【感想・ネタバレ】涙香迷宮のレビュー

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『狂狂』に続き、竹本作品七作目。本格ミステリ大賞受賞作。ミステリィとしても勿論面白いのだが、それにも増して、いろは歌の数々に圧倒された…こんなにたくさん作れるものなのかと!?
その中でもある二首(一首?)には驚愕せざるを得ない。まさに超絶技巧。日本語の無限の可能性を感じる、そんな一作です。星四つ半。

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2024年04月27日

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★5 暗号ミステリーの名作! 明治の鬼才作家、黒岩涙香が残した「いろは歌」の暗号を解け #涙香迷宮

■あらすじ
囲碁の世界では有名な老舗旅館で殺人事件が発生した。主人公であるトップ囲碁棋士の智久は、刑事とともに事件解決を図っていく。
一方、明治時代の作家、翻訳家である黒岩涙香の山荘が発見される。そこには「いろは歌」に関する暗号が隠されたいた。主人公、暗号解読の猛者、研究者たちが難解な暗号に挑戦するのであった。

■きっと読みたくなるレビュー
こいつはすげぇ… 暗号ミステリーの名作ですね。
バケモノ感が満載、しかも楽しく読めて勉強になる、素晴らしい作品です。

まず本書の特徴としては、文学、ミステリー、いろは歌、囲碁や連珠など、様々なウンチクが盛りだくさんなんです。古いアナログゲームや文学の研究書を読んでるみたいなの。

暗号ミステリーは『黄金虫』や『踊る人形』あたりは有名で読んでますが、他の作品についてもいろいろ紹介がされていて、興味深く読ませていただきました。

また『五目並べ』は知ってはいますが、『連珠』なんて名称は知りませんよ。しかもこんな深いルールや歴史があったなんて勉強になるなぁ。そして昔の人はスゴイ。

最近話題にもなっているは『ウミガメのスープ』も登場します。今はデジタルゲームが主流ですが、アナログな遊びやゲームも、残り続けてほしいですね。

そして本書のメイン「いろは歌」ですよ。
マジかよ、おいっ!て内容で、もう驚愕でしかありません。天才なのか変態なのか、あまりのすばらしさにド肝を抜きます。しかも終盤に出てくる奴なんてね… もうなんも言えねぇっす

なお、物語としてもミステリーファンが納得する内容になっていますね。
少しずつ不穏な空気になり、ついにはクローズドサークルに…
特にお気に入りは、犯人の動機ですね。この作品だからこその動機で、すっかり感服しました。

■きっと共感できる書評
現代はAIの時代で、これからもどんどん発展していくでしょう。
チェスや将棋などの戦略ゲームの解析はもちろん、言語生成、画像や映像生成まですべて機械処理で可能です。

それは素晴らしく便利で画期的ではあるのですが、どんなに情報整理が巧みになっても得られないものがある。人生を豊かに生きるには、個々人の経験や体験に勝るものはありません。

いろは歌でも、囲碁でも、将棋でも、なんでも夢中になれることはホントに幸せですね。さて、今日も本を読もう。

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2023年06月05日

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いろはの謎解きのクオリティが高く超大作ともいえるかもだが、
囲碁、将棋のくだりは自分には難しくてよくわからなかった。

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2024年01月15日

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パングラムとは「いろはにほへと」のようにある言語の文字をすべて使って文章を作る言葉遊びのことだそうです。例)色は匂へど散りぬるを…など

本書はその「いろは」だけで四十八首も作成した黒岩涙香さんのパングラムが、それ自体暗号だったのでは?というミステリーでした。

作者の博覧強記ぶりも去ることながら、やはり涙香さんの多才ぶりがすさまじいです。
涙香さんといえば江戸川乱歩『幽霊塔』の原案者?くらいの知識しかありませんでしたが、とんでもないお方でした。
日本ミステリーの祖なのはいうまでもなく、新聞社を経営して将棋欄や相撲欄を初めて作ったり、レ・ミゼラブルを『ああ無情』と訳したり、現在まで続くかるた大会を主催したり、囲碁やビリヤードは玄人はだしだったり、その万能ぶりは遊芸のレオナルド・ダ・ヴィンチと称されるほど、だそうです。
なかなか渋いいろは歌。

ふうりんのねよ さやけくも
ときつあいろを わたらひぬ
ゆめちるまへに こゑせしか
むゐそおほえて すみれはな
風鈴の音よ 清けくも
時つ隘路を 渡らひぬ
夢散る前に 聲せしか
無為ぞ覚えで 菫花

次は涙香さんに関する本を読んでいきたいと思います。

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2023年11月18日

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竹本健治の長篇ミステリ作品『涙香迷宮』を読みました。
ここのところ国内の作家のミステリ作品が続いています。

-----story-------------
明治の傑物・黒岩涙香が残した最高難度の暗号に挑むのは、IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久! これぞ暗号ミステリの最高峰!
いろは四十八文字を一度ずつ、すべて使って作るという、日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」四十八首が挑戦状。
そこに仕掛けられた空前絶後の大暗号を解読するとき、天才しかなし得ない「日本語」の奇蹟が現れる。
日本語の豊かさと深さをあらためて知る「言葉のミステリー」です。

こんな小説を書ける作家は世に1人、竹本健治しかいない! ──ような気がする。
──綾辻行人

セカイを再編集する悦び。
言葉の総てがセカイになる驚き。
堪能できます。
──京極夏彦

・第17回本格ミステリ大賞 小説部門 受賞
・「このミステリーがすごい!2017年版」(宝島社)国内編第1位
・第40回「週刊文春ミステリーベスト10」 国内部門第3位
・「ミステリが読みたい! 2017年版」(ハヤカワミステリマガジン)国内篇第2位
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2016年(平成28年)に刊行された、IQ208の天才少年囲碁棋士・牧場智久が探偵役として活躍するシリーズ作品です。

 ■発端
 ■もうひとつの発端
 ■経緯
 ■発掘調査
 ■嵐の前
 ■嵐
 ■暴風雨の底で
 ■解読
 ■真相
 ■解放
 ■あとがき
 ■解説 恩田陸

囲碁界では有名な老舗旅館で発生した怪死事件… IQ208の天才囲碁棋士・牧場智久は謎を追いかけるうちに明治の傑物・黒岩涙香が愛し、朽ち果て廃墟になった茨城県の山荘に辿りつく、、、

そこに残された最高難度の暗号=日本語の技巧と遊戯性をとことん極めた「いろは歌」48首は天才から天才への挑戦状だった……。

面白かったですが… それ以上に「凄いっ!」という印象の強い作品でしたね、、、

48語を一度ずつ、全て使って作られる、日本語の技巧と遊戯性を極めた「いろは歌」に何重もの暗号が仕掛けられているのですが… これだけの数の「いろは歌」を考えて、その中で暗号を仕掛けるなんて、想像を絶することですねー ホントに驚きです。

そして、国内ミステリの始祖であり、優れたジャーナリストであり、数多くの趣味娯楽で一流の腕前を持つ黒岩涙香を絡めた展開も印象的でしたね… ホントに凄い暗号ミステリでした。

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2023年03月25日

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蘊蓄部分はよく分からず、流し読みしました。しかし、日本語ってすごい。こういったものを作れる言語センスが素晴らしく、信じられない。

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2022年07月27日

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竹本健治の涙香迷宮を読みました。
囲碁、将棋、トランプ、匣、涙香と5冊目になります。
どれもハズレがありませんでした。
まだ未読未入手のものを読みたいと思うばかりです。

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2021年12月30日

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なんといっても空前絶後のいろは歌暗号に尽きるでしょう。あとがきによると、本作のために用意されたわけではなく、作者さんが趣味で作っていたいろは歌暗号が先にあって、ということのようだけれど、それはそうだろうね。どこかで作中でのいろは歌に対する賛辞、つまり自讃が過ぎるというような批評を目にしたのだけれど、これだけのモノを作ったら、少々自讃したところで罰は当たらないと思う。正直、ここまで最初から解いてみる気にならない、ミステリの謎もないが、謎解きの過程でのカタルシスはまれに見るもの。いやー面白かった。

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2021年11月11日

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完全に主役は「いろは歌」。その狂気じみた圧倒的ボリュームに呆然。
黒岩涙香については山田風太郎作品で触れた程度の知識しか持ち合わせていなかったので、その多芸ぶりと破天荒な経歴に驚いた。
冒頭の殺人事件と涙香といろは歌。とても自然な流れなのに、おそらく配分の問題だろうか、奇妙なアンバランスさを感じてしまったことは否めない。
そこに面白さを感じられるかどうかで好みがわかれそう。
水平思考クイズの答えが気になる…。

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2021年11月07日

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涙香のことが知りたければこの本を読め!!
というくらい、2/3 は涙香のことが詳しく描かれている!!

物語のはじめに起こった殺人事件
から
涙香の秘密の山荘へ辿り着き、
天才(超天才!!!)涙香が残した最高難易度、日本語「いろは歌」の暗号解読から
殺人事件の犯人を暴き出す!!

江戸川乱歩が好きで辿りついた涙香からしった
ミステリ本

この作者さんもこのストーリーを考え出し書くというのがすごいっ!! 天才!!

日本探偵小説の嚆矢 !! 超天才涙香 !! のことがたくさん知れた !!

涙香
遊芸百般
『白髪鬼(はくはつき)』『幽霊塔(原作ウィリアムソン夫人『灰色の女』)』『巌窟王(原作デュマ『モンテ・クリスト伯』)』『噫(ああ)無情(原作ユーゴー『レ・ミゼラブル』)』『人耶鬼耶(ひとかおにか)』『鉄仮面』
乱歩 再翻案
『白髪鬼(はくはつき)』『幽霊塔』
   同じタイトル
『暗黒星』『大金塊(少年探偵シリーズ)』


『いろは』 完全パングラム

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2020年10月17日

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ネタバレ

暗号ミステリってちょっと腰が引けちゃうというか、あまり考えずに読んで「へー」ってなりがちなタイプなんだけど、これは凄かった。いろは歌は日本人には馴染みのもので、読んでいて「なるほど」と思うことも多くどんどん没頭した。
それにしてもこの怒涛のいろはには圧倒された。どんな頭脳の持ち主なんだろう!だいたい旧仮名遣いやら古語やら、こんなに自在に操れるなんて凄すぎる。
小1のこどもに普通にオセロで負けてしまう私にはとても考えつけそうにないけど、チャレンジしてみようかな(笑)

黒岩涙香については、たぶん高校時代に日本史で軽く教わり、萬朝報を創刊した巌窟王や噫無情の翻訳者であるということくらいは知っていたけれど、こちらも読んでいて圧倒された。すごい人だ。だいたい最初の新聞社で24歳で主筆、30歳で萬朝報創刊。こういう若くして活躍する人がいたのが明治の時代なのかな…と思ったりもした。

牧場智久を探偵役とする小説はシリーズものなんだね。
類子ちゃんと智久くんの可愛いカップルのシリーズなのかな。囲碁も将棋もさっぱりだけど、他のものも読んでみたい。

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2020年08月13日

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囲碁の若手実力者 牧場智久の的確な推理により殺人犯を暴き出すストーリーだが、黒岩涙香の業績の展開も含め、かなり複雑な構成だ.山極の旅館での殺人事件に立ち会った智久が推理を開始する場面が発端だが、碁盤上に倒れた被害者を見た彼は碁石が異常に多いことを指摘する.場面は変わって涙香が作ったとされる隠れ家で11名が暗号解読に勤しむ場面が続くが、涙香の幅広い知識にミステリー愛好家の連中も苦労する.智久が落石で怪我、美佐子が毒で死亡し、犯人探しが始まる.涙香の多彩な趣味には驚いたが、暗号を組み込む才能も素晴らしい.智久が犯人を炙り出す過程が楽しめた.

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2020年04月05日

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ネタバレ

小学生の時、涙香が翻案した「死美人」という小説が結構好きで、大人になってから読みたいと思い青空文庫で探してみたけど見つからなかった。
それが4年前の夏、子どもの頃に読んだ本を実家が送りつけてきた本のなかにそれがあったので読みなおしてみたところ、やっぱり面白かったと当時のブログに書いていました。

晩ご飯を食べながら読み返してみたけど、やっぱり今読むとおどろおどろしいとは言えないし、犯人は想像つくし、何よりフランスが舞台なのに主要人物たちの名前がみんな日本人だし、突っ込みどころが満載だけど、面白かった。
善も悪も変装して騙し合う。
展開は読めるんだけど、だからこそ安心して読めるというか。
うん。読めて満足。明治の探偵小説。』

さて、その涙香がタイトルになっているこの本、坂口安吾の本を読んだ直後に本屋で出会ったのも何かの縁でしょう。
安吾も涙香のファンだしね。

と思って読み始めたら、これシリーズものでした。
まあ全体的に登場人物の書き分けがあまりしっかりされていないので、シリーズのキャラクターが何人出ているのかわかりませんが、あまり問題はありませんでした。

で、この本で作者が書きたかったことって、「黒岩涙香ってすっげ~!」ってことだと思う。
明治に活躍した翻訳・翻案者というだけではなく(「巌窟王」とか「ああ無情」など、涙香のつけた邦題の絶品なことと言ったら!)、教科書にも載っている明治に創刊された新聞「万朝報」の創刊者であり(内村鑑三、幸徳秋水、堺利彦などが記者だった)、競技かるたのルールを統一し…くらいしか知らなかったけど、日本のダ・ヴィンチと言っていいくらいいろいろなことに造詣が深い人なのです。

ほぼほぼ蘊蓄で占められている本文がメインで、殺人事件は多分ミステリとしての体裁を整えるための後付け。
動機もトリックも全然ひねられていない。
 
それならさあ、各登場人物がその道の第一人者ということを活かして、それぞれが自分の得意分野で一節をぶち、最後にそれらの知識を吸収した主人公が真実を暴く、という形にすればいいのにと思いました。
「黒後家蜘蛛の会」のヘンリーみたいに。

だって、高校生の一人勝ちなんですもの。
第一人者たち、謎の解明を丸投げしちゃったから登場人物としてのアイデンティティーが喪失しちゃった。

蘊蓄が好きな私は面白くて一気に読んじゃったけど、京極夏彦の蘊蓄に閉口するような人はこの本には向きません。
囲碁と「いろは歌」に興味のある人はぜひ。

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2019年09月20日

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ネタバレ

「黒岩涙香」という遊芸に通じた知の巨人を巡る暗号ミステリ。暗号解読と殺人事件の解決という二段階からなるが、前者の暗号の凝りに凝った内容に感嘆させられる。作中では涙香の作品として登場人物からの絶賛を浴びているが、それがそのまま作者に対する評価になるのは間違いない。

黒岩涙香という人物は恥ずかしながら知らなかったが、歴史好きには非常に興味深い、文学界の革命児だと知り、その点も非常に勉強になった。歴史記述の部分が細かすぎて物語がそこで止まってしまう感が一部あったが(特に前半)、後半の展開を考えると仕方ないのか。

そして、いろは歌に是非挑戦してみようと思う!

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2019年08月26日

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涙香迷宮という題で、黒岩涙香かな?と思い前からいつか読もうと思っていた本。
確かにミステリーとしては今ひとつという評価もわかるが、この本の魅力は黒岩涙香の功績や背景を知ることができる点といろは歌の暗号。自分で解くかと言われるとその気力はないが(笑)和製のダ・ヴィンチ・コードというのは的を射ている。
個人的には文頭でのいろはが49番目だとしたら文末でのいろはが50番目で問題になっているとかだとさらに面白かったのでは?と考えるのも一苦労ないろは歌に無茶を言ってみる。

連珠はいろいろと触れられていたが、競技かるたにはあまり触れられず、そこは残念。むしろそれを知りたかった…。

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2019年03月14日

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藤井聡太のおかげで将棋がブームだったからその影響もあってかミステリで話題になった作品
暗号文がとにかくすごくてレベルが卓越してました。

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2023年10月02日

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トリックが練りに練り上げられているなあという印象でした。私的にはトリックが凝りすぎていて追いつくのに精一杯だったので、途中で理解するのをやめちゃいました。トリック好きの人は楽しめると思います。

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2023年09月26日

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感想
言葉が織りなす世界。世界と言葉の関係はここにおいて逆転する。人は太古から遊戯を求め競い合う。迷宮の主人はミノタウロスではない。

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2023年06月18日

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 学生の頃、様々なジャンルのミステリーを漁っており、そんな人間が必ず惹かれるのが「暗号」である。
 トリック等に使われていても読みながら解読する事はほとんど難しいが、ミステリー好きが「暗号」にときめく事はホームズが登場する有名な「踊る人形」の時代から変わらない。
 ただし、あまりにも凄すぎる暗号は、作品のバランスを壊してしまう。
 涙香迷宮においても、作者が人間の枠を超えた、とんでも無い暗号を提示し、僕の頭ではその解読で一杯になり、結果、ミステリー部分の記憶は曖昧になってしまった。(この暗号を楽しめる脳が羨ましい。)
作中において、イロハ歌を用い(しかも複数)更にその中に暗号を潜ませており、作者の能力に感服してしまった。
 タイトルの涙香は黒岩涙香という実在した人物がモチーフであり、彼の生き様や人となりについても本作に彩りを加える魅力的な要素のひとつだ。

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2023年04月14日

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イヤーー前置、伏線が長い作品かなぁって感じです、ミステリーなのだけど、それに至るまでがとにかく長くですね、ようやくミステリーっぽくなったのが残り100ページでしたーー
でも天才ってかっこいい^ ^

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2023年02月26日

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牧場智久シリーズ。前半、読むのがしんどいからって、途中で辞めたら後悔しますよってタイプの本。黒岩涙香、囲碁や連珠についてのアレコレで埋め尽くされた前半を読むのは辛かった…。ようやく事件が動き始めた後半からは、涙香の隠れ家、台風の中のクローズドサークル、いろは歌に込められた暗号と、面白さ目白押し。犯人の動機もやや弱いが、連珠が好きな人ならもっと楽しめたのかな。とにかく、暗号を仕掛けた、作者作の大量のいろは歌は圧巻!しかし…最後の推理ゲームの答え、全然分からないんですけど…

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2021年12月22日

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天才囲碁棋士牧場智久を探偵役とした本作。今までにも牧場智久を探偵役とした話はあったが今作はゲーム・シリーズの延長上にあたりながらもそれ以外の要素もふんだんに盛り込まれている。暗号としてのいろは歌がメインなのは言わずもがなで、勿論そこにはミステリのエッセンスも忘れてはいない。けれどどうしても暗号解読がメインになってしまうので、そういうのがあまり好みではない私にはちょっと合わなかったかな…。

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2021年02月17日

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ネタバレ

評判が良かったので読んでみたくて、シリーズモノだと知ってまずは『囲碁殺人事件』を読んだんだけど、三部作探すのが面倒臭くなって、将棋とトランプを飛ばして本作品に着手した。
そしたら12歳だった智久は全く子供っぽさがなくなった18歳になってて、天才の名をほしいままにしてた。
ちょっと飛ばしたのを失敗したかなと思った(笑)。
脳科学者の須堂なんかも居なくなってて残念。

タイトルの「涙香」は人名なのね。
全然知らなかった。

とある老舗旅館で殺人事件が起きて、たまたま対戦で近隣に来てた智久と担当刑事が知り合いだったことから、智久は現場に立ち会い、解決に向けて頭脳を働かせる。
一方、智久の示唆で見つかった黒岩涙香の隠れ家を発掘調査する涙香研究者達に同行する智久と彼女の類子(彼女できてる!)は、隠れ家の意匠に組み込まれた数々のいろは歌に驚かされる。
そのうち、これも涙香の暗号なんじゃないかと智久が見破る。

いろは歌はみんな竹本さんが作ったわけで、まずそれに圧倒される。けど、正直、付いていけないと言うか、かなり置いていかれた感を感じながら読むことになった。
暗号も、凄いんだけど。凄いんだけど。

とにかく、よくこんなの考えつくな、って感想しかない。
渾身作なのは疑いないけど、面白く読めたかと言われれば、そうでもなかった。ので辛口かもしれないけど☆3つ。
単に自分は暗号モノに向かないのかも。

智久が人間としてほぼ完璧なのがなんか嘘っぽかった(突出した脳味噌の持ち主は性格が歪んでるもんじゃね?、って先入観のせい)。
大事な一戦の前に発掘現場に赴いて、そこから対戦に向かうとか、なんかモヤった。
直前に『囲碁殺人事件』読んだから余計にそう感じたかも。あの作品は対戦前や対戦中の棋士の心理状態がとても良く書けていたから。

ほかにも、台風近づいてきたら大人しく発掘中断して帰りなよ危機管理能力ないな、と思ったし、犯人の動機もちょっと納得行かなかった。
自分の器以上の作品を発表したらむしろその後の苦しみの方が遥かにツライ。それこそ竹本さんが身を持って知ったことだろうに。
そんなんで人殺してたら割に合わない。
…などと思ってしまった私は名声欲が無いからなのかな。

…もしかしたら、暗号部分は凄いけど、ミステリとしてはイマイチなのかも。
ただ、黒岩涙香との関わらせ方はとても巧みだった。
どこまでが史実でどこからが創作なのか、混乱しそうだった。

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2020年08月30日

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★★★☆☆ 3.6
もはや天才すぎて凡人にはついていけない(笑)。「かっこわら」が付くくらいの圧倒的才能の前に僕ら読者は口をパクパクさせて読むことしかできない。本当に天才的な暗号すぎてまじで全く意味わからないけど、overwhelming genius boy は素晴らしい。

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2020年08月06日

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牧場智久シリーズの一冊で、連珠やいろは歌などを愛好していた黒岩涙香ののこした謎に彼がいどむなかで殺人事件に巻き込まれていくストーリーになっています。

ある老舗旅館で殺人事件が起こり、智久は現場にのこされた碁石から、被害者の人物像について推理をおこないます。その後、智久と類子は黒岩涙香ファンと知り合い、茨城県にある涙香の山荘へ行くことになります。いろは歌のさまざまなヴァリエーションのなかにかくされた謎に智久は挑戦しますが、しだいに彼の身に危険がせまることになり、しかも最初の殺人事件と今回の彼の身に起きた出来事とのつながりが明らかにされていきます。

著者のパズルへの愛好ぶりがうかがえる暗号ミステリです。ストーリーやトリックは付け足し程度のものですが、純粋にいろは歌のヴァリエーションの見事さに感嘆させられました。

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2020年01月29日

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こういった暗号解読ものは好き嫌いが分かれると思う。
暗号そのものについては驚異的と思うが、それならば添え物的についている殺人事件はいらなかったのでは。
ちなみに、最後未解決になっていた黒岩涙香と幸徳秋水の謎かけは、ネットを見た限り私は正解だった(というかあまりに直接的なので本当にあっているか不明だが

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2019年12月17日

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殺人事件が起き、そして解決に向けて様々な仕掛けが綴られていく事で言うなら間違いなくミステリー小説のジャンルなのだが、ミステリーにつきものの緊迫感やスリリングさは様々な出来事が起きたにも関わらず、不思議と感じない。
かと言って決して駄作ではなく、実在した黒岩涙香を様々な視点から紐解き、ミステリーに仕上げたことの着眼点は良かった。
強いて言うなら「いろは歌」の数が多すぎて、ちょっと中だるみをしてしまった感があるが、「いろは歌」がこんなにもパズル性があるものとは恥ずかしながらこの小説にて認識した。

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2019年03月25日

Posted by ブクログ

暗号ミステリだが、よくこんな暗号を思いつくな、という感じ。しかし、ストーリーはお飾りのようなもので、のめり込む感じではない。
あくまで、謎が解ける清々しさを味わうためのもの。

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2018年06月30日

Posted by ブクログ

涙香の魅力やジャンル問わない知識を際限なく詰め込んだ本。あのいろは唄の超絶技巧には驚かされたが、慣れない仮名遣いでちょっと読むのに苦労したり…。
肝心の殺人事件が薄いというか、さくっと終わったように感じで、ミステリーというより知識本という印象。
いろは唄の暗号がどう事件につながっていくかワクワクしながら読み始めたので、事件は事件、いろは唄はいろは唄とそこまで繋がっていないのに肩透かしを食らったように思えました…

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2018年06月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

評価
 サプライズ ★☆☆☆☆
 熱中度   ★★☆☆☆
 インパクト ★★★★☆
 キャラクター★★☆☆☆
 読後感   ★★★☆☆
 希少価値  ★☆☆☆☆
 総合評価  ★★★☆☆

● サプライズ ★☆☆☆☆
 菅村悠斎と榊美佐子を殺害した犯人は小峠元春。ミスディレクションとなるような人物も存在しない。そのため,サプライズ感は低い。黒岩涙香の暗号を解読した結果,発見されたお宝が逆文となっているいろは歌というのもサプライズ感はない。

● 熱中度 ★★☆☆☆
 殺人事件には,トリックらしいトリックもなく,魅力的な謎もない。暗号解読部分もロジカル過ぎてあまり楽しめない。なんかすごいことをしているという印象。あまり,先が気にならず,物語を引っ張っていく力に欠ける。ただし,黒岩涙香や連珠,いろは歌などについての雑学知識部分はそれなりに興味深く読める。

● インパクト ★★★★☆
 殺人事件部分は平凡だが,48以上のいろは歌が収録されているので,いろは歌のミステリとしてのインパクトはある。

● キャラクター ★★★☆☆
 牧場智久と武藤類子というシリーズおなじみの主人公。それなりに魅力的に描かれている。しかし,ほかの登場人物がそろって牧場智久を褒め称えているのが,リアリティに欠ける。一人くらい反発する人物がいてもよさそうなのだが。犯人の小峠を含め,涙香マニアの面々や歌人の弥生,被害者の美佐子などそれなりに魅力的だが,いかにも竹本健治作品に出てきそうなタイプのキャラクターばかりである。

● 読後感 ★★★☆☆
 暗号は解けるが,すっきりしたというよりふーんという感じ。ロジカル過ぎるし,古文についての知識がいるので,なるほどそうだったのか…となりにくい。殺人の動機=詰連珠の作者の地位をのっとりたい…というのも分からなくはないのだが,長編ミステリとしてはやや弱い。読後感はよくも悪くもない。

● 希少価値 ★☆☆☆☆
 かなり話題になった作品。しばらくは問題なく手に入る。ただし,10年後,20年後にどうなっているか。それほど面白くないので,手に入りにくくなっている可能性はある。 

● 総合評価 ★★★☆☆
 黒岩涙香,連珠,いろは歌といったいろいろな雑学について書かれている部分は,非常に楽しく読める。竹本健治作品にありがちな分かりにくさ,すっきりしなさはなく,シンプルな作り。それでいて,多数のいろは歌といろは歌に隠された暗号の技巧は見事で,なんか凄いと感じることができる。そのあたりが本格ミステリ大賞を受賞したゆえんだろう。しかし,問題は,「本格ミステリ大賞受賞」とか「超絶技巧の暗号ミステリ」といった賛辞が独り歩きして読む前にハードルが上がり過ぎてしまうことである。はっきり言って,この作品はそれほど面白くない。面白くないが,技巧がすごいので感心するという作品である。そういった意味では玄人向け。話題になっているという理由で買って読んだ人のほとんどは「ふーん。それで」となって,「それほど面白くない」で終わってしまうだろう。
 個人的には竹本健治好きなので,物語の雰囲気と雑学部分は楽しめた。しかし,肝心の殺人事件部分については,短編ミステリ程度のデキ。正直,いろは歌部分と雑学部分を除いた殺人事件部分だけを取り出すと及第点に達しない短編ミステリになるだろう。いろは歌の技巧と雑学部分の面白さに敬意を表してギリギリ★3で。

メモ
老舗旅館,隋宝閣で殺人事件が起こる。刑事の楢津木は,たまたま一緒にいた旧知の牧場智久に現場に来るように依頼。智久は,現場に残された碁石が普通の対局で使う碁石より多いことに気付く。
武藤類子は,友人と参加していたミステリナイトというイベントで,麻生徳司達と知り合いになる。
智久は,黒岩涙香が残した連珠の基本形に残された暗号を解読する。そして,明山にある涙香の隠れ家を発見する。
智久と類子達は,涙香の隠れ家の探索に参加する。その雑談の中,ふとしたヒントから,智久は冒頭の殺人事件の被害者の身元を明らかにする。
涙香の隠れ家で,智久達は,涙香が残したという48のいろは歌を紹介される。そのうちの1つが暗号ではないかと考える。
楢津木から連絡があり,冒頭の殺人事件の被害者が「菅村悠斎」という独居老人であることが分かる。菅村は涙香展の準備会に参加しており,麻生達と会っていた。
智久が落石に遭う。すんでのところで助かる。落石は誰かが故意に落としたものである疑いが強い。
類子の一言から,48のいろは歌の最初の1文字に隠された49番目のいろは歌の存在に気付く。
その歌は椿,榎,楸とあって,鍵となることばが柊であると推理する。
榊美佐子の死体がトイレで発見される。美佐子は智久のコップを使い,毒を飲んで死んでいた。智久は落石により命を狙われ,更にコップに毒を仕込まれていたことになる。
智久は,メンバーの中に菅村悠斎を殺害した人物がいて,自分が真相を暴く前に殺そうとしているのではないかと推理する。
智久は,犯人捜しを中断して,涙香が残した暗号の解読を優先する。柊からひひら+かす→ひひらかす→転として暗号の鍵を探し出し,最終的には28宿のヒキツボシとウルキボシだと見抜く。それぞれに対応する天井のパネルを抜くと,中からさらにいろは歌が見つかる。この2つのいろは歌は逆文になっていた。
暗号を解いた智久が小峠を誘ってトイレに行くと,小峠は智久を殺害しようとする。菅村と美佐子を殺害した犯人は小峠だった。
小峠は菅村が造った詰連珠の問題を奪うために,菅村を殺害していた。

楢津木…刑事
牧場智久…囲碁棋士。探偵役
麻生徳司…黒岩涙香研究科
大館茂…ミステリ評論家
井川邦芳…ゲーム研究家
永田靖久…黒岩涙香マニア
菱山弥生…歌人
小峠元春…パズル作家
緑川拓郎…地元のミステリマニア
榊美沙子…地元のミステリマニア。被害者
家田美津夫…編集者
菅村悠斎…被害者

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2018年04月25日

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