【感想・ネタバレ】室町無頼(上)(新潮文庫)のレビュー

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Posted by ブクログ

室町時代、没落武士の子で天涯孤独の少年才蔵は用心棒として土倉を営む法妙坊暁信に雇われる。
ある日土倉は盗賊に襲われるが、頭目骨皮道賢に見込まれ、百姓からの信頼を集める浮浪の徒蓮田兵衛に預けられ、棒術の修行を経て生きる術を身につける。

応仁の乱前夜を一揆側の視点から描いた歴史小説であるが、歴史に従いながらも一つのドラマの様な読み方ができる。歴史があまり好きじゃ無い人にもお薦めの作品。

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2024年03月30日

Posted by ブクログ

たった1回の予告編で「観たい」と思わせる映画は久しぶりかもしれない。そのまま原作を読む運びとなった。
映画の方(来年1月公開)はエグい描写もあるようだが、不思議なもので原作版だとそこは何の気なしに読み進められる。(※あくまで!個人の感想です) (下)で全てをまとめようか迷ったけど、(上)から凄かったので各々書いていくことに決めた!

時は室町時代後期、応仁の乱前夜。
土倉の用心棒として雇われていた天涯孤独の青年 才蔵は、ある事件をきっかけに骨皮道賢に見込まれる。道賢(恐らく姓名ともに偽名…)は市中のならず者を率いる頭目でありながら、幕府直々に市中警護役を任されている。
やがて才蔵は蓮田兵衛(こちらも多分偽名…)という男に預けられ、戦闘に必要な技術を身につけるための修行へと身を投じていくこととなる…

「そもそも善悪など、見る側の都合によって決まる。それだけのものじゃ」

京都人が言う「先の戦争」とは応仁の乱を指す…と言うのは有名な話。
それによって市中は荒れ果てたのだと自分も授業で聞かされていたが、乱よりも前から荒廃していたというのは目新しい情報だった。建物は焼き払われずとも、人々の暮らしが荒廃していたのだ。

当時の京は政治経済の中心地であると同時に貧富の差も激しかった。鴨川や四条大路は大量の餓死者で溢れ返り、他方では金融業や輸送業で私腹を肥やす者がいた。才蔵が守っていた土倉も貸し付け後に不当な額の利子をつけていく、いわば闇金だった。
その地獄から道賢に拾われた才蔵は、幸運でしかなかったのだと思わずにはいられない。

「自分の居場所というものは、自らの手で作っていくしかないのか」

生きるためには手段を選ばない。道賢と出会う前の才蔵然り、遊女の芳王子然り。自分のやりたいことを優先する現代とは大違いだ。
先述で「才蔵が幸運でしかなかった」と書いたのは、彼が食い扶持を確保しただけでなく夢よりも命を繋ぐことで精一杯の世の中で、志を持った道賢と兵衛に出会えたことでもある。(芳王子も2人の確固たる自分を持ったところに惹かれたのだろう)
世間にとって自分は塵芥でしかないと思っていた才蔵が、2人から世の中や生き方の心得を説かれ自分の進む道を見極めようとしている…。そこから才蔵が自我に目覚め、自分の居場所を確立していくと想起させるような流れである。

(上)では道賢や兵衛以外の人物らにスポットが当たっていたが、終盤にかけての才蔵の修行にも注目したい。(修行の描写が鮮明に頭に焼きついていた影響もあって、冒頭にて「凄かった」と書いた)
棒術を極めるための修行なのだが、特訓メニューがなかなかにユニーク。そのため才蔵同様戸惑うこともあるとは思うがそれぞれがちゃんと意味をなし、繋がっていることが後々分かってくる。
これが映像化されるとどうなるのか、今から楽しみ!道賢役が堤真一さんなのはちょっと引っかかるけど笑(本書に書かれているビジュアルから渡辺謙さんくらいの迫力を想像していたもんで汗)

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2024年03月14日

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無頼。
手元の辞書を引いてみると(一回やってみたかったやつ)
1 正業に就かず、無法な行いをすること。また、そのさまや、そのような人。
2 頼みにするところのないこと。
とある。

思うに「無法」とは世のルールではなく自らの流儀に従うことなのだろう。
世が乱れている時代は、法の正しさを担保する政権の権威が弱まり、役人や寺社は腐敗する。そういう時代には自分以外に恃む物のない無頼の徒が多く出るのではないか。
道賢、兵衛、芳王子、唐崎の古老らを見るにそう思う。
才蔵を育てることになったのも、自分が受けた物を次に繋ぐという仁義なのかなと。

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2023年04月09日

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応仁の乱前夜。骨皮道賢に見込まれた天涯孤独の少年、才蔵は、百姓の信頼を集め、秩序に縛られず生きる浮浪の徒、兵衛に預けられ…。史実を鮮やかに跳躍させ混沌の時代を描き切る、記念碑的歴史小説。

(再読)
本作は5年前に読んだことがあるのを忘れて読み始めたけれど、再読してもやはり面白かった。

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2022年01月27日

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最初は読むのが辛かったがどんどん引き込まれていく。才蔵の理詰めで考えるのを破天荒で壊していく師匠ら。過酷な訓練で何を得ることができるのか下巻がたのしみ。

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2022年01月03日

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あっという間に読んでしまった。

応仁の乱直前の不安定な情勢。

この史料が少ない時代を、生々と描く。

下巻も期待したい。

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2021年02月06日

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(読んだのは文庫版ではないけど検索で出てこなかったので)

戦国時代に突入する直前の室町幕府末期ごろの話。
なかなか物語で描かれない時代だが、その時代の殺伐とした雰囲気をありありと思い描けるように表現する筆致はさすが。
幕府が弱体化し各地の大名同士で領土争いが起き、重税に苦しむ農民がたびたび一揆を起こし、混沌としていた時代。
武士の末裔才蔵が、骨皮道賢に命を拾われ蓮田兵衛に見込まれて、苛烈な修行を経て兵法者として身を立て時代を生き抜く。
目の前に提示された選択肢しか生きる術のないこの時代ならではの厳しさ、それを受け入れる潔さが気持ち良い。

昔から垣根涼介好きだけど、時代小説もこの人の手にかかればこんなに人物が生き生きとしておもしろくなるのかーと感服。

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2021年01月12日

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結構面白いです
室町時代の物語は、だいたいハズレるけど
江戸時代の浪人の立身出世のようなストーリーで
なかなか読み応えあります

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2024年01月05日

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ネタバレ

垣根涼介氏の歴史物。ルースターが非常に好きだったので、まさかの歴史物という感じではあるが、何ともスッパリと、そして爽やかな歴史小説。大切なものは歴史を経ても同じであって、本質は何か、頭を使って考えて、決して波に飲まれてはいけない。その強いメッセージを軽やかなセリフに載せていく。武家から落ちぶれた家に生まれ、小さい頃から生きるに必死だった才蔵。それを取り巻く無頼者の道賢と蓮田。ともに、武の使い手でありながら、その世の中の動きを見て、そして変えるべきことに焦点を合わせ始めている。世の中とは何なのか、そういう視点と武という筋を通した生き方と、硬軟をうまく書き、読者をじわじわと世界観に引き込む良作。

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2021年11月08日

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応仁の乱直前の京で棒術を頼りに生きる青年の物語。マフィアの首領兼警察庁長官の骨皮道賢、なんだか怪しいアジテータ兼関所強盗の蓮田兵衛に振り回されまくる。
途中で司馬遼太郎ばりの生々しくドライなエロスが混じったと思ったら、終盤はベストキッドのような棒術修行。先が読めなくて楽しい。
「銭は回転を繰り返すことによって、初めて世に生きる。銭になる」

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2021年09月14日

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室町時代の京都が舞台の物語。
蓮田と道賢という少しタイプは違うもののとても魅力的な2人の男と、何故か彼らに可愛がられる才蔵。
少なくとも歴史の教科書に出てくるような表舞台で語り継がれるような存在ではないものの、この先の日本に何か大きな影響を与えそうな匂いがプンプンする。
下巻が楽しみです。

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2021年09月05日

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応仁の乱前夜。天涯孤独の少年、才蔵が主人公。
世の中をひっくり返そうとたくらむ男たちに拾われ
棒術を極めるための修行を治めるまでが上巻。

男たちが魅力的
主人公の少年がこの先どう成長するのか
下巻が楽しみです

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2020年05月15日

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読み終わったのは、新潮文庫のほうではない(笑)
登録するときに、検索で出てきたので、こちらを本棚に追加した
この本『室町無頼』は以前に少し読んでいたが
途中で止めてしまったもの
だから、ある意味再読ということになる
今回はきちんと最後まで読み終わった
やれやれ

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2019年10月04日

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登場人物のキャラクターが際立っている。
上巻はストーリー展開からするとほんのプロローグでしか無いと思うが、人物に纏わる話しだけでも十分面白い。

厳しい修行を積んだ才蔵の活躍が気になる。

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2019年06月28日

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戦国時代とか幕末とかの、歴史小説でポピュラーな時代ではなく、応仁の乱前夜に舞台設定した著者の意気込みがいかんなく発揮された歴史巨編。
主人公の才蔵や骨皮道賢、蓮田兵衛と、誰もが生き生きと魅力的な男が登場する。
そんな男たちに共通するものとして、著者は遊女芳王子の言を借り、「甘み」だと表現する。
「世間の常識や物差しで良いも悪いも関係ない。あくまでも個々人の心の中にある格調、あるいは行動の規範のようなものだろう。その規範なり規矩を持った者だけがその行動や佇まいに、ある種の甘みが醸し出されてくる」
世間の常識や与えられた規範に振り回され、あたふたと毎日を送る現代人には、願ってもかなわぬものだろうか。

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2019年04月29日

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 応仁の乱前夜、天涯孤独の少年、才蔵は凄絶な棒術修行の果てに、生きる力を身につけていく。

 応仁の乱の時代を描いた作品を読むのはあまりなく、この混とんとした時代の作品を読んだことはとても新鮮でした。

 また、主人公が生き抜くために棒術を修行していく描写も本格的で、これなら本当に強くなるかもしれないという説得力を感じました。

 主人公の以外の主要な人物の2人も魅力的に描かれており、この後、主人公とどのように関わって展開していくのか、下巻も楽しみです。

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2019年03月10日

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応仁の乱前夜、室町時代の徳政一揆を中心に、一揆の張本 蓮田兵衛と応仁の乱で活躍する骨皮道賢と、二人に見込まれた天涯孤独の少年 才蔵が混乱する世を生き抜く力を身に着けてゆく物語。

感想は下巻で。

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2019年02月17日

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室町時代から安土桃山時代に移り変わる前に起きた大きな騒乱 『応仁の乱』歴史の教科書で習うのは応仁の乱という言葉だけでイマイチ何が起きたのかは不明なところがある。またその時代を舞台とした作品も決して多くない。
著者のの時代小説作品 光秀の定理 を読んで『アリだな』と思った人には是非読んで欲しい!

町時代中期 室町幕府の力に陰りが見えてきた頃に群雄達が蠢き始める、決して日の当たりやすい時代ではないが実在の人物達も登場し時代背景も写実に捉えた良い作品!

主人公の棍の技術が上達していくのも読んでて楽しい。

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2019年02月16日

Posted by ブクログ

この作者の歴史小説は他と違って新鮮だ。応仁の乱の前の時代は、あまり知識もなかったが、足軽の誕生や下克上が起きる背景など納得した。 主人公の才蔵以外もカッコいい男達ばかりだ。

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2022年10月08日

Posted by ブクログ

面白いのだが主人公の才蔵に魅力を感じない。
才蔵の苦難のエピソードをもうちょっと載せてくれれば感情移入ができたと思う。下巻へ

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2019年11月27日

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