉遣い、概念とも直感的に分かりにくい。これは現代生物学の基礎知識が社会常識の範疇にないことが大きいかもしれない。

そして、優生学の考え方。こ...続きを読むれは私的にはにわかに受け入れがたいが、ある立場からは検討の余地のあるものなのかもしれない。

しかし、出版後、24年もたっているにもかかわらず、いまだ色あせていない部分がある。

・P3 極限生物の記述
・P60 共生説:ミトコンドリア、葉緑体、鞭毛などの細胞小器官は太古に共生することでできた。
・実際の進化の歴史がよくわかるようになったのは、カンブリア紀になってから。今から6億年前。
・人間をつくる最低の情報量は大英百科事典1セット(23巻)分。
・SOS修復。死ぬより突然変異の方がマシ。
・突然変異=著しい奇形は誤り
・遺伝率。人の背丈は乳牛の乳料より高い。
・P155 人が偶然から生まれる可能性はないが、進化によって生まれる可能性は高い。
・いとこから劣性遺伝病が生まれるのは、そうでない場合に比べて、7倍になる。
・アミノ酸座位の増減による違いは、ヒトとコイ(約4億年前)の分岐で初めて見られる。
・分子レベルでは突然変異の蓄積速度は一定
・黒人 東洋人 白人 の順に発生
・全生物を横断的に調べるためにリボソーム5SーRNAが使われる。
・古細菌はむしろ新しく真核生物に近い。コケはシダの退化系。
・変化の保守性は分子進化の大きな特徴。
・人類が進化の過程で脳の容量が300万年で2倍になったのが表現型進化としては異例。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2011年04月24日

[ 内容 ]
ダーウィンによって確立された進化論はどのように発展していったのか。
分子生物学は進化論をいかに豊かにしたのか。
進化の道筋は現在どのように考えられているのか。
革命的な「分子進化の中立説」を提唱して世界の学界に大論争を巻き起した著者が、『種の起原』から中立説までの進化の考え方をやさしく...続きを読む説き、人類の未来にも想いを馳せる。

[ 目次 ]
第1章 生物の多様性と進化の考え
第2章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
第3章 進化の道すじをたどる
第4章 進化要因としての突然変異
第5章 自然淘汰と適応の考え
第6章 集団遺伝学入門
第7章 分子進化学序説
第8章 中立説と分子進化
第9章 進化遺伝学的世界観

[ POP ]


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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
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読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

進化という誤解されやすい現象について、世界に認められた「分子進化の中立説」を提唱した著者自身による一般向けの本。生存率を高める突然変異だけが進化のドライビングフォースではなかった。

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Posted by ブクログ 2020年06月13日

ヒトに至る進化の流れ、進化論や自然淘汰については文系の自分にも読みやすかった。
集団遺伝学や分子進化の章は数式も多かったが、言葉での説明のおかげてぎりぎり大筋は掴むことができた。
突飛な主張はなく最新の研究とも大きなズレはないのではと思った。
最後の章で優生や将来の宇宙植民などを取り上げていたのはや...続きを読むや唐突に感じた。

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Posted by ブクログ 2018年10月15日

「分子進化の中立説」を提唱した木村資生博士による著書。著者は、生物進化が『ダーウィンの自然淘汰によってのみ起こる』と考えられていた時代に、それとは別の原理も働いていることを示した。ある個体にとって生きるために有利にも不利にもならない『中立な』突然変異遺伝子が現れると、それは自然淘汰の影響を受けない。...続きを読むしたがって、その遺伝子が次世代に伝えられるか否かは、親から配偶子(精子・卵子)が取り出される際の偶然によって決まる。幸運なものが生き残るのだ。
本書はダーウィンの自然淘汰から中立説に至る進化論の流れと、集団遺伝学(集団内の対立遺伝子の割合(遺伝子頻度)が突然変異や自然淘汰などの進化要因の下でどのように変化していくかを研究する学問)、分子進化学(DNA塩基やアミノ酸配列の置換から進化過程を研究する学問)、そして中立説の詳細について分かりやすく解説している。

第一章 生物の多様性と進化の考え
第二章 遺伝学に基づく進化機構論の発達史
第三章 進化の道すじをたどる
第四章 進化要因としての突然変異
第五章 自然淘汰と適応の考え
第六章 集団遺伝学入門
第七章 分子進化学序説
第八章 中立説と分子進化
第九章 進化遺伝学的世界観

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